古典ライブラリー

古今和歌集 巻第十八 雑歌下 971番

年をへて

在原業平(ありわらのなりひら)

何年も住んできたこの里を、私が出て行ったら、ますます草深い野となってしまうだろうか。

作者
業平朝臣(在原業平)
  1. 1深草ふかくさ深草ふかくさふかくさののの里さと里さとさとにすみにすみにすみ侍はべ侍はべはべりてりてりて京きやう京きやうきょうへへへまうでくとてそこなりけるまうでくとてそこなりけるもうでくとてそこなりける人ひと人ひとひとによみておくりけるによみておくりけるによみておくりける詞書
  2. 2年とし年としとしをををへてへてへて初句
  3. 3住す住すすみこしみこしみこし里さと里さとさとををを二句
  4. 4出い出いいでていなばでていなばでていなば三句
  5. 5いとどいとどいとど深草ふかくさ深草ふかくさふかくさ四句
  6. 6野の野ののとやなりなむとやなりなむとやなりなむ結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

〔詞書〕深草の里に住んでいて、京へ出てくるといって、そこにいた女に詠んで贈った歌。

何年も住んできたこの里を、私が出て行ったら、ますます草深い野となってしまうだろうか。

意訳

去っていく男が、残る女の寂しさを思いやる。

語釈・文法注

ふかくさ
「深草」と「深い草」。

和歌

作者
在原業平(ありわらのなりひら) 825–880
平城天皇の皇子阿保親王の子。右近衛権中将などを務め、「在五中将」と呼ばれた。仮名序は「その心餘りて詞たらず」と評する。『伊勢物語』の主人公「昔男」のモデルとされる。六歌仙・三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第十八・雑歌下・971番
歌体
短歌
状況
詞書「深草の里にすみ侍りて京へまうでくとてそこなりける人によみておくりける」(深草の里に住んでいて、京へ出てくるといって、そこにいた女に詠んで贈った歌)。

修辞

掛詞
「ふかくさ」。

解説

在原業平の歌。『伊勢物語』第百二十三段にも見える。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、175〜176頁(コマ101)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日