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源氏物語 第45帖 橋姫(2)

北の方の死

登場人物:八の宮・大君・中の君

宮は呆然と悲しみに惑う。生きていくにつけて体裁悪く耐えがたいことの多い世だが、見捨てがたく愛しい北の方の人柄に引き留められる絆として過ごしてきたのに、一人残されてますます味気ないだろう、幼い子どもたちを一人で育てるのも、限りある身分では見苦しく人聞きの悪いことだと思い立って、出家の本意を遂げたいと思うが、娘たちを託す人もいないので、残していくのをひどく思いためらっているうちに年月が経ち、姫君たちはそれぞれ成長していく。容貌が美しく申し分ないのを明け暮れの慰めとして、自然と過ごしている。後に生まれた中の君を、女房たちも「いやもう、間の悪い時に」などとつぶやいて、心を込めて世話もしなかったが、北の方は臨終の際で何事も分からない状態ながら、この子をたいそう不憫に思って、「ただこの君を形見と見て、いとしいと思ってください」とだけ一言宮に言い残したので、宮は、前世の宿縁もつらい折だが、そうなる運命だったのだろう、最期と見えた時までたいそういとしく思って心配そうに言ったことよと思い出して、この中の君をとりわけかわいがる。容貌は本当にたいそう美しく、不吉なほどである。大君は気立てが落ち着いて趣深く、見た目も振る舞いも気高く奥ゆかしい様子である。いたわしく高貴な点では大君が勝っていて、宮はどちらもそれぞれに大切に育てるが、思うようにならないことが多く、年月とともに宮の内はただ寂しくなっていく。

  1. 1宮みや宮みやみやあさましくあさましくあさましくおぼしおぼしおぼし惑まど惑まどまどふふう。。。ありありありふるふるふるにににつけつけつけててていといといとはしたなくはしたなくはしたなく堪た堪たたへへえがたきがたきがたきことことこと多おほ多おほおおかるかるかる世よ世よよなれなれなれどどど、、、見み見みみ捨す捨すすてててがたくがたくがたく哀あはれ哀あはれあわれなるなるなる人ひと人ひとひとののの御おん御おんおん有あり有ありあり樣さま樣さまさま心こころ心こころこころざまざまざまにににかけかけかけとゞめとゞめとどめらるゝらるゝらるるほだしほだしほだしにてにてにてこそこそこそすぐしすぐしすぐしきつれきつれきつれ、、、一ひと一ひとひと人り人りりとまりとまりとまりててていとゞいとゞいとどすさまじくすさまじくすさまじくもももあるあるあるべきべきべきかなかなかな、、、いはけなきいはけなきいわけなき人々ひとびと人々ひとびとひとびとをををももも一ひと一ひとひと人り人りりはぐゝみはぐゝみはぐくみたてたてたてむむんほどほどほどかぎりかぎりかぎりあるあるある身み身みみにてにてにていといといとをこがましうをこがましうおこがましゅうひとひとひとわるかるわるかるわるかるべきべきべき事こと事ことこととととおぼしおぼしおぼしたちたちたちててて、、、ほいほいほいももも遂と遂ととげげげまほしうまほしうまほしゅうししし給たま給たまたまひひいけれけれけれどどど見み見みみ讓ゆづ讓ゆづゆずるるる人ひと人ひとひともももなくなくなくててて殘のこ殘のこのこしししとゞめとゞめとどめむむんをををいみじくいみじくいみじくおぼしおぼしおぼしたゆたひたゆたひたゆたいつゝつゝつつ年とし年としとし月つき月つきつきもももふれふれふればばば、、、おのおのおのおのおのおのおよすげおよすげおよすげまさりまさりまさり給たま給たまたまふふう。。。さまさまさまかたちかたちかたちののの美うつく美うつくうつくしうしうしゅうあらまほしきあらまほしきあらまほしきををを明あけ明あけあけ暮くれ暮くれくれののの御おん御おんおんなぐさめなぐさめなぐさめにてにてにておのづからおのづからおのずからぞぞぞ過す過すすぐしぐしぐし給たま給たまたまふふう。。。後のち後のちのちににに生うま生うまうまれれれ給たま給たまたまひひいししし君きみ君きみきみをををばばば侍さぶら侍さぶらさぶらふふう人々ひとびと人々ひとびとひとびとももも「「「いでやいでやいでやをりをりおりふしふしふし心こゝろ心こゝろこころ憂う憂ううくくく」」」などなどなどうちうちうちつぶやきつぶやきつぶやきててて心こころ心こころこころににに入い入いいれれれてててもももあつかひあつかひあつかい聞きこ聞きこきこえええざりざりざりけれけれけれどどど、、、かぎりかぎりかぎりのののさまさまさまにてにてにて何なに何なになに事ごと事ごとごともももおぼしおぼしおぼしわかわかわかざりざりざりししし程ほど程ほどほどながらながらながらこれこれこれをををいといといと心苦こころぐる心苦こころぐるこころぐるしししととと思おも思おもおもひひいててて、、、「「「唯たゞ唯たゞただこのこのこの君きみ君きみきみをををばばばかたみかたみかたみににに見み見みみ給たま給たまたまひひいててて哀あはれ哀あはれあわれとととおぼせおぼせおぼせ」」」とととばかりばかりばかり唯たゞ唯たゞただひとひとひとことことことなむなむなん宮みや宮みやみやににに聞きこ聞きこきこえええ置お置おおききき給たま給たまたまひひいけれけれければばば、、、
  2. 2先さき先さきさきののの世よ世よよののの契ちぎり契ちぎりちぎりもももつらきつらきつらきをりをりおりふしふしふしなれなれなれどどどさるべきさるべきさるべきにににこそこそこそはははありありありけめけめけめととと、、、今いま今いまいまはははととと見み見みみえええしししまでまでまでいといといと哀あはれ哀あはれあわれととと思おも思おもおもひひいてててうしろめたげうしろめたげうしろめたげにににのたまひのたまひのたまいしししをををとととおぼしおぼしおぼし出い出いいでででつゝつゝつつ、、、このこのこの君きみ君きみきみをををしもしもしもいといといと悲かな悲かなかなしうしうしゅうししし奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり給たま給たまたまふふう。。。かたちかたちかたちなむなむなん誠まこと誠まことまことにににいといといと美うつ美うつうつくしうくしうくしゅうゆゝしきゆゝしきゆゆしきまでまでまで物もの物ものものししし給たま給たまたまひひいけるけるける。。。姫ひめ姫ひめひめ君ぎみ君ぎみぎみははは心こころ心こころこころばせばせばせしづかしづかしずかににによしよしよしあるあるある方かた方かたかたにてにてにて見み見みみるるるめめめもてもてもてなしなしなしもももけだかくけだかくけだかく心こころ心こころこころにくきにくきにくきさまさまさまぞぞぞししし給たま給たまたまへへえるるる。。。いたはしくいたはしくいたわしくやんごとなきやんごとなきやんごとなきすぢすぢすじははは勝まさ勝まさまさりりりててていづれいづれいずれをををもももさまざまさまざまさまざまににに思おも思おもおもひひいかしづきかしづきかしずき聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえどどど、、、かなはかなはかなわぬぬぬことことこと多おほ多おほおおくくく年とし年としとし月つき月つきつきにににそへそへそえててて宮みや宮みやみやののの內うち內うちうち物もの物ものものさびしくさびしくさびしくのみのみのみなりなりなりまさるまさるまさる。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

