古典ライブラリー

平家物語 巻第二

康頼祝詞の事

鬼界が島の流人たちは、成経の舅教盛から送られる衣食で命をつなぐ。熊野を信仰する成経と康頼は、島の中に熊野三山に似た地を見立てて三所権現を勧請し、毎日熊野詣でのまねをして帰洛を祈る。不信心な俊寛はこれに加わらない。康頼は花を幣に代えて、権現の徳をたたえる祝詞を捧げた。

  1. 1さるさるさる程ほど程ほどほどににに鬼き鬼きき界かい界かいかいががが島しま島しましまののの流る流るる人にん人にんにんどもどもども、、、露つゆ露つゆつゆののの命いのち命いのちいのち草くさ草くさくさ葉ば葉ばばののの末すゑ末すゑすえにににかゝつかゝつかかっててて、、、惜を惜をおしむしむしむべしべしべしとととにににはははあらあらあらねねねどもどもども、、、丹たん丹たんたん波ば波ばばののの少せう少せうしょう將しやう將しやうしょうののの舅しうと舅しうとしゅうと平へい平へいへい宰さい宰さいさい相しやう相しやうしょう教のり教のりのり盛もり盛もりもりののの領りやう領りやうりょう、、、肥ひ肥ひひ前ぜん前ぜんぜんののの國くに國くにくに鹿か鹿かか瀨せ瀨せせののの莊しやう莊しやうしょうよりよりより、、、衣い衣いい食しよく食しよくしょくををを常つね常つねつねににに送おく送おくおくららられれれたりたりたりけれけれければばば、、、それそれそれにににてててぞぞぞ俊しゆん俊しゆんしゅん寛くわん寛くわんかんももも康やす康やすやす賴より賴よりよりももも命いのち命いのちいのち生い生いいきききてててははは過すご過すごすごしししけるけるける。。。中なか中なかなかにににももも康やす康やすやす賴より賴よりよりははは流なが流ながながささされれれししし時とき時ときとき、、、周す周すす防はう防はうほうののの室むろ室むろむろ積づみ積づみづみにににててて出しゆつ出しゆつしゅっ家け家けけしししてててけりけりけり。。。法ほふ法ほふほう名みやう名みやうみょうをををばばば性しやう性しやうしょう照せう照せうしょうとととこそこそこそつけつけつけたりたりたりけれけれけれ。。。出しゆつ出しゆつしゅっ家け家けけはははもとよりもとよりもとより望のぞ望のぞのぞみみみなりなりなりけれけれければばば、、、
  2. 2遂つひ遂つひついにににかくかくかく背そむ背そむそむきききはてはてはてけるけるける世よ世よよののの中なか中なかなかをををとくとくとく捨す捨すすてててざりざりざりししし事こと事ことことぞぞぞくやしきくやしきくやしき
  3. 3丹たん丹たんたん波ば波ばばののの少せう少せうしょう將しやう將しやうしょうととと康やす康やすやす賴より賴よりより入にふ入にふにゅう道だう道だうどうとととははは、、、もとよりもとよりもとより熊くま熊くまくま野の野のの信しん信しんしん心じん心じんじんののの人ひと人ひとひと々びと々びとびとにににててておはしおはしおわしけれけれければばば、、、いかにいかにいかにもももしてしてしてこのこのこの島しま島しましまののの内うち内うちうちににに三さん三さんさん所じよ所じよじょ權ごん權ごんごんををを勸くわん勸くわんかん請じやう請じやうじょうししし奉たてまつ奉たてまつたてまつつつっててて、、、歸き歸きき洛らく洛らくらくののの事こと事ことことををを祈いの祈いのいのらららばやばやばやととといふいふいうににに、、、天てん天てんてん性せい性せいせいこのこのこの俊しゆん俊しゆんしゅん寛くわん寛くわんかんははは不ふ不ふふ信しん信しんしん第だい第だいだい一いち一いちいちののの人ひと人ひとひとにににててて、、、これこれこれををを用もち用もちもちゐゐいずずず。。。