枕草子 第17段 類聚的章段
淵は
淵の名を挙げ、「かしこ淵」「ないりその淵」「青色の淵」など、名前から連想をふくらませて興じる段。

- 1淵淵ふちははは題
- 2かしこかしこかしこ淵淵ぶち、、、いかなるいかなるいかなる底底そこののの心心こころををを見見みえええてててさるさるさる名名なをををつきつきつきけむけむけんととといといといとをかしをかしおかし。。。ないりそないりそないりそののの、、、誰誰たれにににいかなるいかなるいかなる人人ひとののの敎敎おしへへへしししならならならむむん。。。靑靑あお色色いろののの淵淵ふちこそこそこそまたまたまたをかしけれをかしけれおかしけれ。。。藏藏くら人人うどなどなどなどののの身身みにににしつしつしつべくべくべくててて。。。いないないな淵淵ぶち、、、かくれかくれかくれののの淵淵ふち、、、のぞきのぞきのぞきののの淵淵ふち、、、玉玉たま淵淵ぶち。。。
現代語訳
淵は。
かしこ淵は、どんな底の心を見せてそんな名をつけたのだろうと、たいそうおもしろい。ないりその淵は、誰にどんな人が「入るな」と教えたのだろう。青色の淵もまたおもしろい。蔵人などの着る青色の袍にしたらよさそうで。いな淵、かくれの淵、のぞきの淵、玉淵。
意訳
「かしこ(畏し)」という名から淵の底の心を想像し、「な入りそ(入るな)」という名から誰かの忠告を思い浮かべ、「青色」からは蔵人の青い装束を連想する。名前ひとつから物語をつむぎ出す、言葉遊びの楽しさにあふれた段である。
語釈・文法注
- ないりその淵
- 「な入りそ」は「入ってはいけない」の意。その名から、誰が誰に教えたのかと想像している。
文法
- 「身にしつべくて」
- 身に着けることができそうで。蔵人は天皇から賜る青色の袍(麴塵)を着ることがあった。
解説
淵の名から次々に連想をふくらませる段で、作者の言葉に対する鋭い感覚がよく表れている。「青色の淵」を蔵人の装束に結びつけるところなど、宮廷人らしい発想である。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、179頁(コマ92)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日