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源氏物語 第20帖 朝顔(6)

朝顔の姫君の拒絶

登場人物:光源氏・朝顔の姫君・宣旨

雪の月夜、源氏は朝顔の姫君に、せめて一言でも直接に返事をしてほしいと迫る。姫君は、若いころでさえ源氏との恋を慎んできたのに、盛りを過ぎた今、声を聞かせるのもまばゆいと思い、心を動かさない。源氏は恨みの歌を詠み、姫君も心変わりはしないと返す。源氏は若者のように恨み言を言って帰る。姫君は、源氏の美点を知りながらも、世の人と同じように扱われることを恐れ、ますます勤行に励む。

雪に照り映える月夜、桃園宮の西面で、源氏が御簾越しに朝顔の姫君に語りかけ、姫君は奥で身を固くして答えずにいる場面(AI生成)
雪に照り映える月夜、桃園宮の西面で、源氏が御簾越しに朝顔の姫君に語りかけ、姫君は奥で身を固くして答えずにいる場面
  1. 1西にし西にしにしおもておもておもてにににははは御おん御おんおん格子かうし格子かうしこうし參まゐ參まゐまいりりりたれたれたれどどど厭いと厭いといとひひい聞きこ聞きこきこえええがほがほがおならならならむむんもももいかゞいかゞいかがとととててて一ひと一ひとひとままま二ふた二ふたふたまままはははおろさおろさおろさずずず、、、月つき月つきつきさしさしさし出い出いいでででゝゝて薄うす薄うすうすらからからかににに積つも積つもつもれれれるるる雪ゆき雪ゆきゆきののの光ひかり光ひかりひかりにににあひあひあいてててなかなかなかなかなかなかいといといと面おも面おもおも白しろ白しろしろききき夜よ夜よよのののさまさまさまなりなりなり。。。ありありありつるつるつる老おい老おいおいらくらくらくののの心こころ心こころこころげさうげさうげそうもももよからよからよからぬぬぬものものものゝゝの世よ世よよのののたとひたとひたといとととかかか聞き聞きききききしししとととおぼしおぼしおぼし出い出いいでででられられられてててをかしくをかしくおかしくなむなむなん。。。
  2. 2今宵こよひ今宵こよひこよいはははいといといとまめやかまめやかまめやかににに聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまひひいててて「「「ひとことひとことひとことにくしにくしにくしなどなどなどももも、、、人ひと人ひとひとづてづてずてならならならでででのののたまはせたまはせたまわせむむんををを思おも思おもおもひひいたゆるたゆるたゆるふしふしふしにににもももせせせむむん」」」とととおりおりおり立た立たたちちちてててせめせめせめ聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえどどど、、、昔むかし昔むかしむかしわれわれわれももも人ひと人ひとひとももも若わか若わかわかやかやかやかににに罪つみ罪つみつみ免ゆる免ゆるゆるささされれれたりたりたりししし世よ世よよにににだにだにだに故こ故ここ宮みや宮みやみやなどなどなどののの心こころ心こころこころよせよせよせおぼしおぼしおぼしたりたりたりしししををを、、、
  3. 3猶なほ猶なほなおあるあるあるまじくまじくまじくはづかしはづかしはずかしととと思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええてててやみやみやみにににしししををを、、、世よ世よよのののすゑすゑすえにににさださださだすぎすぎすぎ、、、つきなきつきなきつきなきほどほどほどにてにてにて一ひと一ひとひと聲こゑ聲こゑこえもももいといといとまばゆからまばゆからまばゆからむむんとととおぼしおぼしおぼしててて、、、更さら更さらさらににに動うご動うごうごきききなきなきなき御心みこころ御心みこころみこころなれなれなればばば、、、あさましうあさましうあさましゅうつらしつらしつらしととと思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふう。。。流石さすが流石さすがさすがにににはしたなくはしたなくはしたなくさしさしさし放はな放はなはなちちちてててなどなどなどはははあらあらあらぬぬぬ人ひと人ひとひとづてづてずてののの御おん御おんおん返かへ返かへかえりりりなどなどなどぞぞぞ心こころ心こころこころやましきやましきやましきややや。。。
  4. 4夜よ夜よよもももいたういたういとう更ふ更ふふけけけ行ゆ行ゆゆくくくににに風かぜ風かぜかぜのののけはひけはひけわい烈はげ烈はげはげしくしくしくててて誠まこと誠まことまことにににいといといと物もの物ものもの心こころ心こころこころぼそくぼそくぼそく覺おぼ覺おぼおぼゆれゆれゆればばばさまさまさまよきよきよき程ほど程ほどほどにににおしおしおしのごひのごひのごい給たま給たまたまひひいててて、、、「「「つれなさつれなさつれなさををを昔むかし昔むかしむかしにににこりこりこりぬぬぬ心こころ心こころこころこそこそこそ人ひと人ひとひとのののつらさつらさつらさにににそへそへそえてててつらけれつらけれつらけれ心こころ心こころこころづからづからづから」」」とととののの給たま給たまたまひひいすさぶるすさぶるすさぶるををを、、、げにげにげに傍かたはら傍かたはらかたわらいたしいたしいたしととと人々びと人々びとびと例れい例れいれいののの聞きこ聞きこきこゆゆゆ。。。
