古今和歌集 巻第十四 恋歌四 689番
さむしろに
狭い筵に衣を片方だけ敷いて、今夜も私を待っているのだろうか、宇治の橋姫は。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
狭い筵に衣を片方だけ敷いて、今夜も私を待っているのだろうか、宇治の橋姫は。
〔左注〕また(別の伝えでは)「宇治の玉姫」とある。
意訳
宇治の橋姫の伝説に恋人を重ね、独り寝で自分を待つ女性を思いやる。
語釈・文法注
- さむしろ
- 狭い筵。「寒し」をかける。
- 衣かたしき
- 自分の衣だけを敷いて独り寝すること。
- 宇治の橋姫
- 宇治橋の守り神。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十四・恋歌四・689番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
読人しらずの名歌。左注は第五句を「宇治の玉姫」とする異伝を記す。のちに『源氏物語』宇治十帖の「橋姫」の巻名に影響を与えた。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、123頁(コマ75)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日