古今和歌集 巻第四 秋歌上 211番
夜を寒み
夜が寒いので衣を借りたいと思う、その「かり」という名の雁が鳴くのにつれて、萩の下葉も色づいてしまったことだ。

現代語訳
夜が寒いので衣を借りたいと思う、その「かり」という名の雁が鳴くのにつれて、萩の下葉も色づいてしまったことだ。
〔左注〕この歌は、ある人が言うには、柿本人麻呂の歌であるという。
意訳
夜寒の季節、雁が鳴き始めると、萩の下葉も色づいていく。秋の深まりを雁と萩で描く。
語釈・文法注
- 夜を寒み
- 夜が寒いので。
- 衣かりがね
- 「衣借り」から「雁が音」を導く。
- うつろひにけり
- 色が変わってしまった。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第四・秋歌上・211番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 掛詞
- 「かり」に「借り」と「雁」をかける。
解説
左注は柿本人麻呂の歌とする説を伝える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、37頁(コマ32)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日