古典ライブラリー

古事記 上巻

禊ぎと三貴子

黄泉の国から戻った伊邪那岐命は、筑紫の日向の阿波岐原で禊をする。身につけた物や体を洗う水から多くの神が生まれ、最後に左の目から天照大御神、右の目から月読命、鼻から須佐之男命が生まれる。三貴子にそれぞれの世界を治めさせるが、須佐之男命は泣きわめいて従わず、追放される。

  1. 1是ここ是ここここををを以もつ以もつもつててて伊邪那岐いざなぎ伊邪那岐いざなぎいざなぎののの大神おほかみ大神おほかみおおかみ詔の詔ののりりり給たま給たまたまはくはくわく、、、「「「吾あ吾ああはははいないないな、、、きたなききたなききたなき國くに國くにくにににに到いた到いたいたりてありけりりてありけりりてありけり。。。かれかれかれ吾あ吾ああははは御身みみ御身みみみみのののせなせなせな。。。」」」ととと宣の宣ののりりり給たま給たまたまひてひていて、、、筑紫つくし筑紫つくしつくしののの日向ひむか日向ひむかひむかののの橘たちばな橘たちばなたちばなののの小門をど小門をどおどのののににに出い出いいでましてでましてでまして、、、禊みそ禊みそみそぎぎぎ祓はら祓はらはらひひい給たま給たまたまひきひきいき。。。かれかれかれ投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる御杖みつゑ御杖みつゑみつえになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、ののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる御帶みおび御帶みおびみおびになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは道之長乳齒みちのながちは道之長乳齒みちのながちはみちのながちはののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる御裳みも御裳みもみもになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、ののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる御衣みけし御衣みけしみけしになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、和豆良比能宇斯能わづらひのうしの和豆良比能宇斯能わづらひのうしのわずらひのうしのののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる御褌みはかま御褌みはかまみはかまになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、ののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる御冠みかがふり御冠みかがふりみかがふりになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、飽咋之宇斯能あきぐひのうしの飽咋之宇斯能あきぐひのうしのあきぐいのうしのののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる左ひだり左ひだりひだりののの御手みて御手みてみてののの手纏たまき手纏たまきたまきになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、ののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに奧津那藝佐毘古おきつなぎさびこ奧津那藝佐毘古おきつなぎさびこおきつなぎさびこののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに奧津甲斐辨羅おきつかひべら奧津甲斐辨羅おきつかひべらおきつかいべらののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに投いた投いたいたげげげ棄う棄ううつるつるつる右みぎり右みぎりみぎりののの御手みて御手みてみてののの手纏たまき手纏たまきたまきににに成な成ななりませるりませるりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは邊疎へざかる邊疎へざかるへざかるののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに邊津那藝佐毘古へつなぎさびこ邊津那藝佐毘古へつなぎさびこへつなぎさびこののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに邊津甲斐辨羅へつかひべら邊津甲斐辨羅へつかひべらへつかいべらののの神かみ神かみかみ。。。