古典ライブラリー

枕草子 第5段 類聚的章段

ことことなるもの

同じ言葉でも聞いた感じがそれぞれ異なるものとして、法師の言葉、男と女の言葉を挙げ、身分の低い者の言葉は必ず字数が多いと評する、短い物づくしの段。

僧や貴族、女房たちが集う宮中の一室。それぞれの言葉づかいの違いに、聞き手が耳を傾けている。
僧や貴族、女房たちが集う宮中の一室。それぞれの言葉づかいの違いに、聞き手が耳を傾けている。
  1. 1ことことことなるなるなるものものもの題
  2. 2法ほふ法ほふほう師し師ししののの詞ことば詞ことばことば、、、男をとこ男をとこおとこ女をんな女をんなおんなののの詞ことば詞ことばことば。。。ののの詞ことば詞ことばことばにににはははかならずかならずかならず文も文もも字じ字じじあまりあまりあまりしししたりたりたり。。。

引用の仕方

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現代語訳

同じことでも違って聞こえるもの。

法師の言葉。男と女の言葉。身分の低い者の言葉には、必ず余計な字が多くついている。

意訳

同じことを言っても、話す人によって聞こえ方が違う。法師には法師の、男には男の、女には女の言葉づかいがある。そして身分の低い者の言葉には、決まって余計な言葉がついてくる。言葉に敏感な作者らしい観察である。

語釈・文法注

ことことなるもの
「異事なるもの」の意で、同じことでもそれぞれ異なって聞こえるもの。三巻本では「同じことなれども聞き耳異なるもの」とある。
げす
下衆。身分の低い者。

文法

「文字あまりしたり」
字数が余っている。言葉に無駄が多く、くどいこと。

解説

「…もの」の形で題を立て、当てはまる例を挙げていく類聚的章段(物づくし)の最初の段である。ごく短いが、話し手の身分や立場によって言葉づかいが違うことを指摘しており、言葉への鋭い感覚がうかがえる。

「げすの詞には必ず文字あまりしたり」という評は、身分による差別意識を含んだ、宮廷女房らしい辛辣な見方でもある。枕草子が「毒舌」と言われるゆえんの一つである。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、172頁(コマ89)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日