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源氏物語 第47帖 総角(13)

弁への大君の言葉

登場人物:大君・弁・薫・匂宮・中の君

大君は思い悩んで、参った弁に言う。「長年、人に似ないお心寄せとばかりおっしゃり続けてきたのを聞いておき、今となってはすべて残りなくお頼りして、不思議なほど打ち解けてきたのに、思っていたのと違うお心が混じって恨みなさるのが困ります。世間並みに人らしく暮らしたい身なら、このようなお申し出もどうして遠ざけて思いましょう。けれど昔から思い離れていた心で、たいそう苦しいのですが、この中の君が盛りを過ぎてしまわれるのも惜しく、このような住まいもただ中の君のために窮屈にばかり思われるので、本当に昔を思ってくださるお志なら、中の君を同じことと思ってください。身を分けた心の中はすべて譲ってお世話する気持ちでいましょう。やはりこのようにうまく申し上げてください」と恥じらいながらあるべき様子を言い続けるので、弁はたいそう哀れと見る。弁は「そのように以前もご意向を伺っていたのでよく申し上げましたが、薫様はそうは思い直せまいとのことです。兵部卿宮(匂宮)のお恨みも深まっているようなので、また中の君にはそちらの方でよく後見しようとおっしゃいます。それも申し分のないことです。両親がご健在で、格別に心を尽くしてお育てになったとしても、こうも世にめったにないご縁がそろうことはなかったでしょう。恐れ多いことですが、こうも頼りないご様子を拝見して、どうなっておしまいになるかと不安で悲しくばかり思っていましたが、先のお心は分かりませんが、お二人ともかわいらしく、すばらしいご運勢でいらしたのだと、まずは思っております。亡き宮のご遺言を違えまいとお思いになるのはもっともですが、それは然るべき人がいらっしゃらず、身分にふさわしくないことがありはしないかとお思いになって戒めておられたのでしょう。この殿(薫)がそのようなお気持ちをお持ちなら、お一人を安心して預けられてどんなにうれしいだろうと折々おっしゃっていました。それぞれの身分で頼りの人に先立たれた方は、高い身分も低い身分も、心外にもあるまじき様子でさすらう例さえ多いようです。それは皆よくあることなので非難する人もいません。まして、ことさらにでも作り出したいようなお方が、深くめったにないほどお志を寄せられるのを、むやみに遠ざけて、お考えどおり仏道の本意を遂げられても、雲や霞を食べて生きるわけにはいきますまい」などと、すべて多くの言葉を申し続けるので、大君はひどく憎らしく不快に思って、ひれ伏してしまった。