二ふた二ふたふた人り人りりははは同おな同おなおなじじじ心こころ心こころこころにににててて、、、もしもしもし熊くま熊くまくま野の野ののににに似に似ににたるたるたる所ところ所ところところもももやややあるあるあるととと、、、島しま島しましまののの内うち内うちうちををを尋たづ尋たづたずねねねまはるまはるまわるににに、、、或あるい或あるいあるいははは林りん林りんりん塘たう塘たうとうののの妙たへ妙たへたえなるなるなるありありあり、、、紅こう紅こうこう錦きん錦きんきん繡しう繡しうしゅうのののよそほひよそほひよそおい品しな品しなしな々じな々じなじなににに、、、或あるい或あるいあるいははは雲うん雲うんうん嶺れい嶺れいれいのののあやしきあやしきあやしきありありあり、、、碧へき碧へきへき羅ら羅らら綾りよう綾りようりょうののの色いろ色いろいろ一ひと一ひとひとつつつにににあらあらあらずずず。。。山やま山やまやまののの景けい景けいけい色しき色しきしき、、、樹き樹ききののの木こ木ここ立だち立だちだちににに至いた至いたいたるるるまでまでまで、、、外ほか外ほかほかよりよりよりもももなほなほなおすぐれすぐれすぐれたりたりたり。。。
  4. 4南みなみ南みなみみなみををを望のぞ望のぞのぞめめめばばば海うみ海うみうみ漫まん漫まんまん々まん々まんまんとととしてしてして、、、雲くも雲くもくもののの波なみ波なみなみ、、、煙けぶり煙けぶりけぶりののの波なみ波なみなみふかくふかくふかく、、、北きた北きたきたををを顧かへり顧かへりかえりみみみれれればばば、、、またまたまた山さん山さんさん嶽がく嶽がくがくののの峨が峨がが々が々ががたるたるたるよりよりより、、、百ひやく百ひやくひゃく尺せき尺せきせきののの瀧りう瀧りうりゅう水すゐ水すゐすい漲みなぎ漲みなぎみなぎりりり落お落おおちちちたりたりたり。。。瀧たき瀧たきたきののの音おと音おとおとことことことにににすさまじくすさまじくすさまじく、、、松まつ松まつまつ風かぜ風かぜかぜ神かみ神かみかみさびさびさびたるたるたる住すま住すますま居ひ居ひひ、、、飛ひ飛ひひ瀧りう瀧りうりゅう權ごん權ごんごん現げん現げんげんのののおはしますおはしますおわします、、、那な那なな智ち智ちちののの御み御みみ山やま山やまやまにににさささももも似に似ににたりたりたりけりけりけり。。。さてさてさてこそこそこそやがてやがてやがて、、、そこそこそこをををばばば那な那なな智ち智ちちののの御み御みみ山やま山やまやまとととははは名な名ななづけづけづけけれけれけれ。。。
  5. 5このこのこの峯みね峯みねみねははは新しん新しんしん宮ぐう宮ぐうぐう、、、かれかれかれははは本ほん本ほんほん宮ぐう宮ぐうぐう、、、これこれこれはははそんじやうそんじやうそんじょうそのそのその王わう王わうおう子じ子じじ、、、かのかのかの王わう王わうおう子じ子じじなどなどなど、、、王わう王わうおう子じ子じじ々わう々わうおう々じ々じじののの名な名ななををを申まう申まうもうしししててて、、、康やす康やすやす賴より賴よりより入にふ入にふにゅう道だう道だうどう先せん先せんせん達だち達だちだちにににててて、、、丹たん丹たんたん波ば波ばばののの少せう少せうしょう將しやう將しやうしょう相あひ相あひあい具ぐ具ぐぐしししつゝつゝつつ、、、日ひ日ひひ毎ごと毎ごとごとににに熊くま熊くまくま野の野のの詣まうで詣まうでもうでのののまねまねまねをををしししててて、、、歸き歸きき洛らく洛らくらくののの事こと事ことことをををぞぞぞ祈いの祈いのいのりりりけるけるける。。。「「「南な南なな無む無むむ權ごん權ごんごん現げん現げんげん、、、金こん金こんこん剛がう剛がうごう童どう童どうどう子じ子じじ、、、願ねが願ねがねがははわくはくはくわ憐あはれ憐あはれあわれみみみををを垂た垂たたれれれさせさせさせおはしましおはしましおわしまし、、、われらわれらわれらををを今いま今いまいま一いち一いちいち度ど度どど故こ故ここ鄕きやう鄕きやうきょうへへへ返かへ返かへかへししし入い入いいれれれさせさせさせ給たま給たまたまひひいててて、、、妻さい妻さいさい子し子ししをををももも見み見みみせせせさせさせさせたまへたまへたまえ。。。」」」とととぞぞぞ祈いの祈いのいのりりりけるけるける。。。