右みぎり右みぎりみぎりののの件くだり件くだりくだり、、、船戶ふなど船戶ふなどふなどののの神かみ神かみかみよりよりより以下しも以下しもしも、、、邊津甲斐辨羅へつかひべら邊津甲斐辨羅へつかひべらへつかいべらののの神かみ神かみかみまでまでまで、、、十二柱とをまりふたはしら十二柱とをまりふたはしらとおまりふたはしらははは御身みみ御身みみみみにつけるにつけるにつける物もの物ものものををを脫ぬ脫ぬぬぎぎぎ棄う棄ううててて給たま給たまたまひしにひしにいしに因よし因よしよしりてりてりて生な生ななりませるりませるりませる神かみ神かみかみなりなりなり。。。是以伊邪那岐大神詔。吾者到於伊那志許米〈上〉志許米岐〈此九字以音〉穢國而在祁理。〈此二字以音〉故吾者爲御身之禊而。到坐竺紫日向之橘小門之阿波岐〈此三字以音〉原而。禊祓也。故於投棄御杖所成神名。衝立船戶神。次於投棄御帶所成神名。道之長乳齒神。次於投棄御裳所成神名。時置師神。次於投棄御衣所成神名。和豆良比能宇斯能神。〈此神名以音〉次於投棄御褌所成神名。道俣神。次於投棄御冠所成神名。飽咋之宇斯能神。〈自宇以下三字以音〉次於投棄左御手之手纏所成神名。奧疎神。〈訓奧云於伎下效此訓疎云奢加留下效此〉次奧津那藝佐毘古神。〈自那以下五字以音下效此〉次奧津甲斐辨羅神。〈自甲以下四字以音下效此〉次於投棄右御手之手纏所成神名。邊疎神。次邊津那藝佐毘古神。次邊津甲斐辨羅神。右件自船戶神以下。邊津甲斐辨羅神以前。十二神者。因脫著身之物。所生神也。
  2. 2こゝにこゝにここに、、、「「「上かみ上かみかみつつつ瀨せ瀨せせははは瀨速せはや瀨速せはやせはやししし、、、下しも下しもしもつつつ瀨せ瀨せせははは瀨弱せよわ瀨弱せよわせよわししし。。。」」」ととと詔の詔ののりごちりごちりごち給たま給たまたまひてひていて、、、初はじ初はじはじめてめてめて中なか中なかなかつつつ瀨せ瀨せせににに降くだ降くだくだりりり潛かづ潛かづかずきてきてきて滌すす滌すすすすぎぎぎ給たま給たまたまふふう時とき時ときときににに、、、なりませるなりませるなりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなはははののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに大禍津日おほまがつひ大禍津日おほまがつひおおまがつひののの神かみ神かみかみ、、、このこのこの二神ふたはしら二神ふたはしらふたはしらははは、、、かのかのかの穢きたな穢きたなきたなききき繁國しきぐに繁國しきぐにしきぐにににに到いた到いたいたりまししりまししりましし時とき時ときときののの汙垢けがれ汙垢けがれけがれににに因よし因よしよしりてなりませるりてなりませるりてなりませる神かみ神かみかみなりなりなり。。。次つぎ次つぎつぎににに其そ其そそののの禍まが禍まがまがををを直なほ直なほなおさんとしてさんとしてさんとして、、、なりませるなりませるなりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなはははののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに大直毘おほなほび大直毘おほなほびおおなおびののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎにににののの神かみ神かみかみ。。。次つぎ次つぎつぎににに水底みなそこ水底みなそこみなそこににに滌すす滌すすすすぎぎぎ給たま給たまたまふふう時とき時ときときになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは底津綿津見そこつわたつみ底津綿津見そこつわたつみそこつわたつみののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎにににののの命みこと命みことみこと。。。中なか中なかなかににに滌すす滌すすすすぎぎぎ給たま給たまたまふふう時とき時ときときになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは中津綿津見なかつわたつみ中津綿津見なかつわたつみなかつわたつみののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに中筒之男なかづつのを中筒之男なかづつのをなかずつのおののの命みこと命みことみこと。。。水みづ水みづみずののの上うへ上うへうえににに滌すす滌すすすすぎぎぎ給たま給たまたまふふう時とき時ときときになりませるになりませるになりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは上津綿津見うはつわたつみ上津綿津見うはつわたつみうわつわたつみののの神かみ神かみかみ、、、次つぎ次つぎつぎににに上筒之男うはづつのを上筒之男うはづつのをうわずつのおののの命みこと命みことみこと。。。此こ此ここののの三柱みはしら三柱みはしらみはしらのののののの神かみ神かみかみははは、、、ののの連等むらじら連等むらじらむらじらががが祖神おやがみ祖神おやがみおやがみととと以も以ももちちち齋いつ齋いついつくくく神かみ神かみかみなりなりなり。。。