古今和歌集 巻第一 春歌上 64番
ちりぬれば
散ってしまえば、恋しく思っても何のかいもないのだから、今日こそ、桜を折るならば折ってしまおう。

現代語訳
散ってしまえば、恋しく思っても何のかいもないのだから、今日こそ、桜を折るならば折ってしまおう。
意訳
散った後で惜しんでもどうにもならない。咲いている今日のうちに折ってしまおう、と散る花を前にした焦りを詠む。
語釈・文法注
- 恋ふれど
- 恋しく思っても。
- 験
- 効果、かい。
- 折りてめ
- 「て」は強意、「め」は意志「む」の已然形(「こそ」の結び)。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・64番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
「今日こそ」に、花の盛りの一日を逃すまいという気持ちがこもる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、12頁(コマ19)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日