日ひ日ひひ數かず數かずかずつもつつもつつもっててて、、、たちたちたちかふかふかうべきべきべき淨じやう淨じやうじょう衣え衣ええもももなけれなけれなければばば、、、麻あさ麻あさあさののの衣ころも衣ころもころもををを身み身みみにににまとひまとひまとい、、、澤さは澤さはさわべべべののの水みづ水みづみずををを垢こ垢ここ離り離りりにににかいかいかいてててははは、、、岩いは岩いはいわ田た田たた川がは川がはがわののの淸きよ淸きよきよききき流なが流ながながれれれととと思おも思おもおもひひいやりやりやり、、、高たか高たかたかききき所ところ所ところところににに上あが上あがあがつつってててははは發ほつ發ほつほっ身しん身しんしん門もん門もんもんとととぞぞぞ觀くわん觀くわんかんじじじけるけるける。。。
  6. 6康やす康やすやす賴より賴よりより入にふ入にふにゅう道だう道だうどうははは參まゐ參まゐまいるるるたびたびたびごとごとごとににに、、、三さん三さんさん所じよ所じよじょ權ごん權ごんごん現げん現げんげんののの御おん御おんおん前まへ前まへまえにににててて祝のつ祝のつのっ詞と詞ととををを申まう申まうもうすすすににに、、、御ご御ごご幣へい幣へいへい紙がみ紙がみがみもももなけれなけれなければばば、、、花はな花はなはなををを手た手たた折を折をおりりりててて捧さゝ捧さゝささげげげつゝつゝつつ、、、
  7. 7「「「維ゐ維ゐい當あた當あたあた歳るさい歳るさいるさい次じ次じじ治ぢ治ぢじ承しよう承しようしょう元ぐわん元ぐわんがん年ねん年ねんねん丁ひのと丁ひのとひのとののの酉とり酉とりとり、、、月つき月つきつきのののならびならびならびははは十じふ十じふじゅう月ぐわつ月ぐわつがつ二ふつ二ふつふつ日か日かか、、、日ひ日ひひののの數かず數かずかずははは三さん三さんさん百びやく百びやくびゃく五ご五ごご十じふ十じふじゅう餘よ餘よよ箇か箇かか日にち日にちにち、、、吉きち吉きちきち日じつ日じつじつ良りやう良りやうりょう辰しん辰しんしんををを擇えら擇えらえらんんんででで、、、かけまくかけまくかけまくもももかたじけなくかたじけなくかたじけなく日につ日につにっ本ぽん本ぽんぽん第だい第だいだい一いち一いちいちののの大たい大たいたい靈れい靈れいれい驗げん驗げんげん、、、熊ゆ熊ゆゆ野や野やや三さん三さんさん所しよ所しよしょ權ごん權ごんごん現げん現げんげん飛ひ飛ひひ瀧りう瀧りうりゅう大だい大だいだい薩さつ薩さつさつ埵た埵たたののの教けう教けうきょう令りやう令りやうりょう、、、うづうづうずののの廣ひろ廣ひろひろ前まへ前まへまえにににしてしてして、、、信しん信しんしん心じん心じんじんののの大だい大だいだい施せ施せせ主しゆ主しゆしゅ、、、羽う羽うう林りん林りんりん藤ふぢ藤ふぢふじ原はら原はらはらののの成なり成なりなり經つね經つねつね、、、竝ならび竝ならびならびににに沙しや沙しやしゃ彌み彌みみ性しやう性しやうしょう照せう照せうしょう、、、一いつ一いついっ心しん心しんしん淸しやう淸しやうしょう淨じやう淨じやうじょうのののまことまことまことををを致いた致いたいたししし、、、三さん三さんさん業ごふ業ごふごう相さう相さうそう應おう應おうおうののの志こころざし志こころざしこころざしをををぬきんでぬきんでぬきんでててて、、、謹つゝし謹つゝしつつしんんんででで以もつ以もつもっててて敬うやま敬うやまうやまひひい白まう白まうもうすすす。。。
