古今和歌集 巻第一 春歌上 3番
春がすみ
春霞が立っているのはどこだろうか。吉野の山には、まだ雪が降り続いている。

現代語訳
春霞が立っているのはどこだろうか。吉野の山には、まだ雪が降り続いている。
意訳
暦の上では春になり、都では霞が立つころなのに、山深い吉野ではまだ雪が降っている。春の兆しを探しながら、なかなか訪れない山の春を待ちわびる心を詠む。
語釈・文法注
- たてるやいづこ
- 「る」は存続の助動詞「り」の連体形、「や」は疑問。「立っているのはどこか」。
- みよしの
- 「み」は美称の接頭語。吉野は雪深い山として詠まれる。
- ふりつつ
- 「つつ」は継続・反復。
和歌
- 作者
- 読人しらず(よみびとしらず)
作者の名が伝わらない歌。『古今和歌集』の約四割を占め、撰者の時代より古い歌や、民謡・宴席で歌い継がれた歌、身分の低い人や女性の歌などを含む。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・3番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。
解説
「春霞」と「雪」を対照させ、春を待つ心を表す。吉野は雪の名所として古今集に多く詠まれる歌枕である。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、1頁(コマ14)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日