枕草子 第2段 随想的章段
ころは
一年のどの月もそれぞれに趣がある、と述べたうえで、正月の元日・七日の白馬・八日・十五日の粥杖・除目のころと、正月の宮中や家々の行事のにぎわいを描く。

- 1ころころころははは、、、正月正月しょうがつ、、、三月三月さんがつ、、、四五月四五月しごがつ、、、七月七月しちがつ、、、八九月八九月はっくがつ、、、十月十月じゅうがつ、、、十二月十二月じゅうにがつ、、、すべてすべてすべてをりをりおりにににつけつけつけつゝつゝつつひとゝせひとゝせひととせながらながらながらをかしをかしおかし。。。
- 2正月正月しょうがつ一日一日ついたちはははまいてまいてまいてそらそらそらのののけしきけしきけしきうらうらうらうらうらうらとととめづらしくめづらしくめずらしくかすみかすみかすみこめこめこめたるたるたるににに、、、世世よにににあるあるあるとととあるあるある人人ひとははは、、、すがたすがたすがたかたちかたちかたち心心こころことことことにににつくろひつくろひつくろい、、、君君きみをををももも我我わががが身身みをををももも祝祝いわひひいなどなどなどしししたるたるたるさまさまさま殊殊ことにににをかしをかしおかし。。。七日七日なぬかははは雪雪ゆきまままののの若菜若菜わかな靑靑あおやかやかやかににに摘摘つみみみ出出いでつゝでつゝでつつ、、、例例れいはははさしもさしもさしもさるさるさる物物ものめぢかゝらめぢかゝらめぢかからぬぬぬ所所ところにににもてもてもてさわぎさわぎさわぎ、、、見見みむむんとてとてとて里人里人さとびとははは車車くるま淸淸きよげげげにににしたてゝしたてゝしたてて見見みにににゆくゆくゆく。。。中中なかののの御御み門門かどのののとじきみとじきみとじきみひきひきひきいるゝいるゝいるる程程ほどかしらかしらかしらどもどもども一一ひとところところところにににまろびまろびまろびあひあひあいててて、、、さしぐしさしぐしさしぐしももも落落おちちち、、、用意用意よういせせせねねねばばば折折おれれれなどなどなどしししててて笑笑わらふふうももも又又またをかしをかしおかし。。。左衞門左衞門さえもんののの陣陣じんなどなどなどににに殿上人殿上人てんじょうびとあまたあまたあまた立立たちちちなどなどなどしししててて、、、舍人舍人とねりののの馬馬うまどもどもどもをををとりとりとりててて驚驚おどろかしかしかしててて笑笑わらふふうををを、、、はつかはつかはつかににに見見み入入いれれれたれたれたればばば、、、たてたてたてしとみしとみしとみなどなどなどののの見見みゆるゆるゆるににに、、、とのもりとのもりとのもりづかさづかさづかさ、、、女官女官にょかんなどなどなどののの行行ゆきききちがひちがひちがいたるたるたるこそこそこそをかしけれをかしけれおかしけれ。。。いかいかいかばかりばかりばかりなるなるなる人人ひと、、、九重九重ここのえをををかくかくかく立立たちちちならすならすならすらむらむらんなどなどなど思思おもひひいやらやらやらるゝるゝるるうちうちうちにににももも見見みるるるはははいといといとせばきせばきせばきほどほどほどにてにてにて、、、舍人舍人とねりがががかほかほかおのののきぬきぬきぬもももあらはれあらはれあらわれ、、、白白しろきききものものものゝゝのゆきゆきゆきつかつかつかぬぬぬ所所ところはははまことまことまことににに黑黑くろききき庭庭にわににに雪雪ゆきのののむらむらむら消消ぎえええたるたるたる心心ここちちちしししててていといといと見見みぐるしぐるしぐるし。。。馬馬うまのののあがりあがりあがり騷騷さわぎぎぎたるたるたるもももおそろしくおそろしくおそろしく覺覺おぼゆれゆれゆればばば、、、引引ひきききいらいらいられれれてててよくよくよくももも見見みやらやらやられれれずずず。。。
- 3八日八日ようか、、、人々人々ひとびとよろこびよろこびよろこびしししてててはしりはしりはしりさわぎさわぎさわぎ、、、車車くるまのののおとおとおともももつねつねつねよりよりよりははは殊殊ことににに聞聞きこえええてててをかしをかしおかし。。。
- 4十五日十五日じゅうごにちはははもちもちもちかゆかゆかゆのののまゐるまゐるまいる。。。かゆかゆかゆののの木木きひきひきひきかくしかくしかくしててていへいへいえのののごだちごだちごだち、、、女房女房にょうぼうなどなどなどのののうかゞふうかゞふうかがうををを、、、うたうたうたれれれじじじとととよういよういよういしししててて、、、つねつねつねにににうしろうしろうしろををを心心こころづかひづかひづかいしししたるたるたるけしきけしきけしきもももをかしきをかしきおかしきににに、、、いかいかいかにににしししてててけるけるけるにににかかかあらあらあらむむん、、、打打うちちちあてあてあてたるたるたるはははいみじういみじういみじゅうけうけうきょうありありありとととうちうちうちわらひわらひわらいたるたるたるもももいといといとはえばえしはえばえしはえばえし。。。