古今和歌集 巻第十三 恋歌三 616番
起きもせず
起きているのでもなく寝ているのでもなく夜を明かしては、春のものだからと、長雨を眺めながら物思いにふけって一日を過ごした。

現代語訳
〔詞書〕三月一日から、ひそかに人と言葉を交わして、その後、雨がしとしと降っていた時に詠んで贈った歌。
起きているのでもなく寝ているのでもなく夜を明かしては、春のものだからと、長雨を眺めながら物思いにふけって一日を過ごした。
意訳
恋人と逢った翌日、夜は眠れず、昼は春の長雨をぼんやり眺めて過ごす。逢瀬の後の放心を詠む。
語釈・文法注
- ながめ
- 「眺め(物思い)」と「長雨」。
和歌
- 作者
- 在原業平(ありわらのなりひら) 825–880
平城天皇の皇子阿保親王の子。右近衛権中将などを務め、「在五中将」と呼ばれた。仮名序は「その心餘りて詞たらず」と評する。『伊勢物語』の主人公「昔男」のモデルとされる。六歌仙・三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十三・恋歌三・616番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「やよひのついたちよりしのびに人に物をいひて後に雨のそぼ降りけるに詠みて遣しける」(三月一日から、ひそかに人と言葉を交わして、その後、雨がしとしと降っていた時に詠んで贈った歌)。
修辞
- 掛詞
- 「ながめ」に「眺め」と「長雨」。
解説
恋歌三の巻頭歌。在原業平の作で、『伊勢物語』第二段にも見える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、110頁(コマ68)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日