古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 23番

春のきる

在原行平(ありわらのゆきひら)

春が着ている霞の衣は横糸が薄いので、山風に吹かれて乱れるにちがいない。

山風に吹かれ、尾根の間でほどけてゆく春霞。霞を薄い衣に見立てた、在原行平の歌の情景。
山風に吹かれ、尾根の間でほどけてゆく春霞。霞を薄い衣に見立てた、在原行平の歌の情景。
作者
在原行平朝臣(在原行平)
  1. 1題だい題だいだいしらずしらずしらず詞書
  2. 2春はる春はるはるのきるのきるのきる初句
  3. 3かすみのかすみのかすみの衣ころも衣ころもころも二句
  4. 4ぬきぬきぬきをををうすみうすみうすみ三句
  5. 5山風やまかぜ山風やまかぜやまかぜにこそにこそにこそ四句
  6. 6みだるべらなれみだるべらなれみだるべらなれ結句

引用の仕方

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現代語訳

春が着ている霞の衣は横糸が薄いので、山風に吹かれて乱れるにちがいない。

意訳

春を女神に見立て、その着る衣を霞とし、山風に霞が乱れるさまを衣のほころびにたとえた。霞のたなびく春の山を、優美な擬人法で描く。

語釈・文法注

ぬき
織物の横糸。
うすみ
「…を…み」で原因・理由を表す。横糸が薄いので。
べらなれ
「べらなり」は推量の助動詞で、平安初期の歌に多い。

和歌

作者
在原行平(ありわらのゆきひら) 818–893
阿保親王の子で、在原業平の異母兄。中納言に至った。一族の子弟のための学舎「奨学院」を設けた。須磨に退居した話は『源氏物語』須磨の巻にも影響を与えた。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・23番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

擬人法・見立て
春を人に、霞を衣に見立てる。
縁語
「衣」「ぬき(緯)」「乱る」。

解説

在原行平は業平の兄。「べらなり」は古今集の時代に好まれた語で、のちには使われなくなった。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、5頁(コマ16)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日