古今和歌集 巻第十七 雑歌上 900番
老いぬれば
年をとってしまうと、避けられない別れ(死別)があるというので、ますます会いたく思うあなたであることよ。
場面イラスト(準備中)
- 1業平業平なりいら朝臣朝臣あそんののの母母ははのみこのみこのみこ長岡長岡ながおかににに住住すみみみ侍侍はべりけるにりけるにりけるに業平業平なりいらみやづかへすとてみやづかへすとてみやずかえすとて時々時々ときどきもえまかりとぶらはずもえまかりとぶらはずもえまかりとぶらわず侍侍はべりければしはすばかりにりければしはすばかりにりければしわすばかりに母母ははのみこのもとよりとみののみこのもとよりとみののみこのもとよりとみの事事こととてとてとて文文ふみをもてまうできたりあけてをもてまうできたりあけておもてもうできたりあけて見見みればことばはなくてればことばはなくてればことばわなくて有有ありけるりけるりける歌歌うた詞書
- 2老老おいぬればいぬればいぬれば初句
- 3さらぬさらぬさらぬ別別わかれののの二句
- 4ありといへばありといへばありといえば三句
- 5彌々彌々いよいよ見見みまくまくまく四句
- 6ほしきほしきほしき君君きみかなかなかな結句
現代語訳
〔詞書〕業平朝臣の母の内親王が長岡に住んでいらしたが、業平が宮仕えをしていて、時々もお見舞いに行けませんでしたので、十二月ごろに母の内親王のもとから急ぎの用といって手紙を持ってきた。開けて見ると、言葉はなくて、書いてあった歌。
年をとってしまうと、避けられない別れ(死別)があるというので、ますます会いたく思うあなたであることよ。
意訳
老いた母が、死期を思って息子に会いたいと訴える。
語釈・文法注
- さらぬ別れ
- 避けられない別れ、死別。
和歌
- 作者
- 伊都内親王(業平の母)(いとないしんのう) ?–861
桓武天皇の皇女で、阿保親王の妃となり、在原業平を産んだ。晩年は長岡に住んだ。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十七・雑歌上・900番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「業平朝臣の母のみこ長岡に住み侍りけるに業平みやづかへすとて時々もえまかりとぶらはず侍りければしはすばかりに母のみこのもとよりとみの事とて文をもてまうできたりあけて見ればことばはなくて有りける歌」(業平朝臣の母の内親王が長岡に住んでいらしたが、業平が宮仕えをしていて、時々もお見舞いに行けませんでしたので、十二月ごろに母の内親王のもとから急ぎの用といって手紙を持ってきた。開けて見ると、言葉はなくて、書いてあった歌)。
解説
業平の母、伊都内親王の歌。『伊勢物語』第八十四段にも見える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、162頁(コマ94)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日