源氏物語 第44帖 竹河(6)
夕べの薫の来訪
あれこれの人々がここに集まって、それから三条の宮(女三の宮)に参上する。朱雀院の恩顧の深い人々や、六条院方の人々も、それぞれの縁で、やはりあの入道の宮を素通りできずに参上するのだろう。この邸の左近中将、右中弁、侍従の君なども、そのまま夕霧のお供に出て行った。引き連れた勢いは格別である。夕方になって四位の侍従(薫)が参上した。大勢の大人びた若君達も、それぞれどれが見劣りしたろうか。皆感じがよかった中に、遅れてこの君が姿を見せたのは、たいそう格別に目にとまる心地がして、例の物好きな若い女房たちは「やはり格別だ」などと言う。「この邸の姫君のお相手には、この方をこそ並べて見たい」と聞き苦しく言う。本当にたいそう若々しく優美な様子で振る舞う身の香りなども普通ではない。深窓の姫君といっても、物の分かる人なら、本当に人より勝っているようだと見知るだろうと思われる。
- 1これこれこれかれかれかれこゝこゝここににに集集あつまりりり給給たまひひいててて三三さん條條じょうののの宮宮みやににに參參まいりりり給給たまふふう。。。朱朱す雀雀ざく院院いんののの深深ふかききき心心こころ物物ものししし給給たまふふう人々人々ひとびと六六ろく條條じょう院院いんののの方方かたざまざまざまのののもももかたかたかたかたかたかたにににつけつけつけててて猶猶なおかのかのかの入入にゅう道道どう宮宮のみやをををばばばえええよぎよぎよぎずずずまゐりまゐりまいり給給たまふふうなめりなめりなめり。。。このこのこの殿殿とのののの左左さ近近こんの中中ちゅう將將じょう、、、右右う中中ちゅう辨辨べん、、、侍侍じ從從じゅうののの君君きみなどなどなどもももやがてやがてやがておとゞおとゞおとどののの御御おん供供ともににに出出いででで給給たまひひいぬぬぬ。。。ひきひきひきつれつれつれ給給たまへへえるるる勢勢いきおひひいことことことなりなりなり。。。ゆふゆふゆうつけつけつけててて四四し位位いののの侍侍じ從從じゅう參參まいりりり給給たまへへえりりり。。。そこらそこらそこらおとなしきおとなしきおとなしき若若わか君君ぎみ達達だちもももあまたあまたあまたさまざまさまざまさまざまにににいづれいづれいずれかかかはははわろびわろびわろびたりたりたりつるつるつる。。。皆皆みなめやすかりめやすかりめやすかりつるつるつる中中なかににに立立たちちち後後おくれれれてててこのこのこの君君きみのののたちたちたち出出いででで給給たまへへえるるる、、、いといといとこよなくこよなくこよなくめめめとまるとまるとまる心心こころちちちしししててて例例れいののの物物ものめでめでめでするするする若若わかききき人人ひと達達たちははは「「「猶猶なお異異ことなりなりなりけりけりけり」」」などなどなどいふいふいう。。。「「「このこのこの殿殿とのののの姫姫ひめ君君ぎみののの御御おん傍傍かたわらにににはははこれこれこれをををこそこそこそさしさしさしならべならべならべててて見見みめめめ」」」ととと聞聞ききききにくゝにくゝにくくいふいふいう。。。げにげにげにいといといと若若わこうううなまめかしきなまめかしきなまめかしきさまさまさましししてててうちうちうちふるまひふるまひふるまい給給たまへへえるるる匂匂におい香香かなどなどなどよよよのののつねつねつねならならならずずず。。。姫姫ひめ君君ぎみととと聞聞きこゆれゆれゆれどどど心心こころおはせおはせおわせむむん人人ひとはははげにげにげに人人ひとよりよりよりはははまさるまさるまさるなめりなめりなめりととと見見み知知しりりり給給たまふふうらむらむらんかしかしかしとととぞぞぞ覺覺おぼゆるゆるゆる。。。
現代語訳
あれこれの方々がここに集まりなさって、それから三条の宮に参上なさる。朱雀院の恩顧の深い人々や、六条院方の人々も、それぞれの縁につけて、やはりあの入道の宮を素通りすることができず参上なさるのだろう。この邸の左近中将、右中弁、侍従の君なども、そのまま大臣のお供にお出になった。引き連れていらっしゃる勢いは格別である。夕方になって、四位の侍従が参上なさった。大勢の大人びた若君達も、それぞれ、どなたが見劣りしたろうか。皆感じがよかった中に、遅れてこの君が姿をお見せになったのは、たいそう格別に目にとまる心地がして、例の物を褒めたがる若い女房たちは「やはり格別だわ」などと言う。「この邸の姫君のお側には、この方をこそ並べて見たいものだ」と、聞き苦しく言う。本当にたいそう若々しく優美な様子をして、振る舞っていらっしゃる身の香りなども、世の常ではない。深窓の姫君と申し上げても、物の分かる方ならば、本当に人よりは勝っているようだと見知りなさるだろうと思われる。
意訳
人々は玉鬘の邸から女三の宮のもとへ向かう。夕方、遅れて薫が玉鬘の邸を訪れると、その優美な姿と香りに若い女房たちは色めき立ち、姫君の相手にふさわしいと噂する。
語釈・文法注
文法
- 「入道宮」(猶かの入道宮をばえよぎず)
- 女三の宮。出家しているのでこう呼ぶ。
- 「ゆふつけて」(ゆふつけて四位の侍從參り給へり)
- 夕方になって。
- 「匂香」(うちふるまひ給へる匂香など)
- 身から漂う香り。薫の芳香。
解説
年賀の客たちは、玉鬘の邸から女三の宮の三条宮へと向かう。源氏亡き後も、源氏ゆかりの人々への礼は保たれている。
遅れて現れた薫は、女房たちの注目を一身に集める。その香りは「よのつねならず」と描かれ、匂宮巻での描写と響き合う。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、860–861頁(コマ141)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日