古典ライブラリー

源氏物語 第17帖 絵合(3)

入内と朱雀院の未練

登場人物:冷泉帝・秋好中宮・弘徽殿女御・藤壺・頭中将・朱雀院・光源氏・兵部卿宮

斎宮は夜更けに入内し、冷泉帝はおっとりとして小柄な斎宮をかわいらしく思う。帝は、気心の知れた弘徽殿女御と昼は遊び、斎宮女御は大人びて気後れする相手と思う。権中納言は、娘の競争相手の出現に心穏やかでない。朱雀院は、斎宮の返歌を見て思いを断ち切れず、源氏との対面で斎宮のことを話題にする。源氏は院の心中を察して気の毒に思う。兵部卿宮は娘の入内をあきらめきれずにいる。

宮中の殿舎で、幼い冷泉帝が、小柄でおっとりとした斎宮女御を迎え、恥ずかしそうに見つめている場面(AI生成)
宮中の殿舎で、幼い冷泉帝が、小柄でおっとりとした斎宮女御を迎え、恥ずかしそうに見つめている場面
  1. 1中宮ちゆうぐう中宮ちゆうぐうちゅうぐうもももうちうちうちにににぞぞぞおはしましおはしましおわしましけるけるける。。。うへうへうえははは珍めづら珍めづらめずらしきしきしき人ひと人ひとひと參まゐ參まゐまいりりり給たま給たまたまふふうととと聞きこ聞きこきこしししめしめしめしけれけれければばば、、、いといといとうつくしううつくしううつくしゅう御おん御おんおん心こころ心こころこころづかひづかひづかいしししててて坐おは坐おはおわしますしますします。。。程ほど程ほどほどよりよりよりはははいみじういみじういみじゅうざれざれざれおとなびおとなびおとなび給たま給たまたまへへえりりり。。。
  2. 2宮みや宮みやみやにににははは「「「かくかくかく耻はづか耻はづかはずかしきしきしき人ひと人ひとひと參まゐ參まゐまいりりり給たま給たまたまふふうををを、、、御おん御おんおん心こころ心こころこころづかひづかひづかいしししててて見み見みみえええ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららせせせ給たま給たまたまへへえ」」」ととと聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまひひいけりけりけり。。。人ひと人ひとひとしれしれしれずずずおとなおとなおとなははは耻はづか耻はづかはずかしうしうしゅうやややあらあらあらむむんとととおぼしおぼしおぼしけるけるけるをををいたくいたくいたく夜よ夜よよ更ふ更ふふけけけててて參ま參ままうううのぼりのぼりのぼり給たま給たまたまへへえりりり。。。いといといとつゝましげつゝましげつつましげにににおほどかおほどかおおどかにてにてにてさゝやかさゝやかささやかにににあえかあえかあえかなるなるなるけはひけはひけわいのののしししたまへたまへたまえれれればばば、、、いといといとをかしをかしをかしとととおぼしおぼしおぼしけりけりけり。。。
  3. 3にににははは御覽ごらん御覽ごらんごらんじじじつけつけつけたれたれたればばば睦むつ睦むつむつましうましうましゅうあはれあはれあわれににに心こころ心こころこころ安やす安やすやすくくくおもほしおもほしおもおし、、、これこれこれははは人ひと人ひとひとざまざまざまもももいたういたういとうしめりしめりしめり耻はづか耻はづかはずかしげしげしげにににおとゞおとゞおとどののの御おん御おんおんもてなしもてなしもてなしもももやんごとなくやんごとなくやんごとなくよそほしけれよそほしけれよそおしければばばあなづりあなづりあなずりにくゝにくゝにくく思おぼ思おぼおぼささされれれててて、、、御おん御おんおんとのゐとのゐとのいなどなどなどはははひとしくひとしくひとしくししし給たま給たまたまへへえどどどうちとけうちとけうちとけたるたるたる御おん御おんおんわらはわらはわらわ遊あそび遊あそびあそびににに晝ひる晝ひるひるなどなどなど渡わた渡わたわたらららせせせ給たま給たまたまふふうことことことはははあなたあなたあなたがちがちがちにににおはしますおはしますおわします。。。
  4. 4權中納言ごんちゆうなごん權中納言ごんちゆうなごんごんちゅうなごんははは思おも思おもおもふふう心こころ心こころこころありありありててて聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまひひいけるけるけるににに、、、かくかくかく參まゐ參まゐまいりりり給たま給たまたまひひいててて御おん御おんおんむすめむすめむすめにににきしろふきしろふきしろうさまさまさまにてにてにて侍さぶら侍さぶらさぶらひひい給たま給たまたまふふうをををかたがたかたがたかたがたににに安やす安やすやすからからからずずずおぼすおぼすおぼすべしべしべし。。。
