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源氏物語 第34帖 若菜上(6)

乳母と左中弁

登場人物:女三の宮の乳母・左中弁・光源氏・紫の上

女三の宮の乳母の兄の左中弁は、源氏に親しく仕える人である。乳母は、院の意向を源氏に漏らしてほしいと頼み、宮の後見の大切さを語る。左中弁は、源氏には多くの女君がいるが、本当に重んじているのは一人(紫の上)だけで、ほかの方々は寂しい暮らしをしている、しかし宮が降嫁すれば、誰も肩を並べることはできないだろうと言う。源氏はこの世の栄華に欠けるところはないが、女性のことでは非難も受け、自分でも満足していないとよく言っており、身分の高い妻を得ればふさわしい縁だろうと語る。乳母はそれを院に伝え、源氏はきっと承知するだろうが、ほかの女君たちと並ぶことで不快な思いをすることもあろうと申し上げる。

朱雀院の御所の一室で、女三の宮の乳母が、兄の左中弁と向かい合って、声をひそめて宮の縁談について語り合っている場面(AI生成)
朱雀院の御所の一室で、女三の宮の乳母が、兄の左中弁と向かい合って、声をひそめて宮の縁談について語り合っている場面
  1. 1このこのこの御おん御おんおんうしろみうしろみうしろみどもどもどものののなかなかなかににに、、、おもおもしきおもおもしきおもおもしき御おん御おんおん乳め乳めめ母のと母のとのとのののせうとせうとしょうと左さ左ささ中ちゆう中ちゆうちゅう辨べん辨べんべんなるなるなるかのかのかの院ゐん院ゐんいんののの親おや親おやおやしきしきしき人ひと人ひとひとにてにてにて年とし年としとし比ごろ比ごろごろ仕つか仕つかつかうまつるうまつるうまつるありありありけりけりけり。。。このこのこの宮みや宮みやみやにににももも心こころ心こころこころよせよせよせことことことにてにてにてさぶらへさぶらへさぶらえばばば、、、參まゐ參まゐまいりりりたるたるたるにににあひあひあいててて物語ものがたり物語ものがたりものがたりするするするついでついでついでににに「「「上うへ上うへうえなむなむなんしかじかしかじかしかじか御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしきありありありててて聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまひひいしししをををかのかのかの院ゐん院ゐんいんにににをりをりおりあらあらあらばばば漏もら漏もらもらししし聞きこ聞きこきこえええさせさせさせ給たま給たまたまへへえ。。。御み御みみ子こ子ここ達たち達たちたちははは一ひと一ひとひと人り人りりおはしますおはしますおわしますこそこそこそははは例れい例れいれいのののことことことなれなれなれどどど、、、さまざまさまざまさまざまにににつけつけつけててて心こころ心こころこころよせよせよせ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり、、、何事なにごと何事なにごとなにごとにににつけつけつけてててももも御おん御おんおんうしろみうしろみうしろみししし給たま給たまたまふふう人ひと人ひとひとあるあるあるはははたのもしげたのもしげたのもしげなりなりなり。。。上うへ上うへうえををを置お置おおききき奉たてまつ奉たてまつたてまつりりりててて又また又またまた眞ま眞まま心ごころ心ごころごころににに思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふうべきべきべき人ひと人ひとひともももなけれなけれなければばば、、、おのれおのれおのれははは仕つか仕つかつかうまつるうまつるうまつるとてとてとてももも何なに何なになにばかりばかりばかりののの宮仕みやづかへ宮仕みやづかへみやずかえにににかかかあらあらあらむむん。。。我わ我わわががが心こころ心こころこころひとつひとつひとつにににしもしもしもあらあらあらでででおのづからおのづからおのずから思おも思おもおもののの外ほか外ほかほかのののことことこともももおはしましおはしましおわしまし、、、かるがるしきかるがるしきかるがるしき聞きこ聞きこきこえええもももあらあらあらむむん時とき時ときときにににはははいかさまいかさまいかさまにににかはかはかは煩わづら煩わづらわずらしからしからしからむむん。。。御覽ごらん御覽ごらんごらんずるずるずる世よ世よよにににともかくもともかくもともかくもこのこのこの御おん御おんおん事こと事ことこと定さだま定さだまさだまりりりたらたらたらばばば仕つか仕つかつかうまつりうまつりうまつりよくよくよくなむなむなんあるあるあるべきべきべき。。。賢かしこ賢かしこかしこきききすぢすぢすじととと聞きこ聞きこきこゆれゆれゆれどどど女をんな女をんなおんなはははいといといとすくせすくせすくせ定さだ定さださだめめめがたくがたくがたくおはしますおはしますおわしますものものものなれなれなればばば、、、よろづよろづよろずににになげかしくなげかしくなげかしくかくかくかく夥あま夥あまあま多た多たたののの御おん御おんおん中なか中なかなかににに取と取ととりりりわきわきわき聞きこ聞きこきこえええさせさせさせ給たま給たまたまふふうにににつけつけつけてててももも、、、人ひと人ひとひとののの猜そね猜そねそねみみみあべかめるあべかめるあべかめるをををいかでいかでいかでちりちりちりもももすゑすゑすえ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららじじじ」」」ととと語かた語かたかたらふらふらうににに、、、
