古典ライブラリー

源氏物語 第2帖 帚木(4)

今は唯しなにもよらじ

登場人物:左馬頭・頭中将・光源氏

左馬頭は、身分も容貌も問わず、誠実で落ち着いた人こそ妻にふさわしいと結論する。恨みを言わずに姿を消し、尼になってしまう女の浅はかさを批判し、木工や絵師、書の名人のたとえを引いて、見かけの華やかさより確かな本質が大切だと説く。

灯火のもとで、左馬頭が身を乗り出して熱心に語り、頭中将が頬杖をついて聞き入り、源氏が目を覚まして耳を傾けている場面(AI生成)
灯火のもとで、左馬頭が身を乗り出して熱心に語り、頭中将が頬杖をついて聞き入り、源氏が目を覚まして耳を傾けている場面
  1. 1「「「今いま今いまいまははは唯ただ唯ただただしなしなしなにもにもにもよらよらよらじじじ。。。かたちかたちかたちをををばばば更さら更さらさらにににもももいはいはいわじじじ。。。いといといと口惜くちを口惜くちをくちおしくしくしくおぼえおぼえおぼえだにだにだになくなくなくばばば唯ただ唯ただただ偏ひとへ偏ひとへひとえににに物もの物ものものまめやかまめやかまめやかににに靜しづか靜しづかしずかなるなるなる心こころ心こころこころのののおもむきおもむきおもむきならならならむむんよるべよるべよるべをををぞぞぞ遂つひ遂つひついのののたのみたのみたのみ所ところ所ところところにはにはには思おも思おもおもひひい置お置おおくくくべかりべかりべかりけるけるける。。。
  2. 2あまりあまりあまりののの故由ゆゑよし故由ゆゑよしゆえよし心こころ心こころこころばへばへばえうちうちうち添そ添そそへへえたらたらたらむむんをををばばばよろこびよろこびよろこびににに思おも思おもおもひひい、、、少すこ少すこすこししし後おく後おくおくれれれたるたるたる方かた方かたかたあらあらあらむむんをををもももあながちあながちあながちににに求もと求もともとめめめ加くは加くはくわへへえじじじ。。。
  3. 3安やす安やすやすくくくのどけきのどけきのどけき所ところ所ところところだにだにだに强つよ强つよつよくくくばばばうはべうはべうわべのののなさけなさけなさけはははおのづからおのづからおのずからもてつけもてつけもてつけつつつべきべきべきわざわざわざをををややや。。。
  4. 4艶えん艶えんえんににに物もの物ものもの耻はぢ耻はぢはじしししててて恨うら恨うらうらみみみいふいふいうべきべきべき事こと事ことことをををももも見み見みみ知し知ししらららぬぬぬさまさまさまににに忍しの忍しのしのびびびててて、、、上うへ上うへうえはははつれなくつれなくつれなく操作みさをづく操作みさをづくみさおずくててて、、、心こころ心こころこころ一ひと一ひとひとつつつににに思おも思おもおもひひい餘あま餘あまあまるるる時とき時ときときははは言い言いいははわむむん方かた方かたかたなくなくなくすごきすごきすごき言こと言ことことののの葉は葉はは哀あはれ哀あはれあわれなるなるなる歌うた歌うたうたををを詠なが詠ながながみみみ置お置おおききき、、、
  5. 5忍しの忍しのしのばばばるるるべきべきべきかたみかたみかたみををを留とど留とどとどめめめててて深ふか深ふかふかききき山里やまざと山里やまざとやまざと世よ世よよはなれはなれはなれたるたるたる海うみ海うみうみづらづらずらなどなどなどにににはひはひはい隱かく隱かくかくれれれぬぬぬかしかしかし。。。
  6. 6童わらは童わらはわらわににに侍はべ侍はべはべりりりししし時とき時ときとき女房にようばう女房にようばうにょうぼうなどなどなどののの物語ものがたり物語ものがたりものがたり讀よ讀よよみみみしししををを聞き聞きききききててて、、、いといといと哀あはれ哀あはれあわれににに悲かな悲かなかなしくしくしく心こころ心こころこころ深ふか深ふかふかききき事こと事ことことかなかなかなととと淚なみだ淚なみだなみだをををさへさへさへなむなむなん落おと落おとおとししし侍はべ侍はべはべりりりししし。。。
  7. 7今いま今いまいま思おも思おもおもふふうにににはははいといといとかるがるしくかるがるしくかるがるしくさらびさらびさらびたるたるたるとととなりなりなり。。。
  8. 8志こころざし志こころざしこころざし深ふか深ふかふかからからからむむん男をとこ男をとこおとこをををおきおきおきててて見み見みみるるる目め目めめののの前まへ前まへまえにににつらきつらきつらき事こと事ことことありありありともともとも人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころををを見み見みみ知し知ししらららぬぬぬやうやうようににに逃に逃ににげげげ隱かく隱かくかくれれれててて人ひと人ひとひとををを惑まど惑まどまどはしはしわし心こころ心こころこころをををももも見み見みみむむんとととするするする程ほど程ほどほどににに、、、長なが長ながながききき世よ世よよののの物思ものおも物思ものおもものおもひひいににになるなるなる、、、いといといとあぢきなきあぢきなきあじきなき事こと事ことことなりなりなり。。。
