古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 32番

折りつれば

読人しらず(よみびとしらず)

梅の枝を折ったので袖に香が移って匂っている。梅の花がここにあると思って、鶯が鳴いていることだ。

手折った梅の香が袖に移り、その袖のそばで鶯が鳴く。花のありかを香によって知る鳥を描いた情景。
手折った梅の香が袖に移り、その袖のそばで鶯が鳴く。花のありかを香によって知る鳥を描いた情景。
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1題だい題だいだいしらずしらずしらず詞書
  2. 2折を折をおりつればりつればりつれば初句
  3. 3袖そで袖そでそでこそこそこそ匂にほ匂にほにおへへえ二句
  4. 4梅うめ梅うめうめののの花はな花はなはな三句
  5. 5ありとやここにありとやここにありとやここに四句
  6. 6うぐひすのうぐひすのうぐいすの鳴な鳴ななくくく結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

梅の枝を折ったので袖に香が移って匂っている。梅の花がここにあると思って、鶯が鳴いていることだ。

意訳

梅を手折ったために袖に香が移り、その香に誘われて鶯が寄ってきて鳴く。梅の香の強さを鶯の勘違いで表した。

語釈・文法注

こそ匂へ
「こそ」の結びで已然形「匂へ」。
ありとや
「や」は疑問。「(梅が)あると思ってか」。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・32番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

梅の香に重点を置くのは古今集の特色で、色よりも香を詠む歌が多い。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、6頁(コマ16)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日