  2. 2辨べん辨べんべん「「「いかなるいかなるいかなるべきべきべき御おん御おんおんことことことにににかかかあらあらあらむむん。。。院ゐん院ゐんいんははは怪あや怪あやあやしきしきしきまでまでまで御心みこころ御心みこころみこころながくながくながく、、、かりかりかりにてにてにてももも見み見みみそめそめそめ給たま給たまたまへへえるるる人ひと人ひとひとははは御心みこころ御心みこころみこころとまりとまりとまりたるたるたるをををももも、、、又また又またまたさしもさしもさしも深ふか深ふかふかからからからざりざりざりけるけるけるをををももも、、、方かた方かたかた々がた々がたがたにににつけつけつけててて尋たづ尋たづたずねねねとりとりとり給たま給たまたまひひいつゝつゝつつ數あま數あまあま多た多たたつどへつどへつどえ聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえれれれどどど、、、やんごとなくやんごとなくやんごとなくおぼしおぼしおぼしたるたるたるはははかぎりかぎりかぎりありありありててて、、、ひとひとひとかたかたかたなめれなめれなめればばばそれそれそれにににことことことよりよりよりててて、、、かひなげかひなげかいなげなるなるなる住す住すすまひまひまいししし給たま給たまたまふふう方かた方かたかた々がた々がたがたこそこそこそははは多おほ多おほおおかめるかめるかめるををを、、、御おん御おんおんすくせすくせすくせありありありててて若も若ももしししさやうさやうさようにににおはしますおはしますおわしますやうやうようもももあらあらあらばばば、、、いみじきいみじきいみじき人ひと人ひとひとととと聞きこ聞きこきこゆゆゆともともとも立た立たたちちち並なら並ならならびびびててておしおしおしたちたちたち給たま給たまたまふふうことことことははは得え得ええあらあらあらじじじとととこそこそこそははは推お推おおししし量はか量はかはからららるれるれるれどどど、、、猶なほ猶なほなおいかゞいかゞいかがととと憚はばか憚はばかはばからららるゝるゝるる事こと事ことことありありありてててなむなむなん覺おぼ覺おぼおぼゆるゆるゆる。。。さるはさるはさるはこのこのこの世よ世よよのののさかえさかえさかえ末すゑ末すゑすえののの世よ世よよににに過す過すすぎぎぎててて身み身みみににに心こころ心こころこころもとなきもとなきもとなきことことことはははなきなきなきををを、、、女をんな女をんなおんなのののすぢすぢすじにてにてにてなむなむなん人ひと人ひとひとのののもどきもどきもどきをををもももおひおひおい我わ我わわががが心こころ心こころこころにににももも飽あ飽ああかかかぬぬぬことことこともももあるあるあるとととなむなむなんつねつねつねにににうちうちうちうちうちうちのののすさびすさびすさびごとごとごとにににもももおぼしおぼしおぼしのたまはするのたまはするのたまわするににに、、、げにげにげにおのれおのれおのれらららががが見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるるにににもももさささなむなむなんおはしますおはしますおわします。。。かたがたかたがたかたがたにににつけつけつけててて御おん御おんおんかげかげかげににに隱かく隱かくかくししし給たま給たまたまへへえるるる人ひと人ひとひと皆みな皆みなみなそのそのその人ひと人ひとひとならならならずずず、、、立た立たたちちち下くだ下くだくだれれれるるるきはきはきわにににははは物もの物ものものししし給たま給たまたまははわねねねどどど、、、限かぎり限かぎりかぎりあるあるあるたゞたゞただ人ひと人ひとひとどもどもどもにてにてにて院ゐん院ゐんいんののの御おん御おんおんありさまありさまありさまににに並なら並ならならぶぶぶべきべきべきおぼえおぼえおぼえ具ぐ具ぐぐしししたるたるたるやややはははおはすおはすおわすめるめるめる。。。それそれそれににに同おな同おなおなじくじくじくははは實げ實げげにににさささもももおはしまさおはしまさおわしまさばばばいかにいかにいかにたぐひたぐひたぐいたるたるたる御おん御おんおんあはひあはひあわいならならならむむん」」」ととと語かた語かたかたらふらふらうををを、、、
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引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

