源氏物語 第34帖 若菜上(8)
婿選びの思案
朱雀院は、宮がもう少し物心がつくまで見届けたかったが、出家の本意も遂げられなくなりそうで心がせくと言い、婿の候補を一人ひとり品定めする。源氏は、多くの女君がいるとはいえ、物事をわきまえていて安心できる点では並ぶ者がない。蛍兵部卿宮は人柄はよいが、風流に過ぎて重みに欠ける。家司を望む藤大納言は、実直ではあっても身分が釣り合わない。柏木(右衛門督)は宮を慕っていると朧月夜から聞いており、志が高く将来も有望だが、まだ若く位も軽い。院はあれこれと思い悩む。

- 1見見み捨捨すてててまつりまつりまつり給給たまははわむむんのちのちのちののの世世よをををうしろめたげうしろめたげうしろめたげににに思思おもひひい聞聞きこえええさせさせさせ給給たまへへえれれればばば、、、いよいよいよいよいよいよ煩煩わずらはしくはしくわしくおもひおもひおもいあへあへあえりりり。。。「「「今今いますこしすこしすこしものものものをををももも思思おもひひい知知しりりり給給たまふふう程程ほどまでまでまで見見み過過すぐさぐさぐさむむんとととこそこそこそははは年年とし頃頃ごろ念念ねんじじじつるつるつるををを、、、深深ふかきききほほほ意意いももも遂遂とげげげずずずなりなりなりぬぬぬべきべきべき心地心地ここちのののするするするににに思思おもひひい催催もよおささされれれてててなむなむなん。。。かのかのかの六六ろく條條じょうのののおとゞおとゞおとどはははげにげにげにさりともさりともさりともものものものゝゝの心心こころえええてててうしろうしろうしろ安安やすききき方方かたはははこよなかりこよなかりこよなかりなむなむなんををを、、、かたがたかたがたかたがたににに數數あま多多たものせものせものせらるらるらるべきべきべき人々人々ひとびとををを知知しるるるべきべきべきにににもももあらあらあらずずずかしかしかし。。。とてとてとてもももかくかくかくてててももも人人ひとののの心心こころからからからなりなりなり。。。のどかのどかのどかにににおちおちおち居居いててて大大おおかたかたかたののの世世よのののためしためしためしとととももも、、、うしろうしろうしろ安安やすききき方方かたははは並並ならびびびなくなくなくものせものせものせらるゝらるゝらるる人人ひとなりなりなり。。。さらさらさらでででよろしかるよろしかるよろしかるべきべきべき人人ひと誰誰たればかりばかりばかりかはかはかはあらあらあらむむん。。。
- 2兵兵ひょう部部ぶ卿卿きょう宮宮のみや人人ひとがらがらがらはははめやすしめやすしめやすしかしかしかし。。。同同おなじじじすぢすぢすじにてにてにてことことこと人人びととととわきまへわきまへわきまえおとしむおとしむおとしむべきべきべきにににはははあらあらあらねねねどどど、、、あまりあまりあまりいたくいたくいたくなよびなよびなよびよしめくよしめくよしめく程程ほどににに、、、重重おもききき方方かたおくれおくれおくれててて少少すこしししかろびかろびかろびたるたるたる覺覺おぼえええややや進進すすみみみにににたらたらたらむむん。。。なほなほなおさるさるさる人人ひとはははいといといとたのもしげたのもしげたのもしげなくなくなくなむなむなんあるあるある。。。又又また大大だい納納な言言ごんののの朝朝あ臣臣そんののの家家いえづかさづかさずかさのぞむのぞむのぞむなるなるなる、、、さるさるさるかたかたかたにににものものものまめやかまめやかまめやかなるなるなるべきべきべきことことことにににはははあああなれなれなれどどどさすがにさすがにさすがにいかにいかにいかにぞぞぞややや。。。さやうさやうさようにににおしなべおしなべおしなべたるたるたるきはきはきわゝゝは猶猶なおめざましくめざましくめざましくなむなむなんあるあるあるべきべきべき。。。昔昔むかしもももかやうかやうかようなるなるなるえらひえらひえらいにににははは何事何事なにごとももも人人ひとにににことことことなるなるなる覺覺おぼえええあるあるあるににに、、、ことことことよりよりよりてててこそこそこそありありありけれけれけれ。。。唯唯ただひとへひとへひとえにににまたまたまたなくなくなく用用もちゐゐいむむんばかりばかりばかりををを、、、賢賢かしこきききことことことににに思思おもひひい定定さだめめめむむんはははいといといと飽飽あかかかずずず口惜口惜くちおしかるしかるしかるべきべきべきわざわざわざににになむなむなん。。。
