古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 20番

梓弓

読人しらず(よみびとしらず)

春雨が今日降った。明日も降ったら、若菜を摘もう。

春雨に濡れ、少しずつ緑を増す野辺。明日も雨が降れば若菜を摘もうと待つ、春の野の情景。
春雨に濡れ、少しずつ緑を増す野辺。明日も雨が降れば若菜を摘もうと待つ、春の野の情景。
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1梓弓あづさゆみ梓弓あづさゆみあずさゆみ初句
  2. 2おしておしておしてはははるさめるさめるさめ二句
  3. 3今日けふ今日けふきょう降ふ降ふふりぬりぬりぬ三句
  4. 4明日あす明日あすあすさへふらばさへふらばさえふらば四句
  5. 5若菜わかな若菜わかなわかなつみてむつみてむつみてむ結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

春雨が今日降った。明日も降ったら、若菜を摘もう。

意訳

春雨が降れば若菜がよく育つ。今日に続いて明日も降れば、いよいよ若菜摘みができるだろうと、春の野遊びを心待ちにする。

語釈・文法注

梓弓
弓を「押して張る」ことから「はる」にかかる枕詞。
おして
一面に、の意とする説もある。
つみてむ
「て」は強意、「む」は意志。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・20番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

枕詞
「梓弓」が「はる」にかかる。
掛詞
「はるさめ」の「はる」に、弓を「張る」をかける。

解説

万葉集以来の枕詞「梓弓」を用いた古風な歌。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、4頁(コマ15)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日