  9. 9心こころ心こころこころ深ふか深ふかふかしししやややなどなどなど譽ほ譽ほほめめめたてたてたてられられられててて、、、あはれあはれあわれ進すす進すすすすみみみぬれぬれぬればばばやがてやがてやがて尼あま尼あまあまににになりなりなりぬぬぬかしかしかし。。。
  10. 10思おも思おもおもひひい立た立たたつつつ程ほど程ほどほどはははいといといと心こころ心こころこころ澄す澄すすめめめるるるやうやうようにてにてにて世よ世よよにににかへりみかへりみかえりみすすすべくべくべくももも思おも思おもおもへへえらららずずず。。。
  11. 11いでいでいであなあなあな悲かな悲かなかなししし、、、かくかくかくはたはたはたおぼしおぼしおぼしなりなりなりにににけるけるけるよよよなどなどなどやうやうようにににあひあひあい知し知ししれれれるるる人ひと人ひとひと來き來きき訪とぶ訪とぶとぶらひらひらい、、、ひたすらひたすらひたすらににに憂う憂ううしししともともとも思おも思おもおもひひい離はな離はなはなれれれぬぬぬ男をとこ男をとこおとこ聞き聞きききききつけつけつけててて淚なみだ淚なみだなみだおとせおとせおとせばばば、、、
  12. 12使つか使つかつかふふう人ひと人ひとひと古ふる古ふるふるなどなどなど、、、君きみ君きみきみののの御心みこころ御心みこころみこころははは哀あはれ哀あはれあわれなりなりなりけるけるけるものものものををを御身おほんみ御身おほんみおおんみをををなどなどなどいふいふいうににに、、、みづからみづからみずからをををかきかきかき探さぐ探さぐさぐりりりててて、、、あへなくあへなくあえなく心こころ心こころこころぼそけれぼそけれぼそければばばぬぬぬかしかしかし。。。
  13. 13忍しの忍しのしのぶれぶれぶれどどど淚なみだ淚なみだなみだこぼれこぼれこぼれそめそめそめぬれぬれぬればばば折々をりをり折々をりをりおりおりごとごとごとにににえええ念ねん念ねんねんじじじえええずずず悔くや悔くやくやしきしきしき事こと事ことことももも多おほ多おほおおかかかめるめるめるににに、、、佛ほとけ佛ほとけほとけもももなかなかなかなかなかなかぎたなしぎたなしぎたなしととと見み見みみ給たま給たまたまひひいつつつべしべしべし。。。
  14. 14濁にごり濁にごりにごりにににしめしめしめるるるほどほどほどよりよりよりももも、、、にてにてにてはははかへりてかへりてかえりて惡あ惡ああしきしきしき道みち道みちみちにもにもにも漂ただよ漂ただよただよひひいぬぬぬべくべくべくぞぞぞ覺おぼ覺おぼおぼゆるゆるゆる。。。
  15. 15絕た絕たたえええぬぬぬ宿世すくせ宿世すくせすくせ淺あさ淺あさあさからからからででで尼あま尼あまあまにもにもにもなさなさなさででで尋たづ尋たづたずねねねとりとりとりたらたらたらむむんももも、、、やがてやがてやがてそのそのその思おも思おもおもひひいいでいでいでうらめしきうらめしきうらめしきふしふしふしあらあらあらざらざらざらむむんややや。。。
  16. 16惡あ惡ああしくしくしくももも善よ善よよくくくもももあひあひあいそひそひそいててて、、、とあらとあらとあらむむん折をり折をりおりもももかゝらかゝらかからむむんきざみきざみきざみをををももも見み見みみ過す過すすぐしぐしぐしたらたらたらむむん中なか中なかなかこそこそこそ契ちぎり契ちぎりちぎり深ふか深ふかふかくくくあはれあはれあわれならならならめめめ。。。我わ我わわももも人ひと人ひとひとももも後うしろ後うしろうしろめたきめたきめたき心こころ心こころこころおかおかおかれれれじじじやはやはやは。。。
  17. 17又また又またまたなのめになのめになのめにうつろふうつろふうつろう方かた方かたかたあらあらあらむむん人ひと人ひとひとををを恨うら恨うらうらみみみててて氣色けしき氣色けしきけしきばみばみばみ背そむ背そむそむかかかむむん、、、はたはたはたなむなむなん。。。
  18. 18心こころ心こころこころははは移うつ移うつうつろふろふろう方かた方かたかたありありありともともとも見み見みみそめそめそめししし志こころざし志こころざしこころざしいとほしくいとほしくいとおしく思おも思おもおもはゞはゞわば、、、さるさるさる方かた方かたかたのののににに思おも思おもおもひひいてててもももありぬありぬありぬべきべきべきににに、、、さやうさやうさようならならならむむんににに絕た絕たたえええぬぬぬべきべきべきわざわざわざなりなりなり。。。
  19. 19すべてすべてすべて萬よろづ萬よろづよろずののの事こと事ことことなだらかなだらかなだらかににに、、、怨ゑん怨ゑんえんずずずべきべきべき事こと事ことことをををばばば見み見みみ知し知ししれれれるるるさまさまさまにににほのめかしほのめかしほのめかし、、、恨うら恨うらうらむむむべからべからべからむむんふしふしふしをををもももにくからにくからにくからずずずかすめかすめかすめなさなさなさばばば、、、それそれそれにににつけつけつけててて哀あはれ哀あはれあわれももも增まさ增まさまさりりりぬぬぬべしべしべし。。。
