古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 15番

春たてど

在原棟梁(ありわらのむねやな)

春になったけれど花も咲かない山里では、気の進まない声で鶯が鳴いている。

花の咲かない山里で、ひっそりと鳴く鶯。春になっても華やがない里の景と、ものうげな声を重ねた情景。
花の咲かない山里で、ひっそりと鳴く鶯。春になっても華やがない里の景と、ものうげな声を重ねた情景。
詞書
「寛平の御時后の宮の歌合の歌」(前の歌と同じ詞書)
作者
在原棟梁
  1. 1春はる春はるはるたてどたてどたてど初句
  2. 2花はな花はなはなもにほはぬもにほはぬもにおわぬ二句
  3. 3山里やまざと山里やまざとやまざとははは三句
  4. 4ものものものうかるうかるうかる音ね音ねねににに四句
  5. 5うぐひすぞなくうぐひすぞなくうぐいすぞなく結句

引用の仕方

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現代語訳

春になったけれど花も咲かない山里では、気の進まない声で鶯が鳴いている。

意訳

暦は春でも山里では花が咲かず、鶯の声もどこか物憂げに聞こえる。春の遅い山里のさびしさを、鶯の鳴き声に託した。

語釈・文法注

にほはぬ
「にほふ」は色美しく照り映えること。花が咲かない意。
ものうかる音
気が進まない、物憂い声。

和歌

作者
在原棟梁(ありわらのむねやな) ?–898
在原業平の子で、在原元方の父。左衛門佐・筑前守などを務めた。寛平の歌合に歌を出した。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・15番
歌体
短歌
状況
詞書「寛平の御時后の宮の歌合の歌」(寛平の御時、后の宮の歌合の歌)。

修辞

掛詞
「うかる」に鶯の鳴き声「うぐひす」の音をひびかせる、と読む説もある。

解説

作者の在原棟梁は在原業平の子。「物憂」と鶯の声を結びつけた表現が新しい。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、4頁(コマ15)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日