  5. 5「「「あらためあらためあらためててて何なに何なになにかかかははは見み見みみえええむむん人ひと人ひとひとのののうへうへうえにににかゝりかゝりかかりととと聞き聞きききききししし心こころ心こころこころがはりがはりがわりををを。。。昔むかし昔むかしむかしににに變かは變かはかわるるる事こと事ことことははは習なら習ならならははわずずず」」」ととと聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえりりり。。。いふかひなくいふかひなくいうかいなくててていといといとまめやかまめやかまめやかにににゑじゑじえじ聞きこ聞きこきこえええててて出い出いいででで給たま給たまたまふふうもももいといといと若々わかわか若々わかわかわかわかしきしきしき心地ここち心地ここちここちししし給たま給たまたまへへえばばば、、、
  6. 6「「「いといといとかくかくかく此こ此ここのののためしためしためしににになりなりなりぬぬぬべきべきべき有樣ありさま有樣ありさまありさま漏もら漏もらもらししし給たま給たまたまふふうなななよよよ。。。ゆめゆめゆめゆめゆめゆめいさらいさらいさらなどなどなどもももなれなれしなれなれしなれなれしややや」」」とととててて切せち切せちせちにににうちうちうちさゝめきさゝめきささめき語かた語かたかたらひらひらい給たま給たまたまへへえどどど何事なにごと何事なにごとなにごとにににかかかあらあらあらむむん。。。人々びと人々びとびとももも「「「あなあなあなかたじけなかたじけなかたじけな。。。あながちあながちあながちににになさけなさけなさけ後おく後おくおくれれれてててももももてなしもてなしもてなし聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまふふうらむらむらんかるらかかるらかかるらかにににおしおしおし立た立たたちちちてててなどなどなどははは見み見みみえええ給たま給たまたまははわぬぬぬ御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしきををを、、、心苦こころぐる心苦こころぐるこころぐるしうしうしゅう」」」ととといふいふいう。。。
  7. 7げにげにげに人ひと人ひとひとののの程ほど程ほどほどのののをかしきをかしきおかしきにににももも哀あはれ哀あはれあわれにににもももおぼしおぼしおぼし知し知ししらららぬぬぬにににはははあらあらあらねねねどどど、、、物もの物ものもの思おも思おもおもひひい知し知ししるるるさまさまさまににに見み見みみえええ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるるとととててて、、、おしなべておしなべておしなべてののの世よ世よよののの人ひと人ひとひとのののめでめでめで聞きこ聞きこきこゆゆゆらむらむらんつらつらつらにににややや思おも思おもおもひひいなさなさなされれれむむん。。。かつはかつはかつわかるがるしきかるがるしきかるがるしき心こころ心こころこころののの程ほど程ほどほどももも見み見みみ知し知ししりりり給たま給たまたまひひいぬぬぬべくべくべく、、、耻はづか耻はづかはずかしげしげしげなめるなめるなめる御おん御おんおん有樣ありさま有樣ありさまありさまをををとととおぼせおぼせおぼせばばば、、、懷なつか懷なつかなつかしからしからしからむむんなさけなさけなさけもももいとゞいとゞいとどあいなしあいなしあいなし。。。
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  10. 10御おん御おんおんはらからはらからはらからのののきんきんきん達だち達だちだちあまたあまたあまたものものものししし給たま給たまたまへへえどどど、、、ひとつひとつひとつ御おん御おんおん腹はら腹はらはらならならならねねねばばばいといといとうとうとしくうとうとしくうとうとしく宮みや宮みやみやののの內うち內うちうちいといといとかすかかすかかすかににになりなりなりゆくゆくゆくまゝまゝままにににさばかりさばかりさばかりめでたきめでたきめでたき人ひと人ひとひとのののねんごろねんごろねんごろににに御心みこころ御心みこころみこころををを盡つく盡つくつくししし聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえばばば皆みな皆みなみな人ひと人ひとひと心こころ心こころこころをををよせよせよせ聞きこ聞きこきこゆるゆるゆるもももひとつひとつひとつ心こころ心こころこころととと見み見みみゆゆゆ。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

西面では御格子を下ろしてあったけれど、源氏を嫌がっているように見えてもいけないと、一間二間は下ろさずにあって、月が差し出て、薄く積もった雪の光に映えて、かえってたいそう趣深い夜の様子である。先ほどの老いらくの恋心も、よくないものの世のたとえに聞いたものだと思い出されて、おかしくて。

今夜はたいそう真剣にお話しになって、「せめて憎いという一言でも、人づてでなく直接おっしゃってくだされば、それを思い切るきっかけにもしましょう」と、熱心に責め申し上げなさるけれど、姫君は、昔、自分も相手も若くて、過ちも許された時でさえ、故宮などが源氏に心を寄せていらっしゃったのに、

