古今和歌集 巻第九 羇旅歌 420番
このたびは
今度の旅は急なことで、幣を用意することもできません。手向山の紅葉の錦を、幣として神の御心のままにお受けください。

現代語訳
〔詞書〕朱雀院(宇多上皇)が奈良にいらっしゃった時に、手向山で詠んだ歌。
今度の旅は急なことで、幣を用意することもできません。手向山の紅葉の錦を、幣として神の御心のままにお受けください。
意訳
急な旅で幣を用意できなかったので、手向山の紅葉をそのまま幣として神に捧げよう、と詠む。紅葉を錦に見立てた華やかな歌。
語釈・文法注
- このたび
- 「この度(今回)」と「この旅」。
- ぬさ
- 幣。旅の安全を祈って神に捧げる布や紙。
- とりあへず
- 用意できない。
- まにまに
- …のままに。
和歌
- 作者
- 菅原道真(すがわらのみちざね) 845–903
学者・漢詩人・政治家。宇多天皇に重用されて右大臣に至ったが、藤原時平の讒言により大宰権帥に左遷され、大宰府で没した。のちに天満天神として祀られた。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第九・羇旅歌・420番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「朱雀院の奈良におはしましける時に手向山にてよめる」(朱雀院(宇多上皇)が奈良にいらっしゃった時に、手向山で詠んだ歌)。
修辞
- 掛詞
- 「たび」に「度」と「旅」。
- 見立て
- 紅葉を錦に見立てる。
解説
菅原道真の歌で、百人一首第二十四首にも採られた。宇多上皇の宮滝御幸の際の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、81頁(コマ54)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日