古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 29番

をちこちの

読人しらず(よみびとしらず)

どちらへ行けばよいのか手がかりもわからない山の中で、心もとなく鳴いている呼子鳥であることよ。

行く先も定かでない山道で、鳥の声を聞く旅人。「呼子鳥」の姿を定めず、声だけが届く山中の心細さを描いた情景。
行く先も定かでない山道で、鳥の声を聞く旅人。「呼子鳥」の姿を定めず、声だけが届く山中の心細さを描いた情景。
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1をちこちのをちこちのおちこちの初句
  2. 2たづきもたづきもたずきも知し知ししらぬらぬらぬ二句
  3. 3山中やまなか山中やまなかやまなかににに三句
  4. 4おぼつかなくもおぼつかなくもおぼつかなくも四句
  5. 5呼子鳥よぶこどり呼子鳥よぶこどりよぶこどりかなかなかな結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

どちらへ行けばよいのか手がかりもわからない山の中で、心もとなく鳴いている呼子鳥であることよ。

意訳

深い山中で、人を呼ぶように鳴く呼子鳥の声が聞こえる。道に迷ったような心細さと、鳥の声の頼りなさを重ねた。

語釈・文法注

をちこち
遠くと近く。あちらこちら。
たづき
手がかり、方法。
呼子鳥
人を呼ぶように鳴く鳥。古今伝授の三鳥の一つで、実体には諸説ある(かっこうなど)。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・29番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

「呼子鳥」は「百千鳥」「稲負鳥」とともに古今伝授の三鳥とされ、正体が議論された。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、5頁(コマ16)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日