  8. 8それそれそれ證しよう證しようしょう誠じやう誠じやうじょう大だい大だいだい菩ぼ菩ぼぼ薩さつ薩さつさつははは濟さい濟さいさい度ど度どど苦く苦くく界かい界かいかいののの教けう教けうきょう主しゆ主しゆしゅ、、、三さん三さんさん身じん身じんじん圓ゑん圓ゑんえん滿まん滿まんまんののの覺かく覺かくかく王わう王わうおうなりなりなり。。。或あるい或あるいあるいははは東とう東とうとう方ばう方ばうぼう淨じやう淨じやうじょう瑠る瑠るる璃り璃りり醫い醫いい王わう王わうおうののの主しゆ主しゆしゅ、、、衆しゆ衆しゆしゅ病びやう病びやうびょう悉しつ悉しつしつ除ぢよ除ぢよじょののの如によ如によにょ來らい來らいらいなりなりなり。。。或あるい或あるいあるいははは南なん南なんなん方ばう方ばうぼう補ふ補ふふ陀だ陀だだ落らく落らくらく能のう能のうのう化け化けけののの主しゆ主しゆしゅ、、、入にふ入にふにゅう重ぢゆう重ぢゆうじゅう玄げん玄げんげん門もん門もんもんののの大だい大だいだい士じ士じじ、、、若にやく若にやくにゃく王わう王わうう子じ子じじははは娑しや娑しやしゃ婆ば婆ばば世せ世せせ界かい界かいかいののの本ほん本ほんほん主しゆ主しゆしゅ、、、施せ施せせ無む無むむ畏ゐ畏ゐい者しや者しやしゃののの大だい大だいだい士じ士じじ、、、頂ちやう頂ちやうちょう上じやう上じやうじょうののの佛ぶつ佛ぶつぶつ面めん面めんめんををを現げん現げんげんじじじててて、、、衆しゆ衆しゆしゅ生じやう生じやうじょうののの諸しよ諸しよしょ願ぐわん願ぐわんがんををを滿み滿みみてててしめしめしめ給たま給たまたまへへえりりり。。。
  9. 9これこれこれににに依よ依よよつつっててて、、、上かみ上かみかみ一いち一いちいち人にん人にんにんよりよりより下しも下しもしも萬ばん萬ばんばん民みん民みんみんににに至いた至いたいたるるるまでまでまで、、、或あるい或あるいあるいははは現げん現げんげん世せ世せせ安あん安あんあん穩をん穩をんおんののの爲ため爲ためため、、、或あるい或あるいあるいははは後ご後ごご生しやう生しやうしょう善ぜん善ぜんぜん所しよ所しよしょののの爲ため爲ためためににに、、、朝あした朝あしたあしたにににははは淨じやう淨じやうじょう水すゐ水すゐすいををを掬むす掬むすむすんんんででで、、、煩ぼん煩ぼんぼん惱なう惱なうのうのののあかあかあかををを濯すゝ濯すゝすすぎぎぎ、、、夕ゆふべ夕ゆふべゆうべにににははは深しん深しんしん山ざん山ざんざんににに向むか向むかむかつつっててて法ほふ法ほふほう號がう號がうごうををを唱とな唱となとなふるふるうるににに、、、感かん感かんかん應おう應おうおうおこたるおこたるおこたる事こと事ことことなしなしなし。。。峨が峨がが々が々ががたるたるたる峯みね峯みねみねののの高たか高たかたかきききをををばばば神しん神しんしん德とく德とくとくののの高たか高たかたかきききにににたとへたとへたとえ、、、嶮けん嶮けんけん々けん々けんけんたるたるたる谷たに谷たにたにののの深ふか深ふかふかきききをををばばば弘ぐ弘ぐぐ誓ぜい誓ぜいぜいののの深ふか深ふかふかきききににになぞらへなぞらへなぞらえててて、、、雲くも雲くもくもををを分わ分わわけけけててて上のぼ上のぼのぼりりり露つゆ露つゆつゆををを凌しの凌しのしのいいいででで下くだ下くだくだるるる。。。こゝこゝここににに利り利りり益やく益やくやくののの地ち地ちちをををたのまたのまたのまずずずんんんばばば、、、いかでいかでいかでかかか歩あゆ歩あゆあゆみみみををを險けん險けんけん難なん難なんなんののの道みち道みちみちににに運はこ運はこはこばばばんんん。。。權ごん權ごんごん現げん現げんげんののの德とく德とくとくををを仰あふ仰あふあおがががずずずんんんばばば、、、何なん何なんなんぞぞぞ必かなら必かならかならずずずしもしもしも幽いう幽いうゆう遠をん遠をんおんののの境さかひ境さかひさかいにににましましましまさまさまさんんんややや。。。
