古今和歌集 巻第四 秋歌上 196番
蛬
こおろぎよ、そんなにひどく鳴かないでおくれ。秋の夜長の物思いは、私のほうがまさっているのだから。

現代語訳
〔詞書〕人のもとに行った夜、こおろぎが鳴くのを聞いて詠んだ歌。
こおろぎよ、そんなにひどく鳴かないでおくれ。秋の夜長の物思いは、私のほうがまさっているのだから。
意訳
秋の夜長に鳴き続けるこおろぎに、物思いの深さでは私のほうが上だ、と呼びかける。
語釈・文法注
- きりぎりす
- 今のこおろぎ。
- いたくな鳴きそ
- ひどく鳴くな。
- われぞまされる
- 私の方がまさっている。
和歌
- 作者
- 藤原忠房(ふじわらのただふさ) ?–928
藤原興嗣の子。山城守・右京大夫などを務めた。管絃に長じ、舞楽「胡蝶」を作ったと伝える。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第四・秋歌上・196番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「人のもとにまかれりける夜きりぎりすの鳴きけるを聞きてよめる」(人のもとに行った夜、こおろぎが鳴くのを聞いて詠んだ歌)。
修辞
- 擬人法
- こおろぎに呼びかける。
解説
藤原忠房の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、35頁(コマ31)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日