故かれ故かれかれ阿曇あづみ阿曇あづみあずみののの連等むらじら連等むらじらむらじらははは、、、此こ此ここののの綿津見わたつみ綿津見わたつみわたつみののの神かみ神かみかみののの御子みこ御子みこみこ、、、宇津志日金拆うつしひがなさく宇津志日金拆うつしひがなさくうつしひがなさくののの命みこと命みことみことののの子孫すゑ子孫すゑすえなりなりなり。。。其そ其そそののの底筒之男そこづつのを底筒之男そこづつのをそこずつのおののの命みこと命みことみこと、、、中筒之男なかづつのを中筒之男なかづつのをなかずつのおののの命みこと命みことみことととと上筒之男うはづつのを上筒之男うはづつのをうわずつのおののの命みこと命みことみこと三柱みはしら三柱みはしらみはしらののの神かみ神かみかみははは、、、ののの江え江ええののの三前みまへ三前みまへみまえののの大神おほかみ大神おほかみおおかみなりなりなり。。。於是詔之上瀨者瀨速。下瀨者瀨弱而。初於中瀨隨迦豆伎而。滌時。所成坐神名。八十禍津日神。〈訓禍云摩賀下效此〉次大禍津日神。此二神者。所到其穢繁國之時因汙垢而所成之神者也。次爲直其禍而所成神名。神直毘神。〈毘字以音下效此〉次大直毘神。次伊豆能賣神。〈幷三神也。伊以下四字以音〉次於水底滌時所成神名。底津綿上津見神。次底筒之男命。於中滌時所成神名。中津綿上津見神。次中筒之男命。於水上滌時所成神名。上津綿上津見神。〈訓上云宇閇〉次上筒之男命。此三柱綿津見神者。阿曇連等之祖神以伊都久神也。〈伊以下三字以音下效此〉故阿曇連等者。其綿津見神之子。宇都志日金拆命之子孫也。〈宇都志三字以音〉其底筒之男命中筒之男命上筒之男命三柱神者。墨江之三前大神也。
  3. 3こゝにこゝにここに左ひだり左ひだりひだりののの御目みめ御目みめみめををを洗あら洗あらあらひひひ給たま給たまたまひしひしいし時とき時ときときににに、、、なりませるなりませるなりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、。。。次つぎ次つぎつぎににに右みぎり右みぎりみぎりののの御目みめ御目みめみめををを洗あら洗あらあらひひひ給たま給たまたまひしひしいし時とき時ときときににに、、、なりませるなりませるなりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、ののの命みこと命みことみこと。。。次つぎ次つぎつぎににに御鼻みはな御鼻みはなみはなををを洗あら洗あらあらひひひ給たま給たまたまひしひしいし時とき時ときときににに、、、成な成ななりませるりませるりませる神かみ神かみかみののの御名みな御名みなみなははは、、、ののの命みこと命みことみこと。。。右みぎり右みぎりみぎりののの件くだり件くだりくだり、、、八十禍津日やそまがつひ八十禍津日やそまがつひやそまがつひののの神かみ神かみかみよりよりより速須佐之男はやすさのを速須佐之男はやすさのをはやすさのおののの命みこと命みことみことまでまでまで、、、十四柱とをまりよはしら十四柱とをまりよはしらとおまりよはしらののの神かみ神かみかみははは、、、御身みみ御身みみみみををを滌すす滌すすすすぎぎぎ給たま給たまたまふにふにうに因よし因よしよしりてりてりて生う生ううれませるれませるれませる神かみ神かみかみなりなりなり。。。於是洗左御目時。所成神名。天照大御神。次洗右御目時。所成神名。月讀命。次洗御鼻時。所成神名。建速須佐之男命。〈須佐二字以音〉右件八十禍津日神以下。速須佐之男命以前。十四柱神者。因滌御身所生者也。
  4. 4此こ此ここののの時とき時ときとき伊邪那岐いざなぎ伊邪那岐いざなぎいざなぎののの命みこと命みことみこと大いた大いたいたくくく歡喜えら歡喜えらえらばしてばしてばして詔の詔ののりりり給たま給たまたまはくはくわく、、、「「「吾あ吾ああははは御子みこ御子みこみこ生う生ううみみみ生う生ううみてみてみて生う生ううみのみのみの果は果ははてにてにてに、、、三柱みはしら三柱みはしらみはしらののの得え得ええたりたりたり。。。」」」ととと詔の詔ののりりり給たま給たまたまひてひていて、、、やがてやがてやがて其そ其そそののの御頸珠みくびたま御頸珠みくびたまみくびたまののの玉たま玉たまたまののの緒を緒をお母由良もゆら母由良もゆらもゆらににに取と取ととりゆらかしてりゆらかしてりゆらかして、、、天照大御神あまてらすおほみかみ天照大御神あまてらすおほみかみあまてらすおおみかみににに賜たま賜たまたまひてひていて詔の詔ののりりり給たま給たまたまはくはくわく、、、「「「ながながなが命みこと命みことみことははは高天たかま高天たかまたかまののの原はら原はらはらををを知し知ししらせらせらせ。。。」」」ととと事こと事ことこと依よ依よよさしてさしてさして賜たま賜たまたまひきひきいき。。。かれかれかれ其そ其そそののの御頸珠みくびたま御頸珠みくびたまみくびたまののの名な名ななをををととと申まを申まをもうすすす。。。