古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 51番

山櫻

読人しらず(よみびとしらず)

山桜を私が見に来ると、春霞が峰にも尾根にも立ちこめて、隠してばかりいる。

峰にも尾根にも立つ春霞が、見に来た山桜を隠している。霞の切れ間に花を探す情景。
峰にも尾根にも立つ春霞が、見に来た山桜を隠している。霞の切れ間に花を探す情景。
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1山櫻やまざくら山櫻やまざくらやまざくら初句
  2. 2わがわがわが見み見みみにくればにくればにくれば二句
  3. 3はるがすみはるがすみはるがすみ三句
  4. 4嶺みね嶺みねみねにもにもにもををおにもにもにも四句
  5. 5たちかくしつつたちかくしつつたちかくしつつ結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

山桜を私が見に来ると、春霞が峰にも尾根にも立ちこめて、隠してばかりいる。

意訳

せっかく山桜を見に来たのに、霞が峰にも尾根にも立って桜を隠してしまう。霞を恨むような口ぶりで、桜を見たい心を表す。

語釈・文法注

みねにもをにも
「を」は尾根、山の稜線。
たちかくしつつ
立ちこめて隠し続ける。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・51番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

霞が花を隠すという趣向は、古今集の春の歌によく見られる。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、9頁(コマ18)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日