  10. 10依よ依よよつつっててて證しよう證しようしょう誠じやう誠じやうじょう權ごん權ごんごん現げん現げんげん飛ひ飛ひひ瀧りう瀧りうりゅう大だい大だいだい薩さつ薩さつさつ埵た埵たた、、、各おのおの各おのおのおのおの靑しやう靑しやうしょう蓮れん蓮れんれん慈じ慈じじ悲ひ悲ひひのののまなじりまなじりまなじりををを相あひ相あひあい竝なら竝ならならべべべ、、、さをしかさをしかさおしかののの御おん御おんおん耳みみ耳みみみみをををふりふりふり立た立たたてててててて、、、われらわれらわれらががが無む無むむ二に二ににののの丹たん丹たんたん精せい精せいせいををを知ち知ちち見けん見けんけんしししててて、、、一いち一いちいち々いち々いちいちののの懇こん懇こんこん志し志ししををを納なふ納なふのう受じゆ受じゆじゅじじじ給たま給たまたまへへえ。。。しかれしかれしかればばばすなはちすなはちすなわち、、、むすぶむすぶむすぶはやはやはや玉たま玉たまたまののの兩りやう兩りやうりょう所しよ所しよしょ權ごん權ごんごん現げん現げんげん、、、機き機ききににに從したが從したがしたがつつっててて或あるい或あるいあるいははは有う有うう緣えん緣えんえんののの衆しゆ衆しゆしゅ生じやう生じやうじょうををを導みちび導みちびみちびききき、、、或あるい或あるいあるいははは無む無むむ緣えん緣えんえんののの羣ぐん羣ぐんぐん類るゐ類るゐるいををを救すく救すくすくははわんんんががが爲ため爲ためためににに、、、七しつ七しつしっ寶ぽう寶ぽうぽう莊しやう莊しやうしょう嚴ごん嚴ごんごんのののすみかすみかすみかををを捨す捨すすてててててて、、、八はち八はちはち萬まん萬まんまん四し四しし千せん千せんせんののの光ひかり光ひかりひかりをををやはらげやはらげやわらげ、、、六ろく六ろくろく道だう道だうどう三さん三さんさん有う有ううののの塵ちり塵ちりちりににに同どう同どうどうじじじたまへたまへたまえりりり。。。
  11. 11故かるがゆゑ故かるがゆゑかるがゆえににに定ぢやう定ぢやうじょう業ごふ業ごふごう亦やく亦やくやく能のう能のうのう轉てん轉てんてん、、、求ぐ求ぐぐ長ちやう長ちやうちょう壽じゆ壽じゆじゅ、、、得とく得とくとく長ちやう長ちやうちょう壽じゆ壽じゆじゅ、、、禮らい禮らいらい拜はい拜はいはい袖そで袖そでそでをををつらねつらねつらね、、、幣へい幣へいへい帛はく帛はくはく禮れい禮れいれい奠でん奠でんでんををを捧さゝ捧さゝささぐるぐるぐる事こと事ことこと暇ひま暇ひまひまなしなしなし。。。忍にん忍にんにん辱にく辱にくにくののの衣ころも衣ころもころもををを重かさ重かさかさねねね、、、覺かく覺かくかく道だう道だうどうののの花はな花はなはなををを捧さゝ捧さゝささげげげててて、、、神しん神しんしん殿でん殿でんでんののの床ゆか床ゆかゆかをををうごかしうごかしうごかし、、、信しん信しんしん心じん心じんじんののの水みづ水みづみずをををすましすましすましててて、、、利り利りり生しやう生しやうしょうののの池いけ池いけいけををを湛たゝ湛たゝたたへへえたりたりたり。。。神しん神しんしん明めい明めいめい納なふ納なふのう受じゆ受じゆじゅししし給たま給たまたまははわばばば、、、所しよ所しよしょ願ぐわん願ぐわんがん何なん何なんなんぞぞぞ成じやう成じやうじょう就じゆ就じゆじゅせせせざらざらざらんんん。。。仰あふ仰あふあおぎぎぎ願ねが願ねがねがははわくはくはくわ十じふ十じふじゅう二に二にに所しよ所しよしょ權ごん權ごんごん現げん現げんげん、、、各おのおの各おのおのおのおの利り利りり生しやう生しやうしょうののの翼つばさ翼つばさつばさををを竝なら竝ならならべべべ、、、遙はる遙はるはるかかかににに苦く苦くく界がい界がいがいののの空そら空そらそらにににかけりかけりかけり、、、左さ左ささ遷せん遷せんせんののの憂うれ憂うれうれへへえをををやすめやすめやすめててて、、、速すみや速すみやすみやかかかににに歸き歸きき洛らく洛らくらくののの本ほん本ほんほん懷くわい懷くわいかいををを遂と遂ととげげげしめしめしめたまへたまへたまえ。。。再さい再さいさい拜はい拜はいはい。。。」」」とととぞぞぞ康やす康やすやす賴より賴よりより祝のつ祝のつのっ詞と詞ととをををばばば申まう申まうもうしししけるけるける。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

