古典ライブラリー

古今和歌集 巻第十四 恋歌四 691番

今こむと

素性法師(そせいほうし)

「すぐに行く」とあなたが言ったばかりに、長い九月の夜を待ち続けて、明け方の有明の月が出るのを待つことになってしまった。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
素性法師
  1. 1今いま今いまいまこむとこむとこむと初句
  2. 2いひしばかりにいひしばかりにいいしばかりに二句
  3. 3長月ながつき長月ながつきながつきののの三句
  4. 4有明ありあけ有明ありあけありあけののの月つき月つきつきををを四句
  5. 5待ま待ままちいでつるかなちいでつるかなちいでつるかな結句

引用の仕方

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現代語訳

「すぐに行く」とあなたが言ったばかりに、長い九月の夜を待ち続けて、明け方の有明の月が出るのを待つことになってしまった。

意訳

恋人の「すぐ行く」という言葉を信じて待ち続けたが、とうとう有明の月が出てしまった、と待つ女の立場で詠む。

語釈・文法注

今こむ
すぐに行こう。
長月
九月。夜の長い時期。
待ち出でつる
待っているうちに出てしまった。

和歌

作者
素性法師(そせいほうし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
僧正遍昭の子。俗名は良岑玄利(よしみねのはるとし)といい、父の命で出家した。雲林院や大和の石上の良因院に住み、宇多天皇・醍醐天皇の歌会や屏風歌に召された。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第十四・恋歌四・691番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

素性法師の歌で、百人一首第二十一首にも採られた。

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出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、123頁(コマ75)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日