次つぎ次つぎつぎににに月讀つくよみ月讀つくよみつくよみののの命みこと命みことみことににに詔の詔ののりりり給たま給たまたまはくはくわく、、、「「「汝な汝ななががが命みこと命みことみことははは夜よる夜よるよるのののををを知し知ししらせらせらせ。。。」」」ととと事こと事ことこと依よ依よよさしさしさし給たま給たまたまひきひきいき。。。次つぎ次つぎつぎににに建速須佐之男たけはやすさのを建速須佐之男たけはやすさのをたけはやすさのおののの命みこと命みことみことににに詔の詔ののりりり給たま給たまたまはくはくわく、、、「「「汝な汝ななががが命みこと命みことみことははは海原うなはら海原うなはらうなはらををを知し知ししらせらせらせ。。。」」」ととと事こと事ことこと依よ依よよさしさしさし給たま給たまたまひきひきいき。。。此時伊邪那岐命大歡喜詔。吾者生生子而。於生終得三貴子。卽其御頸珠之玉緒母由良邇〈此四字以音下效此〉取由良迦志而。賜天照大御神而詔之。汝命者。所知高天原矣。事依而賜也。故其御頸珠名謂御倉板擧之神。〈訓板擧云多那〉次詔月讀命。汝命者。所知夜之食國矣。事依也。〈訓食云袁須〉次詔建速須佐之男命。汝命者所知海原矣。事依也。
  5. 5かれかれかれ各おのおの各おのおのおのおの依よ依よよさしさしさし給たま給たまたまへるへるえる御言みこと御言みことみことののの隨まにま隨まにままにまににに知召しろしめ知召しろしめしろしめすすす中なか中なかなかににに、、、速須佐之男はやすさのを速須佐之男はやすさのをはやすさのおののの命みこと命みことみこと、、、所命よさ所命よさよさししし給たま給たまたまへるへるえる國くに國くにくにををを知し知ししらさずてらさずてらさずて、、、八拳鬚やつかひげ八拳鬚やつかひげやつかひげ胸前むなさき胸前むなさきむなさきににに至いた至いたいたるまでるまでるまで泣な泣ななきいさちききいさちききいさちき。。。其そ其そそののの泣な泣ななききき給たま給たまたまふふう狀さま狀さまさまははは、、、靑山あをやま靑山あをやまあおやまををを枯山からやま枯山からやまからやまなすなすなす泣な泣ななききき枯から枯からからししし、、、河海かはうみ河海かはうみかわうみははは悉ことごと悉ことごとことごとににに泣な泣ななききき乾ほ乾ほほしきしきしき。。。是ここ是ここここををを以もつ以もつもつててて惡神あらぶるかみ惡神あらぶるかみあらぶるかみののの音おん音おんおんなひなひない、、、狹蠅さばへ狹蠅さばへさばえなすなすなす皆沸みなわ皆沸みなわみなわききき、、、萬よろづ萬よろづよろずののの物もの物ものものののの妖わざはひ妖わざはひわざわい悉ことごと悉ことごとことごとににに起おこ起おこおこりきりきりき。。。かれかれかれ伊邪那岐いざなぎ伊邪那岐いざなぎいざなぎののの大御神おほみかみ大御神おほみかみおおみかみ、、、速須佐之男はやすさのを速須佐之男はやすさのをはやすさのおののの命みこと命みことみことににに詔の詔ののりりり給たま給たまたまはくはくわく、、、「「「何なに何なになにとかもとかもとかも、、、汝な汝ななははは事こと事ことこと依よ依よよさせるさせるさせる國くに國くにくにををを知し知ししらさずてらさずてらさずて哭な哭ななきいさちるきいさちるきいさちる。。。」」」ととと詔の詔ののりりり給たま給たまたまへばへばえば、、、申まを申まをもうししし給たま給たまたまはくはくわく、、、「「「吾あ吾ああははは妣はは妣ははははののの國くに國くにくに、、、根ね根ねねのののににに罷まか罷まかまからんとらんとらんと思おも思おもおもふがふがうが故かれ故かれかれににに哭な哭ななくくく。。。」」」ととと申まを申まをもうしたまひきしたまひきしたまいき。。。爾ここ爾ここここににに伊邪那岐いざなぎ伊邪那岐いざなぎいざなぎののの大御神おほみかみ大御神おほみかみおおみかみいたくいたくいたく忿怒いか忿怒いかいかしてしてして、、、「「「然しか然しかしからばらばらば汝な汝なな此こ此ここののの國くに國くにくににににはははななな住す住すすみそみそみそ。。。」」」ととと詔の詔ののりりり給たま給たまたまひてひていて、、、乃すなは乃すなはすなわちちち神逐かむやら神逐かむやらかむやらひにひにいに逐やら逐やらやらひひい給たま給たまたまひきひきいき。。。かれかれかれ、、、其そ其そそののの伊邪那岐いざなぎ伊邪那岐いざなぎいざなぎののの大神おほかみ大神おほかみおおかみははは、、、淡海あふみ淡海あふみおうみのののになもましますになもましますになもまします。。。故各隨依賜之命。所知看之中。速須佐之男命。不知所命之國而。八拳須至于心前。啼伊佐知伎也。〈自伊下四字以音下效此〉其泣狀者。靑山如枯山泣枯。河海者悉泣乾。是以惡神之音。如狹蠅皆滿。萬物之妖悉發。故伊邪那岐大御神。詔速須佐之男命。何由以汝。不治所事依之國而。哭伊佐知流。爾答白。僕者欲罷妣國根之堅洲國故哭。爾伊邪那岐大御神大忿怒。詔然者汝不可住此國。乃神夜良比爾夜良比賜也。〈自夜以下七字以音〉故其伊邪那岐大神者。坐淡海之多賀也。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

