古今和歌集 巻第十二 恋歌二 556番
つつめども
包んでも袖にたまらない白玉は、人を見ない目の涙であったよ。

現代語訳
〔詞書〕下出雲寺で人の法事をした日、真静法師が導師として説いた言葉を歌に詠んで、小野小町のもとに贈った歌。
包んでも袖にたまらない白玉は、人を見ない目の涙であったよ。
意訳
法話にあった、衣の裏に縫いこまれた宝珠の話(『法華経』)をふまえ、袖に包みきれない涙を白玉にたとえて、小町に逢えない恋を訴えた。
語釈・文法注
- しらたま
- 涙のたとえ。
- みぬめ
- 「見ぬ目」と地名「敏馬(みぬめ)」。
和歌
- 作者
- 安倍清行(あべのきよゆき) 825–900
安倍安仁の子。陸奥守・讃岐守などを務めた。小野小町との贈答歌が伝わる。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十二・恋歌二・556番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「しもつ出雲寺に人のわざしける日眞せい法師の導師にていへりけることばを歌によみて小野小町がもとに遣しける」(下出雲寺で人の法事をした日、真静法師が導師として説いた言葉を歌に詠んで、小野小町のもとに贈った歌)。
修辞
- 見立て
- 涙を白玉に。
解説
安倍清行の歌。次の小町の返歌と贈答になる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、100〜101頁(コマ63)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日