そうしているうちに、鬼界が島の流人たちは、露のようにはかない命を草葉の先にかけて、惜しむほどの命ではないけれども、丹波少将の舅の平宰相教盛の領地、肥前国鹿瀬の荘から、衣服や食べ物をいつも送られていたので、それによって俊寛も康頼も命をつないで過ごしていた。なかでも康頼は流されたとき、周防の室積で出家した。法名を性照とつけた。出家はもとからの望みであったので、

ついにこのように背き捨てることになった世の中を、もっと早く捨てなかったことが悔やまれる。

丹波少将と康頼入道は、もともと熊野を信仰する人々であったので、何とかしてこの島の中に熊野三所権現をお迎え申して、都に帰ることを祈りたいと言ったが、生まれつきこの俊寛は不信心第一の人で、これに取り合わなかった。二人は同じ心で、もしや熊野に似た所もあるかと島の中を尋ね回ると、ある所には林や堤の美しいところがあって、紅の錦の刺繍のような装いがさまざまで、ある所には雲のかかる峰の不思議な所があって、青い薄絹のような色が一様でない。山の景色から木立に至るまで、ほかの所よりもいっそうすぐれていた。

南を望めば海が果てしなく広がり、雲の波、煙の波が深く、北を顧みれば、また山々がそびえ立つところから、百尺の滝が水をみなぎらせて落ちている。滝の音はことにすさまじく、松風が神々しく吹く住まいは、飛滝権現のおいでになる那智の御山によく似ていた。そこで、そこを那智の御山と名づけた。

この峰は新宮、あれは本宮、これは何々の王子、あの王子などと王子王子の名をつけて、康頼入道が先達となり、丹波少将を連れて、毎日熊野詣でのまねをして、都に帰ることを祈った。「南無権現、金剛童子、願わくは憐れみをおかけくださって、私たちをもう一度故郷へお帰しくださり、妻子にも会わせてください」と祈った。日数が重なって、着替える浄衣もないので、麻の衣を身にまとい、沢の水で垢離を取っては岩田川の清い流れと思いなし、高い所に上っては発心門と見なした。

康頼入道は参るたびに、三所権現の御前で祝詞を申したが、御幣の紙もないので、花を手折って捧げながら、

「ここに年の次第は治承元年丁酉、月の並びは十月二日、日の数は三百五十余日、吉日良辰を選んで、口にするのも恐れ多い日本第一の大霊験、熊野三所権現・飛滝大薩埵の尊い御前において、信心の大施主、近衛中将藤原成経ならびに沙弥性照が、一心清浄のまことを尽くし、身口意の三業をそろえた志をぬきんでて、謹んで敬い申し上げる。そもそも証誠大菩薩(本宮)は苦界の衆生を救う教主で、三身円満の仏である。あるいは東方浄瑠璃世界の医王の主(新宮の薬師如来)で、あらゆる病を除く如来である。あるいは南方補陀落の教化の主(那智の観音)で、重玄門に入った菩薩である。若王子は娑婆世界の本主で、施無畏者の菩薩であり、頭上に仏面を現して、衆生の願いを満たしてくださる。

そもそも証誠大菩薩(本宮)は、苦しみの世界の衆生を救う教主、三身を円満に備えた覚王である。あるいは東方浄瑠璃世界の医王の主で、あらゆる病を除く如来(薬師如来・新宮)である。あるいは南方補陀落の教化の主で、重玄門に入った大士(観音菩薩・那智)、若王子は娑婆世界の本主、施無畏者の大士(十一面観音)で、頭上に仏の面を現して衆生のさまざまな願いを満たしてくださる。