  5. 5院ゐん院ゐんいんにににはははかのかのかの櫛くし櫛くしくしののの箱はこ箱はこはこののの御おん御おんおんかへりかへりかえり御覽ごらん御覽ごらんごらんぜぜぜしししにににつけつけつけてててももも御心みこころ御心みこころみこころ離はな離はなはなれれれ難がた難がたがたかりかりかりけりけりけり。。。そのそのその頃ころ頃ころころおとゞおとゞおとどののの參まゐ參まゐまいりりり給たま給たまたまへへえるるるににに御おん御おんおん物語ものがたり物語ものがたりものがたりこまやかこまやかこまやかなりなりなり。。。事こと事ことことのののついでついでついでににに齋宮さいぐう齋宮さいぐうさいぐうのののくだりくだりくだり給たま給たまたまひひいしししことことことさきざきさきざきさきざきももものののたまひたまひたまい出い出いいづれづれずればばば、、、聞きこ聞きこきこえええ出い出いいででで給たま給たまたまひひいてててさささ思おも思おもおもふふう心こころ心こころこころなむなむなんありありありしししなどなどなどはははえええあらはしあらはしあらわし給たま給たまたまははわずずず。。。
  6. 6おとゞおとゞおとどもももかゝるかゝるかかる御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしき聞き聞ききききき顏がほ顏がほがおにににはははあらあらあらででで、、、只ただ只ただただいかにいかにいかにおぼしおぼしおぼしたるたるたるとととゆかしさゆかしさゆかしさににに、、、とかうとかうとこうかのかのかの御おん御おんおん事こと事ことことのののたまひたまひたまい出い出いいづるづるずるにににあはれあはれあわれなるなるなる御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしきのののあさはかあさはかあさはかならならならずずず見み見みみゆれゆれゆればばばいといといといとほしくいとほしくいとおしくおぼすおぼすおぼす。。。
  7. 7めでたしめでたしめでたしとととおぼしおぼしおぼししみしみしみにににけるけるける御おん御おんおんかたちかたちかたち、、、いかやういかやういかようなるなるなるをかしさをかしさおかしさにににかかかとととゆかしうゆかしうゆかしゅう思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえどどど、、、更さら更さらさらにににえええ見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり給たま給たまたまははわぬぬぬをををねたうねたうねとうおもほすおもほすおもおす。。。いといといとおもりかおもりかおもりかにてにてにて夢ゆめ夢ゆめゆめにににもももいはけいはけいわけたるたるたる御おん御おんおんふるまひふるまひふるまいあらあらあらばばばこそこそこそおのづからおのづからおのずからほのほのほの見み見みみえええ給たま給たまたまふふうついでついでついでもももあらあらあらめめめ、、、心こころ心こころこころにくきにくきにくき御おん御おんおんけはひけはひけわいのみのみのみ深ふか深ふかふかさささまされまされまさればばば、、、見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり給たま給たまたまふふうまゝまゝままににに、、、いといといとあらましあらましあらましととと思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまへへえりりり。。。
  8. 8かくかくかくすきますきますきまなくなくなくててて二所ふたところ二所ふたところふたところさぶらひさぶらひさぶらい給たま給たまたまへへえばばば兵部卿ひやうぶきやう兵部卿ひやうぶきやうひょうぶきょうののの宮みや宮みやみやすがすがすがすがすがすがととともももえええおもほしおもほしおもおしたらたらたらずずず。。。帝みかど帝みかどみかどおとなびおとなびおとなび給たま給たまたまひひいなななばばばさりともさりともさりともえええおもほしおもほしおもおし捨す捨すすてててじじじとととぞぞぞまちまちまち過す過すすぐしぐしぐし給たま給たまたまふふう。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

