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源氏物語 第47帖 総角(17)

紅葉の文

登場人物:大君・薫・中の君

大君も、どうしたことだろう、もし薫が中の君をいい加減に思っているなら、と胸がつぶれて心苦しいので、すべて意に添わない女房たちの差し出口を憎いと思う。さまざまに思っていると、薫から手紙がある。いつもよりうれしく思われるのも一方では妙である。秋の気配も知らぬ顔で、青い枝の片方はたいそう濃く紅葉しているのに付けて、薫は、同じ枝を分けて染めた山姫に、どちらが深い色かと問いたいと詠む。あれほど恨んでいた様子もなく、言葉少なに簡素に包んであるのを、何となく済ませて終わりにしようとしているのだろうと見るのも心が騒いで、女房たちがうるさく「お返事を」と言うので、中の君に書くよう譲るのもいやで、さすがに書きにくく思い乱れる。大君は、山姫の染める心は分からないが、色の移ろう方が深いのでしょうと返す。何でもないふうに書いたのが趣深く見えたので、薫はやはり恨みきれないと思う。身を分けてなどと中の君を譲ろうとする様子はたびたび見えたが、承知しないので困ってたくらんだのだろう、そのかいもなくこうつれないままでいたら、気の毒で情けない者と思われて、ますます初めの思いはかないにくくなるだろうか、あれこれ言い伝えるらしい老女房の思うところも軽々しく、とにかく心を染めたことさえ悔しく、これほどの世の中を思い捨てようという心に、自分でもかなわなかったのだと見苦しく思い知られるのに、まして世間並みの好き者のまねをして、同じあたりに繰り返し漕ぎ巡るのは、ひどく人の笑いものになる棚なし小舟のようだろうなどと、一晩中思い明かして、

  1. 1姫ひめ姫ひめひめ君ぎみ君ぎみぎみもももいかにいかにいかにしししつるつるつることことことぞぞぞ、、、もしもしもしおろかおろかおろかなるなるなる心こころ心こころこころももも物もの物ものものししし給たま給たまたまははわゞゞばととと、、、胸むね胸むねむねつぶれつぶれつぶれててて心苦こころぐる心苦こころぐるこころぐるしけれしけれしければばば、、、すべてすべてすべてうちうちうちあはあはあわぬぬぬ人々ひとびと人々ひとびとひとびとのののさかしらさかしらさかしらをををにくしにくしにくしとととおぼすおぼすおぼす。。。さまざまさまざまさまざま思おも思おもおもううう給たま給たまたまふふうににに、、、御おん御おんおん文ふみ文ふみふみありありあり。。。例れい例れいれいよりよりよりははは嬉うれ嬉うれうれしししとととおぼえおぼえおぼえ給たま給たまたまふふうもももかつかつかつはははあやしあやしあやし。。。秋あき秋あきあきののの氣色けしき氣色けしきけしきももも知し知ししらららずずずがほがほがおににに、、、靑あを靑あをあおききき枝えだ枝えだえだのののかたかたかたえええははは、、、いといといとこくこくこくもみぢもみぢもみじしししたるたるたるををを、、、「「「おなじおなじおなじえええをををわきわきわきてててそめそめそめけるけるける山やま山やまやま姫ひめ姫ひめひめにににいづれいづれいずれかかかふかきふかきふかき色いろ色いろいろととととはとはとわゞゞばややや」」」。。。さばかりさばかりさばかり恨うら恨うらうらみみみつるつるつる氣色けしき氣色けしきけしきもももなくなくなくことことことずくなずくなずくなにににことことことそぎそぎそぎててておしおしおしつゝみつゝみつつみ給たま給たまたまへへえるるるををを、、、そこはかとそこはかとそこはかとなくなくなくもてもてもてなしなしなしててて止や止ややみみみなななむむんとととなななめりめりめりととと見み見みみ給たま給たまたまふふうももも心こころ心こころこころさわぎさわぎさわぎててて、、、耳みゝ耳みゝみみかしがましうかしがましうかしがましゅう「「「御おん御おんおんかへりかへりかえり」」」ととといへいへいえばばば、、、聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえとととゆづらゆづらゆずらむむんもももうたてうたてうたておぼえおぼえおぼえててて、、、さすがさすがさすがににに書か書かかきききにくゝにくゝにくく思おも思おもおもひひい亂みだ亂みだみだれれれ給たま給たまたまふふう。。。「「「山やま山やまやま姫ひめ姫ひめひめのののそむるそむるそむるこゝろこゝろこころはははわかわかわかねねねどもどもどもうつろふうつろふうつろう方かた方かたかたやややふかきふかきふかきなるなるなるらむらむらん」」」。。。ことことことなしひなしひなしいににに書か書かかききき給たま給たまたまへへえるるるがががをかしくをかしくおかしく見み見みみえええけれけれければばば、、、猶なほ猶なほなおえええゑんじゑんじえんじはつはつはつまじくまじくまじくおぼゆおぼゆおぼゆ。。。身み身みみをををわけわけわけてててなどなどなどゆづりゆづりゆずり給たま給たまたまふふう氣色けしき氣色けしきけしきははは度たび度たびたび々たび々たびたび見み見みみえええしかしかしかどどど、、、うけひかうけひかうけひかぬぬぬにににわびわびわびてててかまへかまへかまえ給たま給たまたまへへえるるるなななめりめりめり、、、そのそのそのかひかひかいなくなくなくかくかくかくつれなからつれなからつれなからむむんももも、、、いとほしくいとほしくいとおしくなさけなさけなさけなきなきなきものものものににに思おも思おもおもひひい置お置おおかかかれれれててて、、、いよいよいよいよいよいよはじめはじめはじめののの思おも思おもおもひひいかなひかなひかない難がた難がたがたくくくやややあらあらあらむむん、、、とかくとかくとかく言い言いいひひい傳つた傳つたつたへへえなどなどなどすすすめるめるめる、、、おいおいおい人びと人びとびとののの思おも思おもおもははわむむん所ところ所ところところもももかろがろしくかろがろしくかろがろしく、、、とにかくにとにかくにとにかくに心こころ心こころこころををを染そ染そそめめめけむけむけんだにだにだに悔くや悔くやくやしくしくしく、、、かばかりかばかりかばかりののの世よ世よよののの中なか中なかなかををを思おも思おもおもひひいすてすてすてむむんののの心こころ心こころこころににに、、、みづからみづからみずからもももかなはかなはかなわざりざりざりけりけりけりととと人ひと人ひとひとわろくわろくわろく思おも思おもおもひひい知し知ししらららるゝるゝるるををを、、、ましてましてましておしおしおしなべなべなべたるたるたるすきすきすきものものものゝゝのまねまねまねににに、、、同おな同おなおなじじじあたりあたりあたりににに返かへ返かへかえすすす返がへ返がへがえすすす漕こ漕ここきききめぐらめぐらめぐらむむん、、、いといといと人ひと人ひとひとわらへわらへわらえなるなるなる棚たな棚たなたななしなしなし小を小をお船ぶね船ぶねぶねめきめきめきたるたるたるべしべしべしなどなどなどよもすがらよもすがらよもすがら思おも思おもおもひひい明あか明あかあかししし給たま給たまたまひひいててて、、、

