古今和歌集 巻第五 秋歌下 255番
おなじえを
同じ木の枝なのに、とりわけ西側の木の葉が色づいているのは、西こそが秋の始まる方角だからだったのだ。

- 1貞觀貞觀じょうがんののの御時御時おおんとき綾綺殿綾綺殿りようきでんののの前前まえににに梅梅うめののの木木きありけりありけりありけり西西にしののの方方かたにさせりけるにさせりけるにさせりける枝枝えだのもみぢそめたりけるのもみぢそめたりけるのもみじそめたりけるをををうへにさぶらふをのこどものよみけるついでによめるうへにさぶらふをのこどものよみけるついでによめるうえにさぶらうおのこどものよみけるついでによめる詞書
- 2おなじえおなじえおなじえををを初句
- 3わきてわきてわきて木木こののの葉葉はののの二句
- 4うつろふうつろふうつろうははは三句
- 5西西にしこそこそこそ秋秋あきののの四句
- 6初初はじめなりけれなりけれなりけれ結句
現代語訳
〔詞書〕貞観の御時、綾綺殿の前に梅の木があった。西の方に伸びた枝が紅葉し始めていたのを、殿上の男たちが詠んだついでに詠んだ歌。
同じ木の枝なのに、とりわけ西側の木の葉が色づいているのは、西こそが秋の始まる方角だからだったのだ。
意訳
五行説では西は秋にあたる。同じ木の西側の枝から紅葉するのは、そのためだと理屈で説明した。
語釈・文法注
- 綾綺殿
- 内裏の殿舎の一つ。
- わきて
- とりわけ。
- 西こそ秋の初
- 五行説で西は秋に配される。
和歌
- 作者
- 藤原勝臣(ふじわらのかちおん) 生没年未詳(九世紀後半)
藤原南家の人で、大宰少弐・阿波守などを務めたと伝える。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第五・秋歌下・255番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「貞觀の御時綾綺殿の前に梅の木ありけり西の方にさせりける枝のもみぢそめたりけるをうへにさぶらふをのこどものよみけるついでによめる」(貞観の御時、綾綺殿の前に梅の木があった。西の方に伸びた枝が紅葉し始めていたのを、殿上の男たちが詠んだついでに詠んだ歌)。
解説
藤原勝臣の歌。漢籍の知識を生かした歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、45頁(コマ36)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日