中宮(藤壺)も宮中にいらっしゃった。帝は、珍しい人が入内なさるとお聞きになったので、たいそうかわいらしくお心づかいをしていらっしゃる。お年のわりには、たいそうませて大人びていらっしゃる。中宮は帝に、「このように立派な方が入内なさるのですから、お心づかいをしてお会いなさいませ」と申し上げなさった。帝は、人知れず、大人は気恥ずかしいのではないかとお思いになっていたが、斎宮はたいそう夜が更けてから参上なさった。たいそう控えめにおっとりとして、小柄でか弱い感じでいらっしゃるので、帝はたいそうかわいらしいとお思いになった。

弘徽殿の女御は、見慣れていらっしゃるので、親しみ深く、気楽にお思いになり、こちらの斎宮女御は、人柄もたいそうしとやかで気恥ずかしいほどで、源氏の大臣のお扱いも格別で重々しいので、軽んじにくくお思いになって、夜のお召しなどは同じようになさるけれど、気楽な子どもらしいお遊びに、昼などお渡りになるのは、あちらの弘徽殿の方が多くていらっしゃる。権中納言は、思うところがあって娘を入内させ申し上げたのに、こうして斎宮が参上なさって、娘と張り合うようにお仕えしていらっしゃるのを、何かにつけて穏やかでなくお思いになるだろう。

院(朱雀院)は、あの櫛の箱のお返事をご覧になったにつけても、お心が離れがたかった。そのころ、源氏の大臣が参上なさった時に、お話がしみじみとあった。話のついでに、斎宮が伊勢にお下りになったことを、以前にもお話しになっていたので、そのことを話し出しなさって、そう思う心があったなどとは、はっきりとはおっしゃらない。大臣も、そのようなご意向を聞き知っている顔はしないで、ただどうお思いなのかと知りたくて、あれこれとその方のことを話し出しなさると、院のしみじみとしたご様子が浅くないように見えるので、たいそうお気の毒にお思いになる。

院がすばらしいとお心にしみてお思いになったご容貌が、どのような美しさなのかと、源氏は見たくお思い申し上げなさるけれど、まったく拝見できないのを悔しくお思いになる。斎宮はたいそう重々しくて、夢にも子どもっぽいお振る舞いがあれば、自然とちらりとお見えになる機会もあるだろうが、奥ゆかしいご様子ばかりがますます深まるので、拝見するにつけて、たいそう理想的な方だとお思い申し上げなさった。

このように隙間もなく二人の女御がお仕えしていらっしゃるので、兵部卿の宮は、すんなりと娘の入内を決めることもおできにならない。帝が大人におなりになったら、いくら何でもお見捨てにはなるまいと、時機を待っていらっしゃる。

意訳

斎宮は夜更けに入内し、冷泉帝はおっとりとした斎宮女御をかわいらしく思う。しかし昼の遊び相手には、気心の知れた弘徽殿女御を選ぶ。権中納言は、娘の競争相手の出現に心穏やかでない。

朱雀院は斎宮への思いを断ち切れず、源氏との対面で斎宮のことを話題にする。源氏は院の心中を察して気の毒に思う。兵部卿宮は、娘の入内の時機を待っている。

語釈・文法注

弘徽殿
ここでは、権中納言(頭中将)の娘で、冷泉帝の女御となった弘徽殿女御を指す。桐壺帝の弘徽殿女御(大后)とは別人。

文法

「ばこそ…め」(御ふるまひあらばこそ…ついでもあらめ)
「お振る舞いがあれば、機会もあるだろうが」。逆接の余韻を残し、実際にはそういう機会がないことを表す。
打消推量の「じ」(えおもほし捨てじ)
「お見捨てにはなるまい」。

解説

冷泉帝は、まだ少年である。年上の斎宮女御は気恥ずかしい相手で、帝は気心の知れた弘徽殿女御と遊ぶことを好む。この構図が、後に絵という共通の趣味によって変化していく。

朱雀院の未練と、源氏の心の揺れが描かれる。源氏は、院が心を寄せた斎宮の容貌を見たいと思いながら、親代わりとしての立場を守っている。

関連

出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、324–327頁(コマ165–166)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日