ねたしねたしねたしととと思思おもひひいたるたるたる、、、ことわりことわりことわりなりなりなり。。。去年去年こぞよりよりよりあたらしうあたらしうあたらしゅうかよふかよふかようむこむこむこののの君君きみなどなどなどのののうちうちうちへへへ參參まいるるるほどほどほどををを、、、こゝろもとなくこゝろもとなくこころもとなくところところところにににつけつけつけててて我我われはははとととおもひおもひおもいたるたるたる女房女房にょうぼうののののぞきのぞきのぞき、、、おくおくおくのののかたかたかたにににたゝずまふたゝずまふたたずまうををを、、、まへまへまえににに居居いたるたるたる人人ひとはははこゝろえこゝろえこころえてててわらふわらふわらうををを「「「あなかまあなかまあなかまあなかまあなかまあなかま」」」とととまねきまねきまねきかくれかくれかくれどどど、、、君君きみ見見み知知しらららずずずがほがほがおにてにてにておほどかおほどかおおどかにてにてにて居居い給給たまへへえりりり。。。「「「こゝこゝここなるなるなる物物ものとりとりとり侍侍はべらららむむん」」」などなどなどいひいひいい寄寄よりりり、、、はしりはしりはしりうちうちうちててて逃逃にぐれぐれぐればばばあるあるあるかぎりかぎりかぎり笑笑わらふふう。。。男君男君おとこぎみもももにくからにくからにくからずずず、、、わいぎやうわいぎやうわいぎょうづきづきづきてててゑみゑみえみたるたるたる。。。ことことことにににおどろかおどろかおどろかずずず、、、顏顏かおすこしすこしすこしあかみあかみあかみててて居居いたるたるたるもももをかしをかしおかし。。。又又またかたみかたみかたみににに打打うちちちててて男男おとこなどなどなどをををさへさへさへぞぞぞうつうつうつめるめるめる。。。いかいかいかなるなるなる心心こころにににかかかあらあらあらむむん、、、なきなきなきはらだちはらだちはらだち、、、打打うちちちつるつるつる人人ひとをををのろひのろひのろい、、、まがまがしくまがまがしくまがまがしくいふいふいうもももをかしをかしおかし。。。うちうちうちわたりわたりわたりなどなどなどやんごとなきやんごとなきやんごとなきももも今日今日きょうはははみなみなみな亂亂みだれれれてててかしこまりかしこまりかしこまりなしなしなし。。。
- 5のののほどほどほどなどなどなどうちうちうちわたりわたりわたりはははいといといとをかしをかしおかし。。。雪雪ゆき降降ふりりりこほりこほりこおりなどなどなどしししたるたるたるににに申申もうしししぶみぶみぶみもてもてもてありくありくありく。。。四位四位しい五位五位ごいわかやかわかやかわかやかにににこゝちこゝちここちよげよげよげなるなるなるはははいといといとたのもしげたのもしげたのもしげなりなりなり。。。老老おいいいてててかしらかしらかしら白白しろきききなどなどなどががが人人ひとにににとかくとかくとかくあんないあんないあんないいひいひいい、、、女房女房にょうぼうのののつぼねつぼねつぼねににによりよりよりててておのおのおのががが身身みのののかしこきかしこきかしこき由由よしなどなどなど心心こころをををやりやりやりててて說說とききき聞聞きかかかするするするををを、、、若若わかききき人々人々ひとびとはははまねまねまねをををししし笑笑わらへへえどどどいかでいかでいかでかかか知知しらららむむん。。。「「「よきよきよきにににそうしそうしそうし給給たまへへえ、、、けいしけいしけいし給給たまへへえ」」」などなどなどいひいひいいてててももも、、、得得えたるたるたるはははよしよしよし、、、得得えずずずなりなりなりぬるぬるぬるこそこそこそいといといとあはれあはれあわれなれなれなれ。。。
現代語訳
時節は、正月、三月、四月・五月、七月、八月・九月、十月、十二月と、すべてその折々につけて、一年中それぞれに趣がある。
正月一日はまして、空の様子もうららかに目新しく霞が立ちこめているところに、世の中のありとあらゆる人が、姿や身なりを格別に整え、主君をも自分の身をも祝ったりしている様子は、格別に趣がある。七日は、雪の消えた間から若菜を青々と摘み出しては、ふだんはそんなものを身近に見ない所でも持てはやし騒ぎ、白馬を見ようとして、里住みの人たちは牛車をきれいに飾り立てて見物に行く。中の御門の敷居を車が引き入れられるときに、乗っている者たちの頭が一か所にぶつかり合って、挿し櫛も落ち、用心していないと折れたりして笑うのも、またおもしろい。左衛門の陣のあたりに殿上人が大勢立ったりして、舎人の弓を取って馬を驚かせて笑うのを、ちらりとのぞき込むと、立蔀などが見えるところに、主殿寮の役人や女官などが行き来しているのはおもしろい。どれほどの身分の人が、宮中をこのように慣れた様子で歩き回るのだろうなどと思いやられるが、その中でも見えるのはたいそう狭い範囲で、舎人の顔の肌があらわになって、白粉の行き届かない所は、本当に黒い土の庭に雪がまだらに消え残っている感じがして、たいそう見苦しい。馬が跳ね上がって騒いでいるのも恐ろしく感じられるので、車の奥に引っ込んでしまって、よく見ることもできない。