そこで伊邪那岐大神は、「私はなんとも醜く汚らわしい国に行っていたものだ。だから私は身を清める禊をしよう」とおっしゃって、筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原にお出ましになり、禊をして身を清められた。そのとき、投げ捨てた杖から現れた神の御名は衝立船戸神、次に投げ捨てた帯から現れた神の御名は道之長乳歯神、次に投げ捨てた裳から現れた神の御名は時置師神、次に投げ捨てた衣から現れた神の御名は和豆良比能宇斯能神、次に投げ捨てた袴から現れた神の御名は道俣神、次に投げ捨てた冠から現れた神の御名は飽咋之宇斯能神、次に投げ捨てた左の手の腕輪から現れた神の御名は奥疎神、次に奥津那芸佐毘古神、次に奥津甲斐弁羅神、次に投げ捨てた右の手の腕輪から現れた神の御名は辺疎神、次に辺津那芸佐毘古神、次に辺津甲斐弁羅神である。以上、船戸神から辺津甲斐弁羅神まで十二柱は、身につけていた物を脱ぎ捨てられたことによって生まれた神である。

そこで伊邪那岐命は「上の瀬は流れが速い。下の瀬は流れが弱い」とおっしゃって、初めて中ほどの瀬に降りて水にもぐり、身をすすがれたときに現れた神の御名は、八十禍津日神、次に大禍津日神。この二柱の神は、あの汚れた国に行ったときの穢れから生まれた神である。次にその災いを直そうとして現れた神の御名は、神直毘神、次に大直毘神、次に伊豆能売神。次に水の底ですすがれたときに現れた神の御名は底津綿津見神、次に底筒之男命。水の中ほどですすがれたときに現れた神の御名は中津綿津見神、次に中筒之男命。水の表面ですすがれたときに現れた神の御名は上津綿津見神、次に上筒之男命。この三柱の綿津見神は、阿曇連らが祖先の神としてあがめ祭る神である。阿曇連らは、この綿津見神の子、宇都志日金拆命の子孫である。その底筒之男命・中筒之男命・上筒之男命の三柱の神は、墨江(住吉)の三座の大神である。

