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源氏物語 第44帖 竹河(20)

院参と院の寵愛

登場人物:大君・冷泉院・玉鬘・薫

付き添う大人の女房や童は、見苦しくない者ばかりを揃えた。大方の儀式などは宮中に入内するのと変わらない。まず女御(弘徽殿女御)の御方に行って、尚侍(玉鬘)は女御と話などをする。夜が更けてから大君は院の御前に参上した。后(秋好中宮)や女御などは皆長年仕えて年を取っているので、たいそうかわいらしく盛りで見どころのある大君を見て、院がどうしておろそかに思おうか。華やかに寵愛され、院は臣下のように気楽に振る舞っている様子も、本当に理想的で結構なことだった。院は尚侍がしばらく院に控えてくれるだろうと心にかけていたが、たいそう早くそっと退出してしまったので、残念で情けないと思った。源侍従の君(薫)を、院は明け暮れ御前に召してまとわりつかせていて、本当にただ昔の光源氏が成長なさった頃に劣らないご寵愛である。院の中ではどの御方にも親しく出入りしている。この御方(大君)にも心を寄せているような振る舞いをして、内心ではどうご覧になっているだろうかという気持ちまで添っていた。

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引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

付き添う大人の女房や童は、見苦しくない者ばかりを整えられた。大方の儀式などは、宮中に入内なさる場合と変わることがない。まず女御の御方にお渡りになって、尚侍の君は女御とお話などを申し上げなさる。夜が更けてから、大君は院の御前に参上なさった。后や女御などは、皆長年仕えて年を取っていらっしゃるので、たいそうかわいらしく盛りで見どころのある様子をご覧になるのは、どうしておろそかに思おうか。華やかにご寵愛を受けなさり、院が臣下のように気楽に振る舞っていらっしゃる様子こそ、本当に理想的で結構なことだった。院は、尚侍の君がしばらくは院に控えていらっしゃるだろうと心にかけてお思いになっていたのに、たいそう早くそっと退出なさってしまったので、残念で情けないとお思いになった。源侍従の君を、院は明け暮れ御前に召してまとわりつかせながら、本当にただ昔の光源氏が成長なさった頃に劣らないご寵愛である。院の中では、どの御方にも親しく出入りして歩いていらっしゃる。この御方(大君)にも、心を寄せているような顔で振る舞って、内心ではどのようにご覧になっているだろうかという気持ちまで添っていらっしゃった。

意訳

大君は入内同然の儀式で冷泉院に参り、院の寵愛を受ける。院は玉鬘がとどまることを期待したが、玉鬘はすぐに退出する。薫は院に寵愛され、大君にも心を寄せる素振りを見せる。

語釈・文法注

文法

「后、女御」(后、女御など皆年比經てねび給へるに)
冷泉院の秋好中宮と弘徽殿女御。
「たゞ人だちて」(たゞ人だちて心安くもてなし給へる)
臣下のように、退位後の院が気楽に振る舞うさま。
「この御方」(この御方にも心よせあり顏に)
院に参った大君。御息所と呼ばれるようになる。

解説

冷泉院は大君を寵愛するが、その心の奥には玉鬘への思いがある。玉鬘がすぐに退出したことを院が残念がるのは、そのためである。

薫は冷泉院の御所に出入りし、大君にも心を寄せる素振りを見せる。しかし薫の心は、まだ誰にも定まっていない。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、872–873頁(コマ147)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日