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源氏物語 第42帖 匂宮(10)

匂う兵部卿、薫る中将

登場人物:薫・匂宮・冷泉院の女一の宮

源中将(薫)は、この宮(匂宮)のもとにいつも参上して、管絃の遊びなどでも競い合うように楽器の音を吹き立て、本当に張り合いながらも、若い者同士で親しく思い交わすにちがいない人柄である。例によって世の人は「匂う兵部卿、薫る中将」と、聞き苦しいほど言い続けて、その頃よい娘のいる高貴な家々は、胸をときめかせて縁談を申し入れなどする者もいるので、匂宮はあれこれと趣がありそうなところには言い寄って、相手の人柄や様子を探る。特に心にかけて思う方はなかったが、冷泉院の女一の宮だけは、そのように妻としてお世話できたらかいがあるだろうと思っているのは、母の女御もたいそう重々しく奥ゆかしい方で、姫君の様子も本当に比類なく優れていて、世間の評判も高い上に、まして少し近くお仕えし慣れた女房などが詳しい様子を何かにつけて伝えるなどもあるので、いっそう我慢しがたく思うようである。

  1. 1源げん源げんげん中ちゆう中ちゆうちゅう將じやう將じやうじょうこのこのこの宮みや宮みやみやにににははは常つね常つねつねににに參まゐ參まゐまいりりりつゝつゝつつあそびあそびあそびなどなどなどにににもももきしろふきしろふきしろうものものものゝゝの音ね音ねねををを吹ふ吹ふふききき立た立たたててて、、、げにげにげにいどましくいどましくいどましくももも若わか若わかわかきききどちどちどち思おも思おもおもひひいかはしかはしかわし給たま給たまたまひひいつつつべきべきべき人ひと人ひとひとのののさまさまさまににになむなむなん。。。例れい例れいれいののの世よ世よよ人ひと人ひとひとはははにほふにほふにおう兵ひやう兵ひやうひょう部ぶ部ぶぶ卿きやう卿きやうきょう、、、かをるかをるかおる中ちゆう中ちゆうちゅう將じやう將じやうじょうととと聞き聞きききききにくゝにくゝにくくいひいひいいつゞけつゞけつづけてててそのそのその比ころ比ころころよきよきよきむすめむすめむすめおはするおはするおわするやうごとなきやうごとなきようごとなき所ところ所ところところ々どころ々どころどころははは心こころ心こころこころときめきときめきときめきににに聞きこ聞きこきこえええごちごちごちなどなどなどししし給たま給たまたまふふうもももあれあれあればばば、、、宮みや宮みやみやはははさまざまさまざまさまざまにににをかしうをかしうおかしゅうもももありありありぬぬぬべきべきべきわたりわたりわたりをををばばばのたまひのたまひのたまいよりよりよりててて人ひと人ひとひとののの御おん御おんおんけはひけはひけはいありさまありさまありさまをををももも氣色けしき氣色けしきけしきとりとりとり給たま給たまたまふふう。。。わざとわざとわざと御心みこころ御心みこころみこころにににつけつけつけでででおぼすおぼすおぼすかたかたかたはははことことことににになかりなかりなかりけりけりけり冷れい冷れいれい泉ぜい泉ぜいぜい院ゐん院ゐんいんののの一いちの一いちのいちの宮みや宮みやみやをををぞぞぞさやうさやうさようにてにてにてももも見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららばばばやややかひかひかいありありありなむなむなんかしかしかしとととおぼしおぼしおぼしたるたるたるははは、、、母はゝ母はゝはは女にようご女にようごにょうご御おん御おんおんもももいといといとおもくおもくおもく心こころ心こころこころにくゝにくゝにくく物もの物ものものししし給たま給たまたまふふうあたりあたりあたりにてにてにて、、、姫ひめ姫ひめひめ君ぎみ君ぎみぎみののの御おん御おんおんけはひけはひけはいげにげにげにとととありがたくありがたくありがたく勝すぐ勝すぐすぐれれれてててよそよそよそののの聞きこ聞きこきこえええもももおはしますおはしますおわしますににに、、、ましてましてまして少すこ少すこすこししし近ちか近ちかちかくくくもももさぶらひさぶらひさぶらいなれなれなれたるたるたる女房にようばう女房にようばうにょうぼうなどなどなどののの委くは委くはくわしきしきしき御おん御おんおん有あり有ありあり樣さま樣さまさまののの事こと事ことことにににふれふれふれててて聞きこ聞きこきこえええ傳つた傳つたつたふるふるうるなどなどなどもももあるあるあるにににいとゞいとゞいとど忍しの忍しのしのびびびがたくがたくがたくおぼすおぼすおぼすべかべかべかめりめりめり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

源中将(薫)は、この宮のもとにはいつも参上しながら、管絃の遊びなどでも競い合うように楽器の音を吹き立てて、本当に張り合いながらも、若い者同士で親しく思い交わしなさるにちがいない人柄である。例によって世の人は、「匂う兵部卿、薫る中将」と、聞き苦しいほど言い続けて、その頃、よい娘がいらっしゃる高貴な家々は、胸をときめかせて縁談をほのめかし申し上げなどなさる方もいるので、宮はあれこれと趣がありそうなところには言い寄りなさって、相手のご様子や人柄をも探りなさる。特にお心にかけてお思いになる方は格別になかったが、冷泉院の女一の宮だけは、そのように妻としてお世話申し上げたら、かいがあるだろうとお思いになっているのは、母の女御もたいそう重々しく奥ゆかしくいらっしゃる方で、姫君のご様子も本当に比類なく優れていて、世間の評判もおありになる上に、まして少し近くお仕えし慣れた女房などが、詳しいご様子を何かにつけて伝え申し上げるなどということもあるので、いっそう我慢しがたくお思いになるようである。

意訳

匂宮と薫は張り合いながらも親しく、世の人は「匂う兵部卿、薫る中将」ともてはやす。娘を持つ家々は縁談を持ちかけるが、匂宮は冷泉院の女一の宮に心を寄せている。

語釈・文法注

文法

「にほふ兵部卿、かをる中將」(にほふ兵部卿、かをる中將)
世の人がつけた呼び名。匂宮、薫という後世の呼び名の由来。
「聞えごち」(心ときめきに聞えごちなどし給ふ)
それとなく縁談を申し入れる。
「冷泉院の一宮」(冷泉院の一宮をぞ)
冷泉院と弘徽殿女御(頭中将の娘)の娘、女一の宮。

解説

「匂う兵部卿、薫る中将」という呼び名が生まれる。二人は友であり、競争相手でもある。この二人の関係は、宇治の姫君たちをめぐって、宇治十帖の物語を動かしていく。

匂宮は冷泉院の女一の宮に憧れる。高貴で手の届きにくい女性に心を寄せるのは、源氏の藤壺への思いにも通じる。しかし匂宮の恋は、源氏のような深い思いというより、好奇心に近いものとして描かれている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、844–845頁(コマ133)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日