古今和歌集 巻第一 春歌上 50番
山高み
山が高いので人も愛でることのない桜の花よ、ひどく悲しまないでおくれ。私が見て、ほめそやしてあげよう。

現代語訳
山が高いので人も愛でることのない桜の花よ、ひどく悲しまないでおくれ。私が見て、ほめそやしてあげよう。
〔左注〕また(別の伝えでは)「里遠み人もすさめぬ山桜」とある。
意訳
人の訪れない山奥に咲く桜に、さびしがるな、私が見て賞美しようと呼びかける。人に知られない美への共感を詠む。
語釈・文法注
- 山高み
- 「…を…み」の「を」の省略。山が高いので。
- すさめぬ
- 心を寄せない、愛さない。
- な…そ
- 禁止。
- 見はやさむ
- 見てほめそやそう。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・50番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
修辞
- 擬人法
- 桜を励ます。
解説
左注は第二句・第三句を「里遠み人もすさめぬ山桜」とする異伝を記す。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、9頁(コマ18)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日