  1. 1姫ひめ姫ひめひめ君ぎみ君ぎみぎみおぼしおぼしおぼし煩わづら煩わづらわずらひひいててて、、、辨べん辨べんべんががが參まゐ參まゐまいれれれるるるにににのたまふのたまふのたまう。。。「「「年とし年としとし比ごろ比ごろごろももも人ひと人ひとひとににに似に似ににぬぬぬ御心みこころ御心みこころみこころよせよせよせとととのみのみのみのたまひのたまひのたまいわたりわたりわたりしししををを聞き聞きききききおきおきおき、、、今いま今いまいまとととなりなりなりてててはははよろづよろづよろずにににのこりのこりのこりなくなくなく賴たの賴たのたのみみみ聞きこ聞きこきこえええててて、、、あやしきあやしきあやしきまでまでまでうちうちうちとけとけとけにににたるたるたるををを、、、思おも思おもおもひひいしししにににたがふたがふたがうさまさまさまなるなるなる御おん御おんおん心こころ心こころこころばへばへばえのののまじりまじりまじりててて恨うら恨うらうらみみみ給たま給たまたまふふうめるめるめるこそこそこそわりなけれわりなけれわりなけれ。。。世よ世よよににに人ひと人ひとひとめきめきめきてててあらまほしきあらまほしきあらまほしき身み身みみならならならばばばかゝるかゝるかかる御おん御おんおんことことことをををももも何なに何なになにかかかはははもてもてもてはなれはなれはなれてててももも思おも思おもおもははわましましまし。。。されどされどされど昔むかし昔むかしむかしよりよりより思おも思おもおもひひい離はな離はなはなれれれそめそめそめたるたるたる心こころ心こころこころにてにてにていといといと苦くる苦くるくるしきしきしきををを、、、このこのこの君きみ君きみきみのののさかりさかりさかり過す過すすぎぎぎ給たま給たまたまははわむむんももも口くち口くちくち惜を惜をおしげしげしげににに、、、かゝるかゝるかかる住すま住すますまひひいもももたゞたゞただこのこのこの御おん御おんおんゆかりゆかりゆかりににに所ところ所ところところせくせくせくのみのみのみおぼゆるおぼゆるおぼゆるををを、、、誠まこと誠まことまことににに昔むかし昔むかしむかしををを思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう志こゝろざし志こゝろざしこころざしならならならばばば、、、同おな同おなおなじじじ事こと事ことことににに思おも思おもおもひひいなしなしなし給たま給たまたまへへえかしかしかし。。。身み身みみをををわけわけわけたるたるたる心こころ心こころこころのののうちうちうちははは皆みな皆みなみなゆづりゆづりゆずりててて見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららむむん心地ここち心地ここちここちなむなむなんすすすべきべきべき。。。猶なほ猶なほなおかやうかやうかようににによろしげよろしげよろしげににに聞きこ聞きこきこえええなさなさなされれれよよよ」」」とととはぢらひはぢらひはじらいたるたるたるものものものからからからあるあるあるべきべきべきさまさまさまをををのたまひのたまひのたまいつゞくれつゞくれつづくればばば、、、いといといとあはれあはれあわれととと見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるる。。。
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  3. 3このこのこの殿との殿とのとののののさやうさやうさようなるなるなる心こころ心こころこころばへばへばえ物もの物ものものししし給たま給たまたまははわましかましかましかばばば、、、一ひと一ひとひと所ところ所ところところをををうしろうしろうしろ安やす安やすやすくくく見み見みみ置お置おおききき奉たてまつ奉たてまつたてまつりりりててていかにいかにいかにうれしからうれしからうれしからましましましととと折をり折をりおり々をり々をりおりのたまはせのたまはせのたまわせしししものものものををを、、、ほどほどほどほどほどほどにににつけつけつけててて思おも思おもおもふふう人ひと人ひとひとににに後おく後おくおくれれれ給たま給たまたまひひいぬるぬるぬる人ひと人ひとひとははは、、、高たか高たかたかきききもももくだれくだれくだれるるるももも心こころ心こころこころののの外ほか外ほかほかにににあるあるあるまじきまじきまじきさまさまさまにににさすらふさすらふさすらう類たぐ類たぐたぐひひいだにだにだにこそこそこそ多おほ多おほおおくくく侍はべ侍はべはべるるるめれめれめれ。。。それそれそれ皆みな皆みなみな例れい例れいれいののの事こと事ことことなななめれめれめればばばもどきもどきもどきいふいふいう人ひと人ひとひとももも侍はべ侍はべはべらららずずず。。。ましてましてましてかくかくかくばかりばかりばかりことさらことさらことさらにににももも作つく作つくつくりりり出い出いいでででまほしげまほしげまほしげなるなるなる人ひと人ひとひとののの御おん御おんおん有あり有ありあり樣さま樣さまさまににに、、、志こゝろざし志こゝろざしこころざし深ふか深ふかふこうううありがたげありがたげありがたげににに聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふうをををあながちあながちあながちにににもてもてもて離はな離はなはなれれれさせさせさせ給たま給たまたまひひいててて、、、おぼしおぼしおぼしおきおきおきつるつるつるやうやうようににに行おこな行おこなおこないいいのののほいほいほいをををとげとげとげ給たま給たまたまふふうともともとも、、、さりとてさりとてさりとて雲くも雲くもくも霞かすみ霞かすみかすみをををやややははは」」」などなどなどすべてすべてすべてことことこと多おほ多おほおおくくく申まう申まうもうししし續つゞ續つゞつづくれくれくればばば、、、いといといとにくゝにくゝにくく心こころ心こころこころづきなくづきなくずきなくおぼしおぼしおぼしててて、、、ひれひれひれふしふしふし給たま給たまたまへへえりりり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