  20. 20多おほ多おほおおくくくははは我わ我わわががが心こころ心こころこころももも見み見みみるるる人ひと人ひとひとからからから治をさ治をさおさまりまりまりもももすすすべしべしべし。。。あまりあまりあまりむげにむげにむげにうちゆるべうちゆるべうちゆるべ見み見みみ放はな放はなはなちちちたるたるたるももも心安こころやす心安こころやすこころやすくくくらうたきらうたきろうたきやうやうようなれなれなれどどどおのづからおのづからおのずから輕かる輕かるかるききき方かた方かたかたにににぞぞぞ覺おぼ覺おぼおぼえええ侍はべ侍はべはべるるるかしかしかし。。。
  21. 21繫つな繫つなつながががぬぬぬ船ふね船ふねふねののの浮う浮ううきききたるたるたるももも實げ實げげにににあやなしあやなしあやなし。。。さささははは侍はべ侍はべはべらららぬぬぬかかか」」」ととといへいへいえばばば中將ちゆうじやう中將ちゆうじやうちゅうじょううなづくうなづくうなずく。。。
  22. 22「「「さしさしさしあたりあたりあたりてててをかしをかしおかしともともとも哀あはれ哀あはれあわれともともとも心こころ心こころこころにににいらいらいらむむん人ひと人ひとひとののの、、、たのもしげたのもしげたのもしげなきなきなき疑うたが疑うたがうたがあらあらあらむむんこそこそこそ大事だいじ大事だいじだいじなるなるなるべけれべけれべけれ。。。
  23. 23我わ我わわががが心こころ心こころこころあやまちあやまちあやまちなくなくなくててて見み見みみすぐさすぐさすぐさばばば、、、さしさしさし直なほ直なほなおしししてててもももなどなどなどかかか見み見みみざらざらざらむむんととと覺おぼ覺おぼおぼえええたれたれたれどどど、、、それそれそれさしもさしもさしもあらあらあらじじじ。。。ともかくもともかくもともかくも違たが違たがたがふふうべきべきべきふしふしふしあらあらあらむむんををを長閑のど長閑のどのどやかやかやかににに見み見みみ忍しの忍しのしのばばばむむんよりよりより外ほか外ほかほかにににますますます事こと事ことことあるあるあるまじかりまじかりまじかりけりけりけり」」」ととといひいひいいててて、、、
  24. 24我わ我わわががが妹いもうと妹いもうといもうとののの姫君ひめぎみ姫君ひめぎみひめぎみはははこのこのこの定さだめ定さだめさだめにににかなひかなひかない給たま給たまたまへへえりりりとととおもへおもへおもえばばば、、、君きみ君きみきみのののうちねぶりうちねぶりうちねぶりててて詞ことば詞ことばことばまぜまぜまぜ給たま給たまたまははわぬぬぬをををさうざうしくさうざうしくそうぞうしく心こころ心こころこころやましやましやましととと思おも思おもおもふふう。。。
  25. 25馬むま馬むまうまのののかみかみかみ物もの物ものものさだめさだめさだめののの博士はかせ博士はかせはかせににになりなりなりててて居ゐ居ゐいたりたりたり。。。中將ちゆうじやう中將ちゆうじやうちゅうじょうはははこのこのこのことわりことわりことわり聞き聞きききききはてはてはてむむんととと心こころ心こころこころににに入い入いいれれれてててあへしらひあへしらひあえしらい居ゐ居ゐい給たま給たまたまへへえりりり。。。
  26. 26「「「萬よろづ萬よろづよろずののの事こと事ことことににによそへよそへよそえててておぼせおぼせおぼせ。。。木き木ききののの道みち道みちみちのののののの萬よろづ萬よろづよろずののの物もの物ものものををを心こころ心こころこころににに任まか任まかまかせせせててて作つく作つくつくりりり出いだ出いだいだすすすももも、、、臨時りんじ臨時りんじりんじのののもてあそびもてあそびもてあそび物もの物ものもののののそのそのその物もの物ものものととと跡あと跡あとあとももも定さだ定さださだまらまらまらぬぬぬはははそばつきそばつきそばつきばばば見み見みみたるたるたるももも實げ實げげにににかうかうこうもももしししつつつべかりべかりべかりけりけりけりととと、、、時とき時ときときにににつけつけつけつゝつゝつつさまさまさまをををかへかへかへててて今いま今いまいまめかしきめかしきめかしきににに目め目めめうつりうつりうつりてててをかしきをかしきおかしきもももありありあり。。。
  27. 27大事だいじ大事だいじだいじとととしししててて、、、誠まこと誠まことまことににに麗うるは麗うるはうるわはしきはしきわしき人ひと人ひとひとののの調度てうど調度てうどちょうどのののかざりかざりかざりとととするするする、、、定さだ定さださだまれまれまれるるるやうやうようあるあるあるものものものををを難なん難なんなんなくなくなくししし出い出いいづるづるずる事こと事ことことなむなむなん猶なほ猶なほなお誠まこと誠まことまことののの物もの物ものものののの上手じやうず上手じやうずじょうずはははさまさまさまことことことににに見み見みみえええわかれわかれわかれ侍はべ侍はべはべるるる。。。
  28. 28又また又またまたににに上手じやうず上手じやうずじょうず多おほ多おほおおかれかれかれどどどがきがきがきににに選えら選えらえらばばばれれれててて次々つぎつぎ次々つぎつぎつぎつぎににに更さら更さらさらににに劣おと劣おとおとりりり勝まさ勝まさまさるるるけぢめけぢめけじめふとふとふとしもしもしも見み見みみえええわかれわかれわかれずずず。。。