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

姫君も、どうしたことだろうか、もし薫が中の君をいい加減に思うお心でいらっしゃったらと、胸がつぶれて心苦しいので、すべて意に添わない女房たちの差し出口を憎いとお思いになる。さまざまに思っていらっしゃると、薫からお手紙がある。いつもよりうれしく思われなさるのも、一方では妙である。秋の気配も知らぬ顔で、青い枝の片方は、たいそう濃く紅葉しているのに付けて、「同じ枝を分けて染めた山姫に、どちらが深い色かと問いたいものです」。あれほど恨んでいた様子もなく、言葉少なに簡素に包んでいらっしゃるのを、何となく済ませて終わりにしようということなのだろうとご覧になるのも心が騒いで、女房たちがうるさく「お返事を」と言うので、中の君にお書きなさいと譲るのもいやに思われて、さすがに書きにくく思い乱れていらっしゃる。「山姫の染める心は分かりませんが、色の移ろう方が深いのでしょう」。何でもないふうに書きなさったのが趣深く見えたので、薫はやはり恨みきれないと思われる。身を分けてなどと中の君を譲りなさろうとする様子はたびたび見えたけれど、こちらが承知しないので困ってたくらみなさったのだろう、そのかいもなくこのようにつれないままでいたら、気の毒で情けない者と思われて、ますます初めの思いはかないにくくなるだろうか、あれこれと言い伝えなどしているらしい老女房の思うところも軽々しく、とにかく心を染めたことさえ悔しく、これほどの世の中を思い捨てようという心に、自分でもかなわなかったのだと見苦しく思い知られるのに、まして世間並みの好き者のまねをして、同じあたりを繰り返し漕ぎ巡るのは、ひどく人の笑いものになる棚なし小舟めいたことになるだろうなどと、一晩中思い明かしなさって、

意訳

大君は、薫が中の君を軽く扱うのではと心配する。薫から、片枝だけ紅葉した枝に付けて、どちらの姫君が深い色かと問う歌が届く。大君は、色の移った方、つまり中の君が深いのでしょうと返す。薫は大君への思いを捨てられず、同じ所を漕ぎ巡る小舟のような自分を恥じながら、一晩中思い悩む。

語釈・文法注

文法

「おなじえをわきてそめける山姫に」(おなじえをわきてそめける山姫に)
同じ枝を分けて染めた山姫。同じ親から生まれた姉妹を、片方だけ紅葉した枝にたとえる。
「うつろふ方やふかきなるらむ」(うつろふ方やふかきなるらむ)
色の移った方が深いのでしょう。薫の心が中の君に移ったことを皮肉る。
「棚なし小船」(いと人わらへなる棚なし小船めきたるべし)
「堀江漕ぐ棚なし小舟漕ぎかへり同じ人にや恋ひわたりなむ」(古今集)による。同じ人を繰り返し恋い慕うこと。

解説

薫の歌は、片枝だけが紅葉した枝に寄せて、どちらが深い色かを問う。大君は、色の移った方が深いと答えて、薫の心が中の君に移ったとほのめかす。言葉の上でのやりとりは洗練されているが、二人の心はかみ合わない。

薫は、大君への恋に執着する自分を、同じ所を漕ぎ巡る小舟にたとえる。世を捨てたいと願いながら恋を捨てられない薫の矛盾が、ここにも表れている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、948–951頁(コマ185–186)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日