これによって、上は天皇から下は万民に至るまで、あるいは現世の安穏のため、あるいは後世の善所に生まれるために、朝には浄水をすくって煩悩の垢を洗い、夕べには深山に向かって御名を唱えるが、その感応は怠ることがない。そびえ立つ峰の高さを神徳の高さにたとえ、険しい谷の深さを誓願の深さになぞらえて、雲を分けて上り、露をしのいで下る。ここに利益の地を頼まなければ、どうして険しい道に歩みを運ぼうか。権現の徳を仰がなければ、どうして必ずしも遠く奥深い地においでになろうか。

そこで証誠権現・飛滝大薩埵よ、それぞれ青蓮のような慈悲のまなざしを並べ、さお鹿のような御耳をそばだてて、私たちの二心なき真心を見届け、一つ一つの切なる願いをお聞き入れください。そうであるから、結ぶ早玉の両所権現は、人々の機根に応じて、あるいは縁ある衆生を導き、あるいは縁なき衆生を救うために、七宝で飾った住まいを捨て、八万四千の光をやわらげて、六道三有の世の塵に交わっておられるのである。

だから「定業もよく転ずる、長寿を求めれば長寿を得る」と、礼拝する人は袖を連ね、幣帛や供物を捧げることは絶え間がない。忍辱の衣を重ね、悟りの道の花を捧げて神殿の床を動かし、信心の水を澄ませて利生の池を満たした。神が受け入れてくださるならば、どうして願いがかなわないことがあろうか。仰ぎ願わくは十二所権現よ、それぞれ御利益の翼を並べて、はるかに苦界の空を翔り、左遷の憂いを休めて、速やかに都へ帰る本懐を遂げさせてください。再拝」と、康頼は祝詞を申し上げた。

意訳

鬼界が島に流された三人のうち、成経と康頼は熊野の信仰があつく、島の中に熊野三山に似た地を見立てて、毎日熊野詣でのまねをする。滝を那智の滝に、峰を本宮・新宮に、沢の水を岩田川に見立てるというのは、遠く離れた聖地を心の中に再現する「見立て」の信仰であり、流人たちの都への切ない思いがこめられている。

一方で俊寛は「不信第一の人」としてこれに加わらない。この違いが、次の章段以降で、成経と康頼だけが赦されて俊寛一人が島に残されるという運命の分かれ道につながっていく。康頼の祝詞は、熊野の各神々の本地仏をたたえる漢文調の荘重な文章で、平曲でも聞かせどころの一つとされた。

語釈・文法注

三所權現
熊野三山(本宮・新宮・那智)の主神。本地仏は、本宮が阿弥陀如来、新宮が薬師如来、那智が千手観音とされた。

文法

「維當歳次治承元年丁の酉」
祝詞や祭文の書き出しの決まり文句。「維(これ)当(あ)たる歳の次(やど)り」と読み、この年の干支は、の意。底本のふりがなは「ゐあたるさいじ」。
「定業亦能轉、求長壽、得長壽」
経文の句。前世から定まった業もよく転じることができ、長寿を求めれば長寿を得る、の意。
「さをしかの御耳をふり立てて」
雄鹿が耳をそばだてるように、注意深く聞いてください、の意。

和歌

遂にかく背きはてける世の中をとく捨てざりし事ぞくやしき

詠者
平康頼(性照)
状況
流罪の途中、周防の室積で出家した康頼が、かねてからの望みであった出家について詠んだ歌。

修辞

係り結び
係助詞「ぞ」を受けて、結びが形容詞「くやし」の連体形「くやしき」となる。

解説

平康頼は、鹿ケ谷事件で鬼界が島に流された一人で、のちに赦されて帰京し、仏教説話集『宝物集』を著したとされる。熊野信仰は、平安時代後期から上皇や貴族の間で盛んになり、後白河法皇は生涯に三十回以上熊野に参詣した。

島に熊野を勧請する話は、遠隔地から聖地を遥拝する信仰のあり方をよく示している。物語は、信心深い成経・康頼と不信心な俊寛とを対比させ、のちの赦免の運命の違いを、信仰の有無によるものとして語っていく。

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出典

底本
『校註日本文学大系』第14巻(平家物語) 国民図書、大正14年(1925)、350–353頁(コマ204–205)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日