この宮の御後見の人々の中に、重々しい御乳母の兄で、左中弁である者が、あの院(源氏)の親しい人として、長年お仕えしている者がいた。この宮にも格別に心を寄せてお仕えしているので、乳母は、左中弁が参上したのに会って話をするついでに、「上(朱雀院)が、これこれとご意向がおありになって、お話しになったのを、あの院に、機会があればお漏らし申し上げてください。皇女たちは独身でいらっしゃるのが普通のことですが、何かにつけて心を寄せ申し上げて、何事につけてもご後見をなさる方がいるのは頼もしいことです。上をおいては、ほかに真心からお思い申し上げてくださる人もいないので、私はお仕えするといっても、どれほどの宮仕えになりましょう。私の心ひとつでもなく、思いがけないことも起こって、軽々しい噂でも立つような時には、どんなに面倒なことになりましょう。上がご覧になっている御代に、ともかくもこの宮のことが定まっていたら、お仕えしやすいでしょう。尊いお家柄と申しても、女はたいそう宿縁が定めにくくいらっしゃるものなので、何かと嘆かわしく、このように大勢の御子の中から取り分けて大切になさるにつけても、人の嫉妬もあるようなので、何とかして塵ひとつもおつけ申し上げまい」と話すと、

左中弁は、「どのようになるべきお話でしょうか。院は、不思議なほどお心が長く、かりそめにでも見初めなさった人は、お心にとまった人も、またそれほど深くなかった人も、それぞれにつけて引き取っては、大勢集めていらっしゃるけれど、大切に思っていらっしゃるのは限られていて、ただ一方(紫の上)のようなので、そちらに心が寄って、張り合いのない暮らしをしていらっしゃる方々が多いようですが、ご宿縁があって、もしそのように宮が降嫁なさることがあれば、どれほどすばらしい人と申しても、肩を並べて張り合いなさることはできないだろうと推し量られますが、やはりどうであろうかと、はばかられることがあるように思われます。とはいえ、院は、この世の栄華は末の世に過ぎるほどで、ご自身に不足なことはないけれど、女性のことでは人の非難も受け、自分の心にも満足できないこともあると、いつも内輪の気楽な話にもおっしゃっていますが、なるほど私どもが拝見しても、そのようでいらっしゃいます。あちこちのお庇護のもとに隠していらっしゃる方々は、皆それほどの身分の人ではなく、身分の低い方ではいらっしゃらないけれど、限りのある臣下の人々で、院のご様子に並ぶほどの声望を備えた方がいらっしゃるでしょうか。それに、同じことなら、本当にそのようにおなりになったら、どれほどお似合いのご夫婦でしょう」と話すのを、

乳母はまた何かの折に、院に、「これこれと、なにがしの朝臣(左中弁)にほのめかしましたところ、『あの院はきっとお引き受けなさるでしょう、長年の御本意がかなったとお思いになるに違いないことなので、こちらのお許しが本当にあるならば、お伝え申し上げましょう』と申しましたが、どのようにいたしたらよいでしょうか。院は、身分に応じて人それぞれの格をわきまえて、めったにないお心がけでいらっしゃるそうですが、臣下でさえ、ほかに関わり合う人たちが並んでいることは、人が不満に思うことにしておりますのに、不愉快なこともございましょう。御後見を望んでいらっしゃる方々は大勢いらっしゃるようです。

意訳

乳母は兄の左中弁に、院の意向を源氏に伝えるよう頼み、左中弁は、宮が降嫁すれば誰も並ぶ者はいないと答える。

乳母はそれを院に伝え、源氏は承知するだろうが、ほかの女君と並ぶことで不快な思いもあろうと申し上げる。

語釈・文法注

文法

「あべかめる」(人の猜みあべかめるを)
「あるべかるめる」の撥音便「あんべかんめる」の「ん」が表記されない形。「あるにちがいないようだ」。
強意の「てむ」(うけひき申させ給ひてむ)
完了(強意)の「つ」の未然形+推量の「む」。「きっと承知なさるだろう」。
「めざまし」(めざましきこともや侍らむ)
気にくわない、不愉快だ。目が覚めるほど意外だ、という意味から。

解説

左中弁の言葉は、源氏の女性関係を外から見た評価として興味深い。源氏は多くの女君を引き取ったが、重んじるのは紫の上だけで、ほかの方々は「かひなげなる住まひ」をしているという。しかも紫の上を含めて、皆「限あるたゞ人ども」、つまり皇女ではない。皇女を正妻に迎えることは、源氏にとって最後に残された栄誉であった。

源氏自身が「女のすぢにてなむ人のもどきをもおひ」と言っていたという話は、藤壺や朧月夜との過去を踏まえたものである。乳母は降嫁の利点とともに、ほかの女君と並ぶことの不安も院に伝えており、物語はその後の展開を予感させる。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部2(源氏物語 下) 板倉屋書房、明治36年(1903)、590–593頁(コマ6–7)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日