源氏物語 第38帖 鈴虫(4)
盛大な供養
いつものように親王たちなども大勢参る。御方々から我も我もと用意した捧げ物の様子は格別で、所狭しと見える。七僧の法服など、大方のことは皆紫の上が用意した。綾の装いで、袈裟の縫い目まで、見る目のある人は世に並々でないとほめたとか。煩わしく細々としたことである。講師がたいそう尊く法会の趣旨を述べ、宮がこの世にすぐれた盛りの身を厭い離れて、長い世々に絶えることのない契りを法華経に結んだ尊く深い様子を表し、今の世に学才もすぐれた弁舌の才をいっそう心を込めて言い続けたのが、たいそう尊いので、人々は皆涙を流す。これはただ内々に念誦堂の始めと思っていたことだが、帝や朱雀院も聞いて、皆使者を寄こす。誦経の布施なども、たいそう所狭いほど急に盛大になった。源氏の院で用意したことも簡略にしようと思っていたが、世の常ではなかったうえに、まして当世風の帝からの品々も加わったので、夕べには寺に置き場もないほどの盛大さになって、僧たちは帰った。

- 1例例れいのののみこみこみこたちたちたちなどなどなどもももいといといとあまたあまたあまた參參まいりりり給給たまへへえりりり。。。御御おんかたがたかたがたかたがたよりよりよりわれわれわれもももわれわれわれもももととといとなみいとなみいとなみ出出いででで給給たまへへえるるる御御おんほうもちほうもちほうもちのののありさまありさまありさま心心こころことことことににに所所ところせまきせまきせまきまでまでまで見見みゆゆゆ。。。七七しち僧僧そうののの法法ほう服服ぶくなどなどなどすべてすべてすべて大大おお方方かたのののことことことゞゞどもももははは皆皆みな紫紫むらさきののの上上うえせせせさせさせさせ給給たまへへえりりり。。。綾綾あやのののよそひよそひよそいにてにてにて袈袈け裟裟さののの縫縫ぬい目目めまでまでまで見見みしるしるしる人人ひとははは世世よににになべてなべてなべてならならならずずずとととめでめでめでけりけりけりとととややや。。。むつかしうむつかしうむつかしゅうこまかこまかこまかなるなるなる事事ことどもどもどもかなかなかな。。。かうじかうじこうじのののいといといとたふとくたふとくとうとく事事ことののの心心こころををを申申もうしししてててこのこのこの世世よにににすぐれすぐれすぐれ給給たまへへえるるる盛盛さかりををを厭厭いとひひいはなれはなれはなれ給給たまひひいててて、、、長長ながきききよゝよゝよよにににたゆたゆたゆまじきまじきまじき御御おん契契ちぎりををを法法ほ華華け經經きょうににに結結むすびびび給給たまふふう。。。尊尊とうとくくく深深ふかきききさまさまさまをををあらはしあらはしあらわしててて只只ただ今今いまののの世世よににに才才ざえもももすぐれすぐれすぐれゆだけきゆだけきゆだけきさきらさきらさきらをををいとゞいとゞいとど心心こころしししててていひいひいいつゞけつゞけつづけたるたるたる、、、いといといとたふとけれたふとけれとうとければばば皆皆みな人々人々ひとびとしほたれしほたれしおたれ給給たまふふう。。。これこれこれはははたゞたゞただ忍忍しのびびびててて御御おん念念ねん誦誦ず堂堂どうのののはじめはじめはじめとととおぼしおぼしおぼしたるたるたることことことなれなれなれどどど、、、內內うちにににももも山山やまのののみかどみかどみかどももも聞聞きこしめししめししめしててて皆皆みな御御おん使使つかいどもどもどもありありあり。。。みずみずみず經經きょうのののふせふせふせなどなどなどいといといと所所ところせきせきせきまでまでまでにににはかはかはかににになむなむなんことことことひろごりひろごりひろごりけるけるける。。。院院いんにににまうけまうけもうけさせさせさせ給給たまへへえりりりけるけるける事事ことどもどもどもそぐそぐそぐとととおぼしおぼしおぼしゝゝしかかかどどど、、、世世よののの常常つねならならならざりざりざりけるけるけるをををまいてまいてまいて今今いまめかしきめかしきめかしき事事ことどもどもどもののの加加くわはりはりわりたれたれたればばば、、、夕夕ゆうべののの寺寺てらにににおきおきおき所所ところなげなげなげなるなるなるまでまでまで所所ところせきせきせきいきほひいきほひいきおいににになりなりなりてててなむなむなん僧僧そうどもどもどもはははかへりかへりかえりけるけるける。。。
現代語訳
いつものように、親王たちなども大勢参上なさった。御方々から我も我もとご用意なさった捧げ物の有様は格別で、所狭いほどに見える。七僧の法服など、すべて大方のことは、皆紫の上がおさせになった。綾の装いで、袈裟の縫い目まで、見る目のある人は、世に並々でないとほめたとかいうことだ。煩わしく細々としたことであるよ。講師がたいそう尊く法会の趣旨を申し述べて、宮がこの世にすぐれていらっしゃる盛りの身を厭い離れなさって、長い世々に絶えることのない御契りを法華経に結びなさる、その尊く深い様子を表して、今の世に学才もすぐれ、堂々とした弁舌の才を、いっそう心を込めて言い続けたのが、たいそう尊いので、人々は皆涙を流しなさる。これは、ただ内々に御念誦堂の始めとお思いになっていたことだったが、帝(冷泉院)も山の帝(朱雀院)もお聞きになって、皆お使いを寄こされた。御誦経の布施なども、たいそう所狭いほどに、急に事が大きくなった。源氏の院でご用意させなさった品々も、簡略にしようとお思いになったが、世の常ではなかったうえに、まして当世風の品々が加わったので、夕べには、寺に置き場もなさそうなほど所狭い盛大さになって、僧たちは帰った。
意訳
紫の上の用意した法服や、講師の尊い説法に人々は涙し、帝や朱雀院からの使者も加わって、供養は盛大になった。
語釈・文法注
文法
- 「ほうもち」(いとなみ出で給へる御ほうもち)
- 捧物。仏前に供える品物。
- 「七僧」(七僧の法服など)
- 法会で重要な役を務める七人の僧。講師、読師、呪願、三礼、唄、散華、堂達。
- 「さきら」(ゆだけきさきらを)
- 弁舌の才。
- 「むつかしうこまかなる事どもかな」(むつかしうこまかなる事どもかな)
- 語り手の言葉。細かな描写を省略する時の表現。
解説
供養は、内々のものとして計画されたが、帝や朱雀院の使者も加わって、盛大なものとなった。紫の上が七僧の法服を用意したという描写には、紫の上の行き届いた心遣いと、六条院の女主人としての立場が表れている。
講師の説法は、宮がこの世の盛りを捨てて仏道に入ったことの尊さを述べる。しかし、宮の出家の本当の理由は、源氏との不和と柏木との過ちにある。人々が涙する尊い説法の陰に、隠された苦しみがある。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、758–759頁(コマ90)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日