源氏物語 第17帖 絵合(2)
斎宮の返歌と入内の支度
源氏は斎宮の返事が気になるが、院の手紙を見せてほしいとは言いかねる。斎宮は返事をためらうが、源氏に勧められ、伊勢下向の日の院の涙を思い出して、短い返歌を書く。源氏は、院と斎宮はお似合いなのにと思いながらも、入内の手はずを整えて参内する。斎宮の周りには女房たちが集まり、源氏は、六条御息所が生きていたらどんなに喜んだろうと思う。

- 1「「「このこのこの御御おんかへりかへりかえりはははいかやういかやういかようにににかかか聞聞きこえええさせさせさせ給給たまふふうらむらむらん、、、又又また御御おんせうそこせうそこしょうそこもももいかゞいかゞいかが」」」などなどなど聞聞きこえええ給給たまへへえどどど、、、いといといとかたはらいたけれかたはらいたけれかたわらいたければばば御御おん文文ふみはははえええ引引ひききき出出いでででずずず。。。宮宮みやははは惱惱なやましげしげしげにににおぼしおぼしおぼしててて御御おん返返かえりりりいといといと物物ものうくうくうくししし給給たまへへえどどど「「「聞聞きこえええ給給たまははわざらざらざらむむんもももいといといとなさけなくなさけなくなさけなくかたじけなかるかたじけなかるかたじけなかるべしべしべし」」」ととと人々人々びとそゝのかしそゝのかしそそのかし煩煩わずらひひい聞聞きこゆるゆるゆるけはひけはひけわいををを聞聞きききき給給たまひひいててて
- 2「「「いといといとあるあるあるまじきまじきまじき御御おん事事ことなりなりなり。。。しるししるししるしばかりばかりばかり聞聞きこえええさせさせさせ給給たまへへえ」」」ととと聞聞きこえええ給給たまふふうもももいといといとはづかしけれはづかしけれはずかしけれどどどいにしへいにしへいにしえおぼしおぼしおぼし出出いづるづるずるににに、、、いといといとなまめきなまめきなまめき淸淸きよらららにてにてにていみじういみじういみじゅう泣泣なききき給給たまひひいししし御御おんさまさまさまをををそこはかとなくそこはかとなくそこはかとなくあはれあはれあわれととと見見み奉奉たてまつりりり給給たまひひいししし御御おんをさなをさなおさな心心ごころももも只今只今ただいまののの事事こととととおぼゆるおぼゆるおぼゆるににに、、、故故こみやすみやすみやす所所どころののの御御おん事事ことなどなどなどもももかきかきかきつらねつらねつらねあはれあはれあわれにににおぼさおぼさおぼされれれててて、、、
- 3たゞたゞただかくかくかく、、、「「「わかるわかるわかるとととててて遙遙はるかにににいひいひいいしししひとことひとことひとこともももかへりかへりかえりてててものものものははは今今いまぞぞぞかなしきかなしきかなしき」」」とととばかりばかりばかりやややありありありけむけむけん。。。御御おん使使つかいののの祿祿ろくしなじなしなじなしなじなににに賜賜たまははわすすす。。。おとゞおとゞおとどははは御御おん返返かえりりりをををいといといとゆかしうゆかしうゆかしゅうおぼせおぼせおぼせどどど聞聞きこえええたまはたまはたまわずずず。。。
- 4院院いんののの御御おんありさまありさまありさまははは女女おんなにてにてにて見見み奉奉たてまつらららまほしきまほしきまほしきをををこのこのこの御御おんけはひけはひけわいももも似似にげげげなからなからなからずずずいといといとよきよきよき御御おんあはひあはひあわいなめるなめるなめるををを、、、內內うちはははまだまだまだいといといといはけなくいはけなくいわけなくおはしますおはしますおわしますめるめるめるににに、、、かくかくかく引引ひききき違違たがへへえ聞聞きこゆるゆるゆるををを人人ひと知知しれれれずずずものものものしししとととやややおぼすおぼすおぼすらむらむらんなどなどなど、、、にくきにくきにくき事事ことをををさへさへさへおぼしおぼしおぼしやりやりやりててて胸胸むねつぶれつぶれつぶれ給給たまへへえどどど、、、
- 5今日今日きょうににになりなりなりててておぼしおぼしおぼしとゞむとゞむとどむべきべきべきことことことにににしししあらあらあらねねねばばば、、、事事ことどもどもどもあるあるあるべきべきべきさまさまさまにににのののたまひたまひたまいおきおきおきててて睦睦むつましうしうしゅうおぼすおぼすおぼす。。。ののの宰相宰相さいしょうをををくはしうくはしうくわしゅう仕仕つこうううまつるまつるまつるべくべくべくのののたまひたまひたまいてててうちうちうちににに參參まいりりり給給たまひひいぬぬぬ。。。うけばりうけばりうけばりたるたるたる親親おやざまざまざまにににははは聞聞きこしししめさめさめされれれじじじととと院院いんををを包包つつみみみ聞聞きこえええ給給たまひひいててて御御おんとぶらひとぶらひとぶらいばかりばかりばかりととと見見みせせせ給給たまへへえりりり。。。
- 6よきよきよき女房女房にょうぼうなどなどなどはははもとよりもとよりもとより多多おおかるかるかる宮宮みやなれなれなればばば里里さとがちがちがちなりなりなりしししももも參參まいりりり集集つどひひいててていといといとににになくなくなくけはひけはひけわいあらまほしくあらまほしくあらまほしく、、、あはれあはれあわれおはせおはせおわせましかましかましかばばばいかにいかにいかにかひかひかいありありありててておぼしおぼしおぼしいたづかいたづかいたずかましましましととと、、、昔昔むかしののの御御おん心心こころざまざまざまおぼしおぼしおぼし出出いづるづるずるににに、、、
