古今和歌集 巻第五 秋歌下 307番
ほにもいでぬ
まだ穂も出ない山田の番をするので、粗末な藤衣は、稲葉の露に濡れない日はない。

現代語訳
まだ穂も出ない山田の番をするので、粗末な藤衣は、稲葉の露に濡れない日はない。
意訳
山田の番をする者の衣は、毎日稲の露に濡れる。農民の苦労と、人知れぬ恋の涙とを重ねる。
語釈・文法注
- ほにも出でぬ
- 穂も出ない。思いを表に出さない意をかける。
- 藤衣
- 藤の繊維で織った粗末な衣。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第五・秋歌下・307番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 掛詞
- 「ほにいでぬ」に、穂が出ない意と思いが表に出ない意。
解説
読人しらずの歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、54頁(コマ40)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日