  29. 29かゝれかゝれかかれどどど人ひと人ひとひとののの見み見みみ及およ及およおよばばばぬぬぬ蓬萊ほうらい蓬萊ほうらいほうらいののの山やま山やまやま、、、荒海あらうみ荒海あらうみあらうみのののいかれいかれいかれるるるいをいをいおのののすがたすがたすがた、、、唐國からくに唐國からくにからくにののの烈はげ烈はげはげしきしきしき獸けもの獸けものけもののののかたちかたちかたち、、、目め目めめににに見み見みみえええぬぬぬ鬼おに鬼おにおにののの顏かほ顏かほかおなどなどなどのののおどろおどろしくおどろおどろしくおどろおどろしく作つく作つくつくりりりたるたるたる物もの物ものものははは、、、心こころ心こころこころににに任まか任まかまかせせせててて一ひと一ひとひときはきはきわ人ひと人ひとひとののの目め目めめををを驚おどろ驚おどろおどろかしかしかしてててにはにはには似に似ににざらざらざらめめめどどどさてさてさてありぬありぬありぬべしべしべし。。。
  30. 30よのよのよのつねつねつねののの山やま山やまやまのののたゝずまひたゝずまひたたずまい、、、水みづ水みづみずのののながれながれながれ、、、目め目めめににに近ちか近ちかちかききき人ひと人ひとひとののの家居いへゐ家居いへゐいえい有樣ありさま有樣ありさまありさま、、、實げ實げげにににととと見み見みみえええ懷なつ懷なつなつかしくかしくかしくやはらびやはらびやわらびたるたるたるかたかたかたなどなどなどををを靜しづか靜しづかしずかにににかきかきかきまぜまぜまぜててて、、、ならならならぬぬぬ山やま山やまやまののの氣色けしき氣色けしきけしき木こ木ここ深ふか深ふかふかくくく世よ世よよ離はな離はなはなれれれてててたゝみたゝみたたみなしなしなし、、、けけけ近ちか近ちかちかききき籬まがき籬まがきまがきののの內うち內うちうちをををばばば、、、そのそのその心こころ心こころこころしらひしらひしらいおきておきておきてなどなどなどをををなむなむなん上手じやうず上手じやうずじょうずはははいといといと勢いきほひ勢いきほひいきおい殊こと殊ことことににに、、、わるものわるものわるものははは及およ及およおよばばばぬぬぬ所ところ所ところところ多おほ多おほおおかかかめりめりめり。。。
  31. 31手て手ててををを書か書かかきききたるたるたるにもにもにも深ふか深ふかふかききき事こと事ことことはははなくなくなくててて此處ここ此處ここここ彼處かしこ彼處かしこかしこののの點てん點てんてんながながながににに走はし走はしはしりりりがきがきがき、、、そこはかとなくそこはかとなくそこはかとなく氣色けしき氣色けしきけしきばめばめばめるるるはははうちうちうち見み見みみるるるにににかどかどしくかどかどしくかどかどしくけしきだちけしきだちけしきだちたれたれたれどどど、、、猶なほ猶なほなお誠まこと誠まことまことのののすぢすぢすじをををこまやかこまやかこまやかににに書か書かかききき得え得ええたるたるたるはははうはべうはべうわべののの筆ふで筆ふでふで消き消ききえええててて見み見みみゆれゆれゆれどどど今いま今いまいま一度ひとたび一度ひとたびひとたびとりとりとり並なら並ならならべべべててて見み見みみれれればばば猶なほ猶なほなおじちじちじちににになんなんなんよりよりよりけるけるける。。。
  32. 32はかなきはかなきはかなき事こと事ことことだにだにだにかくかくかくこそこそこそ侍はべ侍はべはべれれれ。。。ましてましてまして人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころののの時とき時ときときににに當あた當あたあたりりりててて氣色けしき氣色けしきけしきばめばめばめらむらむらん、、、見み見みみるるる目め目めめのののなさけなさけなさけをををばばばえええ賴たの賴たのたのむむむまじくまじくまじく思おも思おもおもひひい給たま給たまたまへへえ侍はべ侍はべはべるるる。。。そのそのその始はじめ始はじめはじめののの事こと事ことこと、、、すきずきしくすきずきしくすきずきしくともともとも申まう申まうもうししし侍はべ侍はべはべらららむむん」」」とととててて近ちか近ちかちかくくく居ゐ居ゐい寄よ寄よよれれればばば、、、君きみ君きみきみももも目め目めめさましさましさまし給たま給たまたまふふう。。。
  33. 33中將ちゆうじやう中將ちゆうじやうちゅうじょういみじくいみじくいみじく信しん信しんしんじじじてててつらつらつら杖づゑ杖づゑずえをををつきつきつきててて對むか對むかむかひひい居ゐ居ゐい給たま給たまたまへへえりりり。。。
  34. 34法のり法のりのりののの師し師ししののの世よ世よよのののことわりことわりことわり說と說ととききき聞き聞ききかせかせかせむむん所ところ所ところところののの心地ここち心地ここちここちするするするもももかつかつかつはははをかしけれをかしけれおかしけれどどど、、、かゝるかゝるかかるついでついでついではははおのおのおのおのおのおのもももえええ忍しの忍しのしのびびびとゞめとゞめとどめずずずなむなむなんありありありけるけるける。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

