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源氏物語 第34帖 若菜上(29)

紫の上の微笑

登場人物:光源氏・紫の上・女三の宮

昔から深く心をかけながら、わずかな逢瀬で終わった仲なので、源氏の感慨は深い。忍んで帰った源氏の寝乱れた姿を見て、紫の上はそれと察するが、知らないふりをする。なまじ嫉妬されるよりも心苦しく、源氏は、なぜこうも見放したようにするのかと思い、以前にもまして深い契りを、長い将来にかけて語る。源氏は、昔のことも知っている紫の上に、朧月夜と物越しにわずかに対面したことを打ち明け、もう一度会いたいと言う。紫の上は笑って、今めかしく若返ったご様子だと言い、中途半端な身にはつらいと涙ぐむ。源氏は、こう心穏やかでないのが苦しい、つねったりして素直に怒ってほしいと言い、あれこれと機嫌をとって、すっかり打ち明けてしまう。宮のもとへもすぐには行かず、紫の上をなだめている。女三の宮は何とも思っていないが、乳母たちは不満を言う。源氏は宮を、かわいらしい慰みもののように思っている。

朝の六条院の対の屋で、朝帰りした源氏が紫の上の機嫌をとろうと語りかけ、紫の上が涙ぐみながらも笑みを浮かべている場面(AI生成)
朝の六条院の対の屋で、朝帰りした源氏が紫の上の機嫌をとろうと語りかけ、紫の上が涙ぐみながらも笑みを浮かべている場面
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  2. 2かんかんかんののの君きみ君きみきみののの御おん御おんおんことことことももも又また又またまたもらすもらすもらすべきべきべきならならならねねねどどど、、、いにしへいにしへいにしえののの事こと事ことことももも知し知ししりりり給たま給たまたまへへえれれればばば「「「まほまほまほにににはははあらあらあらねねねどどど物もの物ものものごしごしごしにににはつかはつかはつかなりなりなりつるつるつる對たい對たいたい面めん面めんめんなむなむなんのこりのこりのこりあるあるある心地ここち心地ここちここちするするする。。。いかでいかでいかでひとひとひとめめめ咎とが咎とがとがめめめあるあるあるまじくまじくまじくもてもてもて隱かく隱かくかくしししててて今いま今いまいま一ひと一ひとひと度たび度たびたびももも」」」ととと語かた語かたかたらひらひらい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。打う打ううちちち笑わら笑わらわらひひいててて「「「今いま今いまいまめかしくめかしくめかしくもももなりなりなりかへるかへるかえる御おん御おんおん有樣ありさま有樣ありさまありさまかなかなかな。。。昔むかし昔むかしむかしををを今いま今いまいまににに改あらた改あらたあらためめめくはへくはへくわえ給たま給たまたまふふうほどほどほど中なか中なかなか空ぞら空ぞらぞらなるなるなる身み身みみのののためためため苦くる苦くるくるしくしくしく」」」とてとてとてさすがにさすがにさすがに淚なみだ淚なみだなみだぐみぐみぐみ給たま給たまたまへへえるるるまみまみまみのののいといといとらうたげらうたげろうたげににに見み見みみゆるゆるゆるににに「「「かうかうこう心こころ心こころこころ安やす安やすやすからからからぬぬぬ御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしきこそこそこそ苦くる苦くるくるしけれしけれしけれ。。。唯ただ唯ただただおいらかおいらかおいらかにににひきひきひきつみつみつみなどなどなどしししててて敎をし敎をしおしへへへ給たま給たまたまへへえ隔へだて隔へだてへだてあるあるあるべくべくべくもももならはしならはしならわし聞きこ聞きこきこえええぬぬぬををを思おも思おもおもははわずずずにににこそこそこそなりなりなりにににけるけるける御心みこころ御心みこころみこころなれなれなれ」」」とてとてとて、、、よろづよろづよろずににに御心みこころ御心みこころみこころとりとりとり給たま給たまたまふふうほどほどほどににに何事なにごと何事なにごとなにごとももも得え得ええ殘のこ殘のこのこししし給たま給たまたまははわずずずなりなりなりぬぬぬめりめりめり。。。
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引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

あの昔も、人よりこの上なく心にとめてお思いになっていたご愛情でありながら、わずかな逢瀬で終わってしまったお二人の仲なので、どうして感慨が少ないことがあろうか。たいそう忍んでお帰りになった源氏の寝乱れたご様子を待ち受けて、女君(紫の上)は、そういうことだろうとお察しになったけれど、気づかないふりをしていらっしゃる。源氏は、なまじ嫉妬なさったりするよりも心苦しく、どうしてこうも見放したようになさるのだろうとお思いになるので、以前よりも、なるほど深い契りばかりを、長い将来にかけて申し上げなさる。

尚侍の君のことも、また漏らすべきことではないけれど、紫の上は昔のことも知っていらっしゃるので、源氏は、「はっきりとではないが、物越しにわずかばかりの対面をしたのが、心残りな気がする。何とかして人目に咎められないように隠して、もう一度」と、お話し申し上げなさる。紫の上はお笑いになって、「当世風に若返ってしまわれたご様子ですこと。昔の恋を今に改めて加えなさるので、どっちつかずの私の身にはつらいことです」と言って、さすがに涙ぐんでいらっしゃる目もとが、たいそういじらしく見えるので、源氏は、「こう心穏やかでないご様子こそ苦しい。ただ素直に、つねったりして叱ってください。隔てがあるようにお慣らし申し上げたことはないのに、思いがけないお心になってしまったものだね」と言って、何かとご機嫌をおとりになるうちに、何もかもお隠しになれず、すっかり話しておしまいになったようだ。

宮の御方にも、すぐにはお出かけになれず、紫の上をなだめ申し上げていらっしゃる。姫宮は何ともお思いになっていないのを、御後見の乳母たちが不満に申し上げるのだった。宮が煩わしいなどと思っていらっしゃるご様子であったら、そちらもいっそう気の毒であろうが、源氏は宮を、おっとりとかわいらしい慰みものとお思い申し上げていらっしゃった。

意訳

紫の上は源氏の朝帰りに気づきながら知らないふりをし、源氏は朧月夜とのことを打ち明ける。

紫の上は笑いながらも涙ぐみ、源氏は機嫌をとる。女三の宮は何とも思わず、源氏は宮をかわいい慰みもののように思う。

語釈・文法注

文法

「うちふすぶ」(なかなか打ちふすべなどし給へらむよりも)
「ふすぶ」は、くすぶる、嫉妬する。嫉妬してすねること。
「中空」(中空なる身のため苦しく)
どっちつかずの、中途半端な。女三の宮と朧月夜との間で、宙に浮いた立場の自分をいう。
「ひきつむ」(ひきつみなどして敎へ給へ)
つねる。素直に嫉妬して叱ってほしいという、源氏の甘えた言葉。

解説

紫の上は、源氏の朝帰りを見ても嫉妬を見せない。源氏はかえってそれが心苦しく、「ひきつみなどして」と、素直に怒ってほしいと言う。しかし紫の上にとって、嫉妬を表に出すことは、自分の立場の弱さをさらけ出すことでもあった。

紫の上の「中空なる身」という言葉は重い。正妻の座を女三の宮に譲り、源氏の心は朧月夜にも向かう。かつて並ぶ者のなかった紫の上は、今や宙に浮いた存在となっている。その一方で、女三の宮は「美しき翫びぐさ」と見られており、三人の女性はそれぞれに満たされない立場にある。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、618–619頁(コマ20)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日