古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 19番

みやまには

読人しらず(よみびとしらず)

奥山では松に積もった雪さえ消えないのに、都では野辺の若菜を摘んでいることだ。

都近くの野で若菜を摘む人々と、遠くに雪を残す山。松の雪も消えない奥山と、春を迎えた都とを重ねた情景。
都近くの野で若菜を摘む人々と、遠くに雪を残す山。松の雪も消えない奥山と、春を迎えた都とを重ねた情景。
詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
讀人しらず(読人しらず)
  1. 1みやまにみやまにみやまにははは初句
  2. 2松まつ松まつまつののの雪ゆき雪ゆきゆきだにだにだに二句
  3. 3きえなくにきえなくにきえなくに三句
  4. 4都みやこ都みやこみやこははは野邊のべ野邊のべのべののの四句
  5. 5わかなわかなわかな摘つ摘つつみけりみけりみけり結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

奥山では松に積もった雪さえ消えないのに、都では野辺の若菜を摘んでいることだ。

意訳

奥深い山ではまだ雪が残るのに、都ではもう若菜摘みが始まっている。山と都の春の訪れの違いを対比した。

語釈・文法注

みやま
奥山。「み」は美称。
だに
「さえ」。
消えなくに
「なくに」は「…ないのに」。

和歌

作者
読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・19番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

対比
深山の雪と都の若菜。

解説

山に住む人が都の春を思いやった歌とも、都の人が山を思いやった歌とも読める。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、4頁(コマ15)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日