- 3右右う衛衛え門門もん督督かみのののしたしたしたにににわぶわぶわぶなるなるなるよしよしよし、、、ないないないしししのののかみかみかみのののものせものせものせられられられしししそのそのその人人ひとばかりばかりばかりなむなむなん、、、位位くらいなどなどなど今今いま少少すこしししものものものめかしきめかしきめかしき程程ほどににになりなりなりなななばばば、、、などなどなどかはかはかはともともとも思思おもひひいよりよりよりぬぬぬべきべきべきををを、、、まだまだまだ年年としいといといと若若わかくくくむげむげむげにににかろびかろびかろびたるたるたる程程ほどなりなりなり。。。高高たかききき志志こころざし深深ふかくくくてててやもめやもめやもめずみずみずみにてにてにて過過すぐしぐしぐしつゝつゝつついたくいたくいたくしづまりしづまりしずまり思思おもひひいあがれあがれあがれるるる氣色氣色けしき人人ひとにににはははぬけぬけぬけてててざえざえざえなどなどなどもももことことこともももなくなくなく遂遂ついにににははは世世よのののかためかためかためとととなるなるなるべきべきべき人人ひとなれなれなればばば、、、行行ゆくくく末末すえもももたのもしけれたのもしけれたのもしけれどどど、、、猶猶なお又又またこのこのこの爲爲ためにににととと思思おもひひいはてはてはてむむんにににはははかぎりかぎりかぎりぞぞぞあるあるあるややや」」」ととと萬萬よろずにににおぼしおぼしおぼし煩煩わずらひひいたりたりたり。。。
現代語訳
院が、見捨て申し上げなさった後の世のことを気がかりにお思い申し上げなさるので、乳母たちはいよいよ面倒なことだと思い合っている。院は、「もう少し物事をおわかりになる年頃まで見届けようと、長年こらえてきたが、深い本意も遂げられずに終わってしまいそうな気がするので、心がせかされてね。あの六条の大臣(源氏)は、なるほど、ああ言っても物の道理をわきまえていて、安心できる点はこの上ないだろうが、あちこちに大勢いらっしゃる女君たちのことは、気にするまでもないだろう。どうなるにしても、本人の心次第である。ゆったりと落ち着いていて、世間一般の模範としても、安心できる点では並ぶ者がなくいらっしゃる人だ。そのほかにふさわしい人は、誰がいようか。
兵部卿の宮(蛍兵部卿宮)は、人柄は感じがよい。同じ皇族の血筋で、他人のように区別して見下すべきではないけれど、あまりにもなよなよと風流めいているので、重々しい点が劣って、少し軽薄だという評判が強くなってしまったのではないか。やはりそういう人は、たいそう頼りない。また、大納言の朝臣(藤大納言)が家司を望んでいるそうだが、その方面ではまじめに仕えてくれるだろうけれど、やはりどんなものだろうか。そのように平凡な身分の者は、やはり不釣り合いであろう。昔も、このような婿選びには、何事も人に優れた評判のある人に、話が寄ったものだ。ただひたすら、またとなく大切にしてくれることばかりを、ありがたいことと思い定めるのは、たいそう物足りなく残念なことであろう。
右衛門督(柏木)が、ひそかに思い悩んでいるということを、尚侍(朧月夜)がお話しになっていたが、その人くらいは、位などがもう少しそれらしくなったら、どうしていけないことがあろうかと、思い寄ってもよいのだが、まだ年がたいそう若くて、ひどく身分が軽い。志が高く深くて、独り身のまま過ごしながら、たいそう落ち着いて誇り高い様子は、人に抜きん出ていて、学才なども申し分なく、ついには世の柱石となるはずの人なので、将来も頼もしいけれど、やはりまた、この宮のためにと思い決めるには、限りがあるよ」と、何かとお思い悩んでいらっしゃる。
意訳
朱雀院は婿の候補を品定めし、源氏の安心感、蛍兵部卿宮の軽さ、藤大納言の身分の低さを挙げる。
柏木は将来有望だが、まだ若く位も軽いので、院は決めかねる。
語釈・文法注
文法
- 「とてもかくても」(とてもかくても人の心からなり)
- どうなるにしても、いずれにしても。
- 疑問の「や…む」(かろびたる覺えや進みにたらむ)
- 「軽薄だという評判が強くなってしまったのだろうか」。
- 反語の「などかは」(などかはとも思ひよりぬべき)
- 「どうしていけないことがあろうか」。下に「あらむ」などが省略されている。
解説
朱雀院の婿の品定めは、帚木の巻の「雨夜の品定め」を思わせる。候補者たちはそれぞれ欠点を指摘されるが、源氏だけは「うしろ安き方は並びなく」と評価される。多くの女君がいることも「人の心からなり」と退けられ、院の心はすでに源氏に傾いている。
柏木はここで初めて女三の宮を慕う人として登場する。院は柏木の才を認めながら、身分の軽さを理由に退ける。この時に退けられた柏木の思いが、のちに悲劇的な密通へとつながっていく。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、594–595頁(コマ8)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日