- 7大方大方おおかたののの世世よにににつけつけつけてててははは惜惜おしうしうしゅうあたらしかりあたらしかりあたらしかりししし人人ひとののの御御おん有樣有樣ありさまぞぞぞややや。。。さささこそこそこそえええあらあらあらぬぬぬものものものなりなりなりけれけれければばばよしよしよしありありありししし方方かたははは猶猶なおすぐれすぐれすぐれててて物物ものののの折折おりごとごとごとににに思思おもひひい出出いででで聞聞きこえええ給給たまふふう。。。
現代語訳
源氏が「このお返事はどのように申し上げなさるのでしょう。また院からのお手紙もどのようなものでしょう」などと申し上げなさるけれど、女別当はたいそうきまりが悪いので、お手紙は取り出してお見せできない。宮(斎宮)はご気分がすぐれないご様子で、お返事をたいそう億劫がっていらっしゃるけれど、「お返事を差し上げなさらないのも、たいそう情けなく畏れ多いことでしょう」と、女房たちがお勧めしあぐねている様子をお聞きになって、源氏は
「お返事なさらないのは、とんでもないことです。ほんの形ばかりでもお返事申し上げなさいませ」と申し上げなさるのも、斎宮はたいそう気恥ずかしいけれど、昔を思い出しなさると、たいそう優美で美しく、ひどくお泣きになった院のご様子を、何となくしみじみとお見申し上げなさった幼心も、たった今のことのように思われるので、亡き御息所のことなども次々と思い出され、しみじみとお思いになって、
ただこのように、「伊勢へ別れて下る時、遠く京へは帰るなとおっしゃったお言葉も、帰ってきた今になって、かえって悲しく思われます」とだけあったのだろうか。お使いへの禄は、さまざまにお与えになる。大臣は、お返事をたいそう見たくお思いになるけれど、申し上げることはなさらない。
院のご様子は、女として拝見したいほどお美しいのに、この斎宮のご様子も似合わしくないことはなく、たいそうよいお似合いの仲であるようなのに、帝はまだたいそう幼くていらっしゃるようなので、このように院のお気持ちに背いて入内させ申し上げるのを、斎宮は人知れず不快にお思いではないかなどと、憎らしいことまでお思いやりになって、胸がつぶれる思いでいらっしゃるけれど、
今日になって思いとどまれることでもないので、諸事しかるべきようにお指図しておいて、親しみ深くお思いになる。修理の宰相に詳しくお世話申し上げるようにおっしゃって、宮中に参内なさった。表立った親のようには院にお聞かれになるまいと、院に遠慮申し上げなさって、ただのお見舞い程度とお見せになった。
よい女房などは、もとから多い宮なので、里に下がりがちだった者も参り集まって、またとないほど理想的な雰囲気で、ああ、御息所が生きていらっしゃったら、どんなにかいがあってお世話なさったことだろうと、昔のお心ばえを思い出しなさるにつけ、
世間一般のことにつけては、惜しく残念な方のご様子であったことよ。あのようにはなかなかいられないものなので、風雅を解する方としては、やはりすぐれていたと、何かの折ごとに思い出し申し上げなさる。
意訳
斎宮は朱雀院への返事をためらうが、源氏に勧められ、伊勢下向の日の院の涙を思い出して、短い返歌を書く。
源氏は、院と斎宮こそお似合いなのにと思いながらも、入内の手はずを整えて参内する。斎宮の周りには女房たちが集まり、源氏は、六条御息所が生きていたらどんなに喜んだろうと思い出す。
語釈・文法注
- すりの宰相
- 修理大夫(すりのだいぶ)を兼ねる宰相(参議)。修理職は宮中の建物の修理を担当する役所。
文法
- 推量の「けむ」(とばかりやありけむ)
- 「とだけあったのだろうか」。語り手が手紙の内容をぼかして推量する草子地。
- 反実仮想の「ましかば…まし」(おはせましかば…おぼしいたづかまし)
- 「生きていらっしゃったら、どんなにかお世話なさっただろうに」。
和歌
わかるとて遙にいひしひとこともかへりてものは今ぞかなしき
- 詠者
- 秋好中宮
- 状況
- 朱雀院への返歌。伊勢へ別れて下る時、遠く「京へは帰るな」とおっしゃったお言葉も、帰ってきた今になって、かえって悲しく思われます。
修辞
- 掛詞
- 「かへりて」に「(京に)帰りて」と「かえって」をかける。
解説
斎宮の返歌は、伊勢下向の日の「別れの櫛」の儀式を思い出させるもので、朱雀院の歌に正面から応えている。源氏は返事の内容を知りたがるが、見ることはできない。語り手も「とばかりやありけむ」とぼかして伝える。
源氏が六条御息所を「惜しうあたらしかりし人」と回想する場面は、かつての苦しい恋を経て、御息所の人柄を改めて評価する源氏の成熟を示している。
関連
出典
- 底本
- 丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、324–325頁(コマ165)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日