「今はもう、身分にもこだわりません。容貌は言うまでもありません。ひどく残念な、ひねくれた性質だという評判さえなければ、ただひたすらまじめで、落ち着いた心ばえの人を、生涯の頼みどころと思い定めるべきでした。それ以上に、たしなみや気立てのよさが加わっていたら、それは喜びと思い、少し劣ったところがあっても、無理に求めたりはしますまい。安心できて、のんびりとしたところさえしっかりしていれば、うわべの風情は自然と身につけられるものでしょう。

気取って恥ずかしがり、恨みを言うべきことも知らないふりをしてこらえ、表面はさりげなく平静を装って、胸ひとつにおさめかねるときは、言いようもなくもの寂しい言葉や、しみじみとした歌を詠み残し、思い出してもらえるような形見をとどめて、深い山里や、人里離れた海辺などにこっそり隠れてしまう女がいます。私は子どもの頃、女房たちが物語を読むのを聞いて、たいそう哀れで悲しく、心の深いことだと涙まで落としたものです。今思えば、まことに軽々しく、わざとらしいことです。

愛情の深い夫を残して、目の前につらいことがあっても、夫の気持ちを知らないふりをして逃げ隠れ、夫を困らせて心を試そうとするうちに、一生の物思いになってしまうのは、まったくつまらないことです。心の深い人だなどとほめそやされて、感傷がつのると、そのまま尼になってしまう。思い立ったときは、たいそう心が澄んだようで、俗世を振り返るつもりもありません。