そこで左の目を洗われたときに現れた神の御名は、天照大御神。次に右の目を洗われたときに現れた神の御名は、月読命。次に鼻を洗われたときに現れた神の御名は、建速須佐之男命。以上、八十禍津日神から速須佐之男命まで十四柱の神は、身をすすがれたことによって生まれた神である。

このとき伊邪那岐命はたいそうお喜びになって、「私は子を生みに生んで、その最後に三柱の尊い子を得た」とおっしゃると、すぐに首飾りの玉の緒をゆらゆらと鳴らしながら天照大御神にお授けになって、「あなたは高天の原を治めなさい」と任された。その首飾りの名を御倉板挙之神という。次に月読命に「あなたは夜の国を治めなさい」と任された。次に建速須佐之男命に「あなたは海原を治めなさい」と任された。

こうして、それぞれが任された仰せのとおりに治める中で、速須佐之男命だけは任された国を治めずに、長いあごひげが胸元に届くまで泣きわめいていた。その泣くさまは、青々とした山を枯れ山にしてしまうほどに泣き枯らし、川や海の水はことごとく泣き干してしまった。そのため悪い神々の騒ぐ声が夏の蝿のように満ちあふれ、あらゆる災いがいっせいに起こった。そこで伊邪那岐大御神が速須佐之男命に「どうしてあなたは任せた国を治めずに泣きわめいているのか」とおっしゃると、「私は亡き母の国、根の堅州国に行きたいと思うので泣いているのです」とお答えになった。そこで伊邪那岐大御神はひどくお怒りになって、「それならば、あなたはこの国に住んではならない」とおっしゃって、ただちに追放してしまわれた。その伊邪那岐大神は、近江の多賀にいらっしゃる。

意訳

黄泉の国の穢れを洗い流す禊は、神道の祓え・禊の起源とされる場面です。今も神社で唱えられる祓詞の冒頭「掛けまくも畏き伊邪那岐大神、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に禊ぎ祓へ給ひし時に…」は、この一節にもとづいています。身につけた物を一つずつ投げ捨てるたびに、道や境・岐路にかかわる神々が生まれるのは、旅から帰った者が道中で身についた悪いものを振り払うという考えを表しているのでしょう。

水の中で身をすすぐと、まず穢れそのものから災いの神(禍津日神)が生まれ、次にそれを直す神(直毘神)が生まれます。悪いものを出し切ってから正すという順序で、清めの儀礼の仕組みが神話として語られています。続いて海の底・中・表面から生まれる綿津見神と筒之男命は、航海と漁業を担った海の民(阿曇氏)や住吉大社の神で、海に生きる人々の信仰が古事記の中に組み込まれていることがわかります。

最後に生まれた三柱の神は、天・夜・海を分けて治めることになります。ところが末子の須佐之男命は、大人になっても母を恋しがって泣き続け、世界に災いをもたらします。泣き声で山が枯れ川や海が干上がるという誇張は、この神が荒々しい力そのものであることを示しています。父に追放された須佐之男命が、この後、姉の天照大御神のいる高天の原へ向かうところから、物語は大きく動き出します。

