古典ライブラリー

古今和歌集 巻第十八 雑歌下 962番

わくらばに

在原行平(ありわらのゆきひら)

たまたま私のことを尋ねる人がいたら、須磨の浦で、藻塩を垂らしながら(涙を流しながら)わびしく暮らしていると答えてくれ。

作者
在原行平朝臣(在原行平)
  1. 1田村たむら田村たむらたむらののの御時おほんとき御時おほんときおおんときににに事こと事ことことにあたりてにあたりてにあたりて津つ津つつののの國くに國くにくにののの須磨すま須磨すますまといふといふという所ところ所ところところにこもりにこもりにこもり侍はべ侍はべはべりけるにりけるにりけるに宮みや宮みやみやのののうちにうちにうちに侍はべ侍はべはべりけるりけるりける人ひと人ひとひとににに遣つかは遣つかはつかわしけるしけるしける詞書
  2. 2わくらばにわくらばにわくらばに初句
  3. 3問と問ととふふう人ひと人ひとひとあらばあらばあらば二句
  4. 4須磨すま須磨すますまののの浦うら浦うらうらににに三句
  5. 5藻鹽もしほ藻鹽もしほもしおたれつつたれつつたれつつ四句
  6. 6わぶとわぶとわぶと答こた答こたこたへよへよえよ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕田村の帝(文徳天皇)の御時、事件にかかわって摂津国の須磨という所に籠っていた時、宮中にいた人に贈った歌。

たまたま私のことを尋ねる人がいたら、須磨の浦で、藻塩を垂らしながら(涙を流しながら)わびしく暮らしていると答えてくれ。

意訳

須磨に退居した身のわびしさを、塩焼きの藻から垂れる潮水と涙を重ねて伝える。

語釈・文法注

わくらばに
たまたま。
藻塩たれつつ
塩を作るために藻に潮水をかけて垂らしながら。涙を流す意をかける。

和歌

作者
在原行平(ありわらのゆきひら) 818–893
阿保親王の子で、在原業平の異母兄。中納言に至った。一族の子弟のための学舎「奨学院」を設けた。須磨に退居した話は『源氏物語』須磨の巻にも影響を与えた。
出典
『古今和歌集』巻第十八・雑歌下・962番
歌体
短歌
状況
詞書「田村の御時に事にあたりて津の國の須磨といふ所にこもり侍りけるに宮のうちに侍りける人に遣しける」(田村の帝(文徳天皇)の御時、事件にかかわって摂津国の須磨という所に籠っていた時、宮中にいた人に贈った歌)。

修辞

掛詞
「たれ」に潮水を「垂れ」と涙を「垂れ」。

解説

在原行平の歌。『源氏物語』須磨の巻に影響を与えた。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、173頁(コマ100)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日