『まあ、なんと悲しい。こんなにまで思いつめておしまいになったとは』などと知り合いが見舞いに来て、すっかり嫌いになったわけでもない夫が聞きつけて涙を落とすと、召使いや古参の女房たちが『殿のお心は情け深かったのに、惜しいお身の上を』などと言う。すると自分で額髪を手さぐりして、尼姿になったことがあっけなく心細く、べそをかいてしまうのです。こらえても、いったん涙がこぼれだすと、折あるごとにがまんできず、悔やまれることも多いようですから、仏もかえって、未練がましい心だとご覧になるでしょう。俗世の濁りにそまっているよりも、生半可な出家では、かえって悪い道にさまようことになりそうに思われます。

断ちきれない縁が浅くなくて、尼にもさせずに夫が探し出して連れ戻したとしても、そのまま、そのときのことを思い出して恨めしく思うことがあるでしょう。悪いときもよいときも連れ添って、どんな折も、どんな場合も見過ごしてこそ、縁も深く、しみじみとした仲なのです。そうでなければ、自分も相手も、気がかりな心を持たずにはいられないでしょう。

また、少しばかり心変わりした夫を恨んで、むっとして背を向けるのも、ばかげたことでしょう。夫の心がよそへ移ることがあっても、見そめたころの愛情をいとしく思うなら、そういう縁のよりどころとして思っていればよいのに、そんなことで動揺して、仲が絶えてしまうのです。すべて何ごとも穏やかに、恨むべきことは、知っているよとそれとなくほのめかし、恨みを言いたいことも、憎らしくないようにそっと触れておけば、それにつけて愛情もまさるでしょう。たいていは、夫の心も、妻しだいで落ち着くものです。あまりにむやみに夫を放任しておくのも、気楽でかわいらしいようですが、自然と軽く見られることになるのです。つながれていない船が浮かんでいるようなたとえも、まことにわけのわからないことです。そうではありませんか」と言うと、頭中将はうなずく。

頭中将は「さしあたって、美しいとも、いとしいとも心に思う人に、頼りにならない疑いがあるのこそ、大事でしょう。自分の心に過ちがなく、大目に見ていれば、相手も心を直して、どうして連れ添えないことがあろうかと思うのですが、それもそうはいかないでしょう。ともかくも、行き違いがあるときは、のんびりと見て見ぬふりをするよりほかに、よい方法はないのですね」と言って、自分の妹の姫君(葵の上)は、この結論にかなっていらっしゃると思うので、源氏がうとうとして口をおはさみにならないのを、物足りなく、おもしろくなく思う。