姫君は思い悩みなさって、弁が参ったのにおっしゃる。「長年も、人に似ないお心寄せとばかりおっしゃり続けてこられたのを聞いておき、今となってはすべて残りなくお頼み申し上げて、不思議なほど打ち解けてまいりましたのに、思っていたのと違うようなお心が混じって恨みなさるらしいのが困ります。世間並みに人らしく暮らしたい身ならば、このようなお申し出も、どうして遠ざけて思いましょう。けれど昔から思い離れていた心で、たいそう苦しいのですが、この中の君が盛りを過ぎてしまわれるのも惜しそうで、このような住まいも、ただこの方のために窮屈にばかり思われますので、本当に昔を思ってくださるお志ならば、同じことと思いなしてくださいませ。身を分けた心の中は、すべて譲ってお世話申し上げる心地でおりましょう。やはりこのようにうまく申し上げてください」と恥じらいながらも、あるべき様子をおっしゃり続けるので、弁はたいそう哀れと拝見する。

弁は「そのようにばかり以前もご意向を拝見しておりますので、たいそうよく申し上げておりますが、薫様はそうは思い直せまいとのことです。兵部卿宮のお恨みの深さがまさっているようなので、またそちらの方面で中の君をよくご後見申し上げようと申しておられます」と申し上げなさる。「それも申し分のないことどもです。ご両親がそろっていらっしゃって、格別にたいそうお心を尽くしてお育て申し上げなさったとしても、とてもこのように世にめったにないご縁どもが寄り集まることはなかったでしょう。恐れ多いことですが、このようにたいそう頼りなげなご様子を拝見しますと、どうなっておしまいになるのだろうかと、不安で悲しくばかり拝見しておりましたが、先々のお心は分かりにくいけれど、かわいらしくすばらしいご運勢でいらっしゃったのだと、まずは思っております。亡き宮のご遺言を違えまいとお思いになるのはもっともですが、それは然るべき人がいらっしゃらず、身分にふさわしくないことがおありになりはしないかとお思いになって、お戒めになっていたのでございましょう。

この殿がそのようなお気持ちをお持ちならば、お一人を安心してお預けして、どんなにうれしいだろうと、折々おっしゃっておりましたものを、それぞれの身分につけて、頼りに思う人に先立たれなさった方は、高い身分の方も低い身分の方も、心外にもあるまじき様子でさすらう例さえ多いようでございます。それは皆よくあることのようなので、非難して言う人もございません。まして、これほどことさらにでも作り出したいようなお方のご様子で、お志深くめったにないほどに申し上げなさるのを、むやみに遠ざけなさって、お考えおきのように仏道の本意をお遂げになっても、そうだからといって雲や霞を食べて生きられましょうか」などと、すべて多くの言葉を申し続けるので、大君はひどく憎らしく不快にお思いになって、ひれ伏していらっしゃる。

意訳

大君は弁に、自分は独身を通すので、中の君を薫に縁づけてほしいと頼む。弁は、薫は思い直さず、中の君は匂宮に後見させたいと言っていると伝え、亡き宮も薫を婿にと望んでいたと説いて、薫を受け入れるよう長々と勧める。大君は不快に思い、ひれ伏してしまう。

語釈・文法注

文法

「身をわけたる心のうち」(身をわけたる心のうちは皆ゆづりて)
身を分けた妹に、自分の心をすべて譲る。中の君を自分の分身として薫に託す。
「かつかつ」(かつかつ思ひ聞ゆる)
まずは、ともかくも。
「雲霞をやは」(さりとて雲霞をやは)
雲や霞を食べて生きていけようか。仙人のような暮らしはできないという意。

解説

大君は中の君を「身をわけたる」者と呼び、自分の代わりに薫と結ばせようとする。しかし薫も弁も、大君自身を望んでいる。大君の計画は、誰の望みとも一致しない。

弁の説得は現実的である。後見のない姫君が雲や霞で生きられるわけではない。しかし理屈で迫られるほど、大君は心を閉ざしていく。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、944–947頁(コマ183–184)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日