古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 65番

折りとらば

読人しらず(よみびとしらず)

折り取ったら惜しい気がすることよ、桜の花は。さあ、宿を借りて、散るまでここで見ていよう。

桜を手折ることを惜しみ、花の近くに宿を取る。散るまで見続けたいという願いを描いた情景。
桜を手折ることを惜しみ、花の近くに宿を取る。散るまで見続けたいという願いを描いた情景。
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1折を折をおりとらばりとらばりとらば初句
  2. 2ををおしげにもあるかしげにもあるかしげにもあるか二句
  3. 3櫻花さくらばな櫻花さくらばなさくらばな三句
  4. 4いざいざいざ宿やど宿やどやどかりてかりてかりて四句
  5. 5散ち散ちちるるる迄まで迄までまでははは見み見みみむむん結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

折り取ったら惜しい気がすることよ、桜の花は。さあ、宿を借りて、散るまでここで見ていよう。

意訳

前の歌とは逆に、折るのは惜しいので、花のもとに宿を借りて散るまで見続けようと言う。桜を愛する心の別の表れ。

語釈・文法注

惜しげにもあるか
惜しい様子であることよ。
いざ
さあ。
宿かりて
宿を借りて。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・65番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

前の歌と対照的な態度を並べるのは、古今集の配列の工夫である。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、12頁(コマ19)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日