八日は、叙位のお礼にと人々が走り回り、車の音もいつもよりは格別に聞こえて趣がある。
十五日は、望粥の節供を差し上げる。粥を煮た木を隠し持って、その家の古参の女房や若い女房などが隙をうかがうのを、打たれまいと用心して、いつも後ろに気を配っている様子もおもしろいのに、どうしたことか、うまく打ち当てたのは、たいそう面白いと笑っているのも、たいそう晴れがましい。打たれた人がくやしいと思っているのも、もっともである。去年から新しく通ってくる婿君などが、内裏へ参上する時刻を待ちかねて、その家で我こそはと思っている女房が、のぞいて奥の方でうろうろしているのを、前に座っている人は心得て笑うのを、「しっ、静かに」と手招きして止めるけれど、姫君は知らん顔でおっとりと座っていらっしゃる。「ここにある物を取りましょう」などと言って近寄り、走りざまに打って逃げると、そこにいる者はみな笑う。婿君も憎らしくなく、愛想よくほほえんでいる。姫君も特に驚かず、顔を少し赤らめて座っているのもおもしろい。また女房どうしで打ち合って、男までも打つようだ。どういうつもりだろうか、打たれて泣いて腹を立て、打った人をのろって縁起でもないことを言うのも、おもしろい。宮中あたりなどの高貴な所でも、今日はみな打ち解けて、かしこまった様子もない。
除目のころなど、宮中のあたりはたいそうおもしろい。雪が降り凍りついたりしている中を、申し文を持って歩き回る。四位・五位の人で、若々しく気分がよさそうなのは、たいそう頼もしそうだ。年をとって頭の白い者などが、人にあれこれと取り次ぎを頼み、女房の局に立ち寄っては、自分の身の優れていることなどを得意になって説き聞かせるのを、若い女房たちはまねをして笑うけれど、本人はどうしてそれを知ろうか。「よろしく帝に申し上げてください、中宮様に申し上げてください」などと頼んでも、官職を得た人はよいが、得られずに終わった人こそ、たいそう気の毒である。
意訳
どの月にもそれぞれの良さがあるが、とりわけ正月はにぎやかだ。元旦の晴れやかな空と人々の装い、七日の若菜と白馬見物、八日の叙位のお礼回り、十五日の粥杖の遊び、そして除目を前にした人々の悲喜こもごも。作者は、牛車の中で頭をぶつけて笑う見物人や、粥杖でお尻を打たれて泣いて怒る人、官職を求めて女房に売り込む老人まで、宮中と貴族の家の正月を、人間くさい場面の連続として生き生きと描いている。
語釈・文法注
- 白馬(あをうま)
- 正月七日の白馬の節会。左右の馬寮から引き出した馬を天皇が御覧になる行事で、年中の邪気を払うとされた。もとは青毛の馬を用いたので「あをうま」と読む。
- もちかゆのせく
- 望粥(もちがゆ)の節供。正月十五日に七種の穀物を入れた粥を食べる行事。粥を煮た木(粥杖)で女性の腰を打つと男子を授かるという俗信があり、打ち合う遊びが行われた。
- 除目
- 官職を任命する儀式。正月は地方官を任じる県召(あがためし)の除目で、任官を望む人々は申し文(申請書)を出し、つてを頼って運動した。
文法
- 「をりにつけつゝ」
- その時その時に応じて。「つゝ」は反復・継続を表す接続助詞。
- 「世にあるとある人」
- 世の中にいるありとあらゆる人。底本には「り」の異本注記があり、「ありとある」とする本文もある。
- 「いかでか知らむ」
- 反語。どうして知っているだろうか、いや知らない。笑われている本人は気づいていない、の意。
- 「そうし給へ、けいし給へ」
- 「奏す」は天皇に、「啓す」は中宮・東宮に申し上げる意の謙譲語。女房に取り次ぎを頼む決まり文句。
解説
冒頭の「春は曙」に続き、一年の月々へと話を広げる段である。どの月も「をかし」と言ったうえで、正月の行事を次々と描いていく。教科書に多い三巻本では、冒頭の段とこの段をあわせて一つの段とすることがある。
描かれるのは儀式の荘重さではなく、牛車の中で頭をぶつけて笑う見物人、粥杖で打たれて怒る女房、売り込みに熱心な老人など、行事の周りで起こる人間くさい出来事である。作者は宮中の内側にいながら、それを少し離れた所から観察し、おもしろがる目を持っていた。
除目の場面の最後で、官職を得られなかった人を「いとあはれなれ」と結ぶのは、からかいの中にも人の境遇への同情を忘れない作者の一面を示している。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(枕草紙) 板倉屋書房、明治36年(1903)、169–171頁(コマ87–88)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日