源氏物語 第44帖 竹河(27)
中の君の尚侍出仕
玉鬘は、こうして中の君が気楽に宮中住まいもできるようにと思うにつけても、少将のことを母北の方(雲居の雁)がわざわざ頼んできたのに、期待させるようにほのめかし申し上げたのも、どう思っているだろうと思い悩む。弁の君(次男)を通じて、誠意あるように夕霧に申し上げる。「帝からこのような仰せがあるので、あれこれ無理な宮仕えの好みだと、世間の聞こえもどうかと思いまして、困っております」と申し上げると、夕霧は「帝のご機嫌はお咎めになるのももっともだと伺っています。公事につけても、宮仕えなさらないのはよくないことです。早くご決心なさるべきでしょう」と申し上げた。また今度は中宮(明石の中宮)のご意向をうかがって、中の君は参内する。大臣(髭黒)が生きていらしたら、押しのけられることもなかったろうになど、哀れなことが多い。帝は姉君(大君)の容貌が評判の美しさだとお聞きになっていたのに、引き違えたのを何となく不満のようだが、中の君もたいそう洗練されて奥ゆかしく振る舞って仕えている。
- 1かくかくかくててて心心こころ安安やすくくくててて內內うちずみずみずみもももししし給給たまへへえかしかしかしとととおぼすおぼすおぼすにににもももいとほしういとほしういとおしゅう少少しょう將將しょうののの事事ことををを母母はは北北きたののの方方かたのののわざとわざとわざとのたまひのたまひのたまいしししものものものををを、、、たのめたのめたのめ聞聞きこえええしししやうやうようにににほのめかしほのめかしほのめかし聞聞きこえええしししもももいかにいかにいかに思思おもひひい給給たまふふうらむらむらんとととおぼしおぼしおぼしあつかふあつかふあつかう。。。辨辨べんののの君君きみしししててて心心こころ美美うつくしきしきしきやうやうようにににおとゞおとゞおとどににに聞聞きこえええ給給たまふふう。。。「「「內內うちよりよりよりかゝるかゝるかかる仰仰おおせ言言ごとのののあれあれあればばばさまざまさまざまさまざまにににあながちあながちあながちなるなるなるまじらひまじらひまじらいのののこのみこのみこのみととと、、、世世よのののきゝきゝききみゝみゝみみもももいかゞいかゞいかがととと思思おもううう給給たまへへえてててなむなむなん煩煩わずらひひいぬるぬるぬる」」」ととと聞聞きこえええ給給たまへへえばばば「「「內內うちののの御御おん氣色氣色けしきはははおぼしおぼしおぼし咎咎とがむるむるむるもももことわりことわりことわりににになむなむなんうけうけうけ給給たまはるはるわる。。。おほやけおほやけおおやけごとごとごとにににつけつけつけてててももも宮宮みやづかへづかへずかえししし給給たまははわぬぬぬはははさるさるさるまじきまじきまじきわざわざわざににになむなむなん。。。はやはやはやおぼしおぼしおぼし立立たつつつべきべきべきににになむなむなん」」」ととと聞聞きこえええ給給たまへへえりりり。。。又又またこのこのこの度度たびははは中中ちゅう宮宮ぐうののの御御おん氣色氣色けしきとりとりとりてててぞぞぞ參參まいりりり給給たまふふう。。。おとゞおとゞおとどおはせおはせおわせましかましかましかばばばおしおしおしけちけちけち給給たまははわざらざらざらましましましなどなどなど、、、哀哀あわれなるなるなる事事ことどもどもどもをををなむなむなん。。。姉姉あね君君ぎみはははかたちかたちかたちなどなどなど名名なだかうだかうだこうをかしげをかしげおかしげなりなりなりととと聞聞きこししし召召めしししおきおきおきたりたりたりけるけるけるををを、、、引引ひききき違違たがへへえ給給たまへへえるるるをををなまなまなま心心こころゆかゆかゆかぬぬぬやうやうようなれなれなれどどど、、、これこれこれもももいといといとらうらうしくらうらうしくろうろうしく心心こころにくゝにくゝにくくもてもてもてなしなしなしてててさぶらひさぶらひさぶらい給給たまふふう。。。
現代語訳
こうして、中の君が気楽に宮中住まいもなさるようにとお思いになるにつけても、気の毒なことに、少将のことを母北の方がわざわざおっしゃったのに、期待させ申し上げたようにほのめかし申し上げたのも、どう思っていらっしゃるだろうと思い悩みなさる。弁の君を通じて、誠意あるように大臣に申し上げなさる。「帝からこのような仰せがありますので、あれこれと無理な宮仕えの好みだと、世間の聞こえもどうかと存じまして、困っております」と申し上げなさると、夕霧は「帝のご機嫌は、お咎めになるのももっともなことと伺っております。公事につけても、宮仕えなさらないのは、よくないことでございます。早くご決心なさるべきでしょう」と申し上げなさった。また今度は中宮のご意向をうかがって、中の君は参内なさる。大臣が生きていらっしゃったら、押しのけられることもなかったろうになど、哀れなことが多い。帝は、姉君はご容貌などが評判の美しさだとお聞きになっていたのに、引き違えなさったのを、何となく不満なようだけれど、この中の君も、たいそう洗練されて奥ゆかしく振る舞ってお仕えしていらっしゃる。
意訳
玉鬘は中の君を宮中に出すにあたり、少将との縁談をほのめかしていたことを気に病み、夕霧に詫びる。夕霧は宮仕えを勧める。中の君は明石の中宮の意向をうかがって参内し、帝は少し不満ながらも、中の君は奥ゆかしく仕える。
語釈・文法注
文法
- 「心美しきやうに」(辨の君して心美しきやうに)
- 誠意あるように、角の立たないように。
- 「おしけち」(おしけち給はざらまし)
- 押しのける、圧倒する。
- 「なま心ゆかぬ」(なま心ゆかぬやうなれど)
- 何となく不満な。
解説
玉鬘は少将との縁談をほのめかしていたことを気に病む。夕霧との関係を損なわないよう、玉鬘は慎重に振る舞う。
中の君は尚侍として宮中に出仕する。帝は大君を望んでいたが、中の君もまた奥ゆかしく仕える。姉妹はそれぞれの場所で、それぞれの宮仕えを始める。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、876–879頁(コマ149–150)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日