宮は呆然として悲しみに惑いなさる。生きていくにつけて、たいそう体裁悪く耐えがたいことの多い世だけれど、見捨てがたく愛しい北の方のご様子やお心に引き留められる絆として、これまで過ごしてきたのに、一人残されて、ますます味気なくもあるだろうことよ、幼い子どもたちを一人で育て上げるのも、限りある身分では、たいそう愚かしく人聞きの悪いことだろうと思い立ちなさって、出家の本意も遂げたいとお思いになったが、後を託す人もなくて娘たちを残しておくのを、ひどく思いためらいなさりながら年月も経つと、姫君たちはそれぞれ成長していかれる。容貌が美しく申し分ないのを、明け暮れのお慰めとして、自然と過ごしていらっしゃる。後にお生まれになった君(中の君)を、お仕えする女房たちも「いやもう、間の悪い時に、情けない」などとつぶやいて、心を込めてお世話も申し上げなかったが、北の方は臨終の状態で、何事も分からなかった時ながら、この子をたいそう不憫に思って、「ただこの君を形見とご覧になって、いとしいとお思いください」とだけ、ただ一言、宮に申し置きなさったので、

宮は、前世の宿縁もつらい折だけれど、そうなるべき運命だったのだろう、最期と見えた時まで、たいそういとしく思って、心配そうに言ったことよと思い出しなさりながら、この君をとりわけかわいがっていらっしゃる。容貌は本当にたいそう美しく、不吉なほどでいらっしゃった。姫君(大君)は気立てが落ち着いて趣深い方で、見た目も振る舞いも気高く奥ゆかしい様子でいらっしゃる。いたわしく高貴な点では大君が勝っていて、宮はどちらもそれぞれに大切にお育て申し上げなさるが、思うようにならないことが多く、年月とともに宮の内は、ただ物寂しくなっていく。

意訳

北の方を失った八の宮は出家を望むが、娘たちを託す人がなく、ためらううちに年月が過ぎる。女房たちは中の君を疎んじたが、北の方が臨終に中の君を頼んだので、宮はとりわけかわいがる。中の君は美しく、大君は気高く奥ゆかしい。

語釈・文法注

文法

「ほだし」(かけとゞめらるゝほだしにてこそ)
絆。出家の妨げとなる愛着。
「ひとわるかるべき」(いとをこがましうひとわるかるべき事と)
人聞きが悪い、体裁が悪い。
「ゆゝしきまで」(ゆゝしきまで物し給ひける)
不吉なほど。あまりの美しさに、神に魅入られて早死にしないかと恐れるほど。

解説

八の宮は出家を望みながら、娘たちへの愛情が絆となって果たせない。この出家と俗世の間での葛藤は、宇治十帖全体を貫く主題となる。

大君と中の君の性格の違いがここで示される。大君は気高く奥ゆかしく、中の君は美しく愛らしい。この姉妹の対照が、薫と匂宮という二人の男性との関わりの中で、物語を動かしていく。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、882–885頁(コマ152–153)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日