古今和歌集 巻第五 秋歌下 268番
うゑし植ゑば
しっかりと植えておけば、秋のない時でもない限り、咲かないことがあろうか。花は散っても、根まで枯れることがあろうか。

現代語訳
〔詞書〕人の家の前栽に、菊に結びつけて植えた歌。
しっかりと植えておけば、秋のない時でもない限り、咲かないことがあろうか。花は散っても、根まで枯れることがあろうか。
意訳
菊を植えて贈る際に、根がしっかりしていれば毎年秋に必ず咲く、と祝意をこめた。
語釈・文法注
- うゑし植ゑば
- しっかり植えれば。
- 秋なき時や
- 秋のない時でもあろうか。
- 枯れめや
- 枯れるだろうか、いや枯れない。
和歌
- 作者
- 在原業平(ありわらのなりひら) 825–880
平城天皇の皇子阿保親王の子。右近衛権中将などを務め、「在五中将」と呼ばれた。仮名序は「その心餘りて詞たらず」と評する。『伊勢物語』の主人公「昔男」のモデルとされる。六歌仙・三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第五・秋歌下・268番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「人の前栽に菊に結び附けて植ゑける歌」(人の家の前栽に、菊に結びつけて植えた歌)。
修辞
- 反語
- 「根さへ枯れめや」。
解説
在原業平の歌。『伊勢物語』第五十一段にも見える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、47頁(コマ37)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日