やはりあってはならない、恥ずかしいことと思い申し上げて終わってしまったのに、晩年になって盛りを過ぎ、似つかわしくない年ごろで、一声でもたいそうまばゆいだろうとお思いになって、少しも動かないお心なので、源氏はあきれるほどつらいとお思い申し上げなさる。さすがに、そっけなく突き放すわけではない人づてのお返事などが、かえって腹立たしいことよ。

夜もたいそう更けていくのに、風の音が激しくて、本当にたいそう心細く思われるので、源氏は品よく涙をぬぐいなさって、「昔のつれなさに懲りない私の心こそが、あなたのつらさに加えて、つらいことです。自分の心のせいで」と、口ずさみなさるのを、女房たちは本当にお気の毒だと、例によって申し上げる。

姫君は「今さら改めて、どうして心を変えてお目にかかりましょう。人の身の上に、そういうことがあると聞いた心変わりなど。昔と変わることには慣れておりません」とお答えになった。源氏は言っても仕方なくて、たいそう本気で恨み言を申し上げてお出になるのも、たいそう若々しい気持ちがなさるので、

「本当にこのように、世の笑いぐさになってしまいそうな有様を、決して漏らしなさるな。決して『いさら川』などと言うのも、なれなれしいことです」と言って、熱心に小声で話しなさるけれど、何のことだろうか。女房たちも「まあ、もったいない。どうして無理に情けなくお扱い申し上げなさるのでしょう。軽々しく無理強いなどはなさらないご様子なのに、お気の毒に」と言う。

姫君も、本当に源氏の人柄の趣深さも情の深さも、わからないわけではないけれど、物の情趣を解するように見せ申し上げたら、世間一般の人々がほめそやすのと同じように思われてしまうだろう。一方では、こちらの軽々しい心のほども見透かされてしまいそうで、気後れするほど立派なご様子なのにとお思いになると、親しげな情けを見せるのも、いっそうつまらないことだ。

当たり障りのないお返事などは、途絶えて気がかりに思われない程度に申し上げなさる。人づてのお返事は、そっけなくないように過ごそう、長年沈み込んでいた罪を償えるほどに、勤行をしようとはお考えになるけれど、急にこのようなことで、出家して源氏から離れようとする様子を見せるのも、かえって当世風のように見られて、人が取りざたしないだろうかと、世の人の口さがなさを思い知っていらっしゃったので、一方では、お仕えする女房にも打ち解けなさらない。たいそうお心づかいをしながら、だんだんご勤行ばかりなさる。

ご兄弟の君たちは大勢いらっしゃるけれど、同じ母のお腹ではないので、たいそう疎遠で、宮の中がたいそうひっそりとなってゆくにつれて、あれほど立派な方が熱心に心を尽くして申し上げなさるので、女房たちは皆、源氏に心をお寄せ申し上げるのも、同じ気持ちのように見える。

意訳

雪の月夜、源氏は朝顔の姫君に、せめて一言でも直接に返事をしてほしいと迫る。姫君は、盛りを過ぎた今、声を聞かせるのもまばゆいと思い、心を動かさない。源氏は恨みの歌を詠み、姫君も心変わりはしないと返す。

姫君は、源氏の美点を知りながらも、世の人と同じように扱われることを恐れて打ち解けず、ますます勤行に励む。一方、女房たちは皆、源氏に心を寄せている。

語釈・文法注

いさら川
「犬上のとこの山なるいさら川いさとこたへて我が名もらすな」(古今和歌六帖)による。「いさ(さあ知らない)」と答えて、私の名を漏らさないでくれ、という歌。源氏は女房たちに口止めをする。

文法

反語の「何かは…む」(何かは見えむ)
「どうしてお目にかかりましょうか、いや、お目にかかりません」。
禁止の「な」(漏し給ふなよ)
「漏らしなさるな」。

和歌

つれなさを昔にこりぬ心こそ人のつらさにそへてつらけれ

詠者
光源氏
状況
朝顔の姫君に恨みを訴えた歌。昔のつれなさに懲りない私の心こそが、あなたのつらさに加えて、つらいことです。

あらためて何かは見えむ人のうへにかゝりと聞きし心がはりを

詠者
朝顔の姫君
状況
源氏への返歌。今さら改めて、どうして心を変えてお目にかかりましょう。人の身の上に、そういうことがあると聞いた心変わりなど。

解説

朝顔の姫君の拒絶は、源氏の美点を十分に知りながらの、意志的なものである。姫君は、源氏の多くの恋人たちと同じ立場に置かれることを恐れ、自らの誇りを守ろうとする。

姫君の「昔に変る事は習はず」という言葉は、若い時から源氏を拒んできた自分の姿勢を変えないという宣言である。源氏の求愛を拒み通した女性として、朝顔の姫君は物語の中で独特の位置を占めている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、374–377頁(コマ190–191)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日