語釈・文法注

志許米志許米岐
「しこめしこめき」。醜く汚らわしい、の意。「しこ」は醜いものをいう。原文は音で書く。
禊
水に入って身についた罪や穢れを洗い清めること。「祓」は罪や穢れを払いのけること。
阿波岐原
筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原。宮崎市阿波岐原町の江田神社付近に当てる説があるが、特定の地名ではないとする説もある。
衝立船戶の神
杖から生まれた神。「衝き立つ」は杖を突き立てること、「ふなど」は「来な処(ここに来るな)」の意とされ、悪いものの侵入を防ぐ道の神(岐の神)。
時置師の神
裳から生まれた神。通行本文は「時量師神(ときはかしのかみ)」とし、底本は「時置師」と刷る。訓み下しも「ときおかし」と読む。
道俣の神
袴から生まれた神。袴の股の形から、道の分かれ目(ちまた)の神とされる。
奧疎の神
「おきざかる」。沖へ遠ざかる意。以下の奥津那芸佐毘古神(沖の渚)、奥津甲斐弁羅神(沖の海辺)と、辺(へ=岸辺)の三神とが対になる。
八十禍津日の神
「まが」は災い、「つ」は「の」、「ひ」は霊力。黄泉の国の穢れから生まれた、災いをもたらす神。
神直毘の神
禍(まが)を直す神。「なほび」は直す霊力。災いの神に続いて生まれ、穢れを正す。
伊豆能賣の神
神聖な女神の意とされる。厳(いつ)の女。
綿津見の神
海の神。底・中・表面の三柱が生まれ、阿曇氏が祖先神として祭った。福岡市の志賀海神社に祭られる。
底筒之男の命
底筒之男・中筒之男・上筒之男の三神は「住吉三神」と呼ばれ、航海の守り神として大阪の住吉大社に祭られる。「つつ」は星、または津(港)の男の意ともいう。
阿曇の連
海人(あま)を率いた古代の豪族。九州の志賀島を本拠とし、のちに各地に広がった。信濃の安曇野はその名残とされる。
墨の江
住吉(すみのえ)。今の大阪市住吉区のあたり。「三前の大神」は三座の大神の意。
天照大御神
太陽の女神。伊邪那岐命の左の目から生まれ、高天の原を治める。皇室の祖先神とされ、伊勢神宮の内宮に祭られる。
月讀の命
月の神。右の目から生まれ、夜の国を治める。古事記ではこの後ほとんど登場しない。
建速須佐之男の命
「たけ」「はや」は勇ましく速い、「すさ」は荒ぶ、または出雲の須佐の地名による。鼻から生まれ、海原を治めるよう命じられるが従わない。
貴子
「うづのみこ」。尊い子。天照大御神・月読命・須佐之男命の三柱を「三貴子(みはしらのうずのみこ)」という。
御倉板擧之神
天照大御神に授けた首飾りの玉の名。倉の棚(たな)の上に大切に祭った神の意とされる。
夜の食國
夜の世界。「食国(をすくに)」は治める国の意。
根の堅洲國
須佐之男命が「妣(はは)の国」と呼ぶ、地下または海の彼方にある国。黄泉の国と同じとする説と、別の世界とする説がある。のちに須佐之男命が住み、大国主神が訪れる。
淡海の多賀
近江の多賀。滋賀県犬上郡多賀町の多賀大社に伊邪那岐命を祭る。日本書紀は淡路の多賀とする。

文法

禊せな
「禊す」の未然形+意志の終助詞「な」。「禊をしよう」。
隨迦豆伎而
底本どおり。通行本文は「墮迦豆伎而(おりかづきて)」で、水にもぐる意。訓み下しは「降り潜きて」とする。
知らせ
「知る」(治める)の未然形+尊敬の助動詞「す」の命令形。「お治めなさい」。神々が国を「知る」とは、その地を支配することをいう。
泣きいさちき
「いさつ」は激しく泣きわめく意。原文は「啼伊佐知伎也」と、動詞の一部を音で書く。
な住みそ
「な…そ」の禁止の形。「住んではならない」。

解説

禊の場面は、伊邪那岐命の物語の締めくくりであり、同時に天照大御神・月読命・須佐之男命という重要な三神の誕生を語る場面です。中国の盤古神話では、死んだ巨人の左目が太陽、右目が月になったとされ、目から日月の神が生まれる点で共通しています。

禊によって生まれる神々の多くは、のちの信仰と深く結びついています。住吉三神は航海の神として遣唐使の船に祭られ、綿津見神を祖とする阿曇氏は海人を率いて朝廷に仕えました。八十禍津日神と直毘神の組み合わせは、のちに本居宣長が、世の中の悪しき事は禍津日神のしわざであると説く思想(『直毘霊』)の根拠になりました。

天照大御神に高天の原、月読命に夜の国、須佐之男命に海原という分担は、日本書紀の本文では、天照大神に天上、月読尊に天上(あるいは海原)、素戔嗚尊に根の国と、伝えによって少しずつ違います。古事記では、須佐之男命が命令に背いて追放されることで、次の天照大御神との対決の物語へと自然につながっていきます。

関連

出典

底本
古事記(佐伯常麿校註) 国民図書、昭和4年(1929)。41〜46頁。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(原文・訓み下しは底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日