古今和歌集 巻第一 春歌上 33番
いろよりも
色よりも香こそすばらしいと思われる。誰の袖が触れて香を移した、この宿の梅なのだろうか。

現代語訳
色よりも香こそすばらしいと思われる。誰の袖が触れて香を移した、この宿の梅なのだろうか。
意訳
梅は色よりも香がすばらしい。その香は、かつて誰かがこの梅に袖を触れて、その人の衣の香が移ったからではないか、と想像をめぐらす。
語釈・文法注
- 思ほゆれ
- 「こそ」の結びで已然形。自然に思われる。
- たが袖ふれし
- 誰の袖が触れたのか。平安貴族は衣に香をたきしめていた。
- ぞも
- 疑問と詠嘆。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・33番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
梅の香を人の袖の香と重ね合わせる発想は、のちの「袖の香」の歌の源流となった。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、6頁(コマ16)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日