左馬頭は、品定めの博士になって、得意げにしゃべり立てている。頭中将は、この理屈を最後まで聞こうと熱心に相づちを打っていらっしゃる。

「何事もたとえてお考えください。木工の名人が、いろいろな物を思いのままに作り出すにしても、その場かぎりの慰み物で、決まった形のないものは、見た目に気がきいていれば、なるほどこうも作れるものかと、時に応じて趣向を変えて、目新しいものに目移りして、おもしろく思うこともあります。けれども、大切なものとして、本当に立派な人の調度の飾りにするような、きまった形のあるものを、難なく作り上げることにこそ、本当の名人の腕前は、やはりはっきりと区別して見えるものです。

また、絵所に名人は多いのですが、墨書きに選ばれて、次々と描かせてみても、優劣の差は、ちょっと見ただけではわかりません。けれども、人の見たこともない蓬莱山、荒海の怒り狂う魚の姿、唐の国の猛獣の形、目に見えない鬼の顔などの、恐ろしげに描いたものは、思うままに、ひときわ人の目を驚かせて、本物には似ていなくても、それでよいのです。ふつうの山のたたずまい、水の流れ、目に近い人の家の様子など、なるほどと思えて親しみやすく、もの柔らかなところなどを、穏やかに描きまぜて、険しくない山の様子を木深く、世間から離れたように重ね描き、身近な垣根の内側を、その心配りや構図などを、名人はたいそう勢いよく格別に描き、下手な者は及ばないところが多いようです。

字を書くのにも、深い心得はなくて、あちこちの点を長く引いて走り書きし、なんとなく気取って見えるものは、ちょっと見ると才気があって趣がありそうですが、やはり本当の筆法を丁寧に書き得たものは、表面の筆の勢いは目立たないように見えても、もう一度並べて見ると、やはり本物の方がまさっているのです。

ちょっとしたことでさえ、このようなものです。まして人の心の、その場その場で取り繕って見せるような、うわべの情けは、頼みにできないと存じます。その最初の話を、色めいたことですが、申し上げましょう」と言って、近くににじり寄ると、源氏も目をお覚ましになる。頭中将はたいそう感心して、頬杖をついて向かい合っていらっしゃる。法師が世の道理を説き聞かせる場のような気がするのも、一方ではおかしいけれど、こういう折には、めいめい内輪の話も隠しておけないものであった。

意訳

左馬頭はここで、理想の妻とは、身分や美しさよりも、誠実で落ち着いた人だと結論づける。そして、夫を試すために姿を隠したり、感傷にまかせて尼になったりする女を厳しく批判する。物語の中の悲劇のヒロインに涙した子どもの頃の自分を、今では「かるがるしく事さらびたる」と笑うところには、物語の読者に対する作者の皮肉もこめられている。

木工・絵師・書家のたとえは、品定めの中でも有名な一節である。架空の怪物や鬼は誰でも思うままに描けるが、ありふれた山水や家の様子を本物らしく描くことこそ名人の技だ、という論は、そのまま物語の書き方についての作者の考えとして読むこともできる。源氏物語は、超自然的な出来事よりも、身近な人間の心を描くことを選んだ物語だからである。

語釈・文法注

ねぢけがまし
ひねくれている、素直でない。
後安し
安心できる、心配がない。
操作る(みさおづくる)
平静を装う、取り澄ます。
事さらぶ
わざとらしく見える。
御達(ごたち)
年配の女房たち。
あたら
惜しいことに、もったいない。
額髮(ひたいがみ)
額から左右に垂らした前髪。尼になると肩のあたりで切りそろえるので、手で探ってその短さに気づく。
うちひそむ
泣きべそをかく。
心ぎたなし
未練がましい、心が汚れている。
なまうかび
中途半端に俗世を離れること。生半可な出家。
をこがまし
ばかげている、みっともない。
よすが
よりどころ、縁。
たじろき
動揺すること。
繫がぬ船の浮きたる例
つながれていない船が漂うたとえ。夫を放任しすぎて心が定まらないこと。出典は未詳。
ひゞらぐ
調子に乗ってしゃべり立てる意か。語義には諸説ある。
木の道のたくみ
木工の名人、大工。
そばつき
見た目、外見。「そばつきざれば」で、外見が気がきいていれば。
繪所
宮中の絵画を担当した役所。
墨がき
絵の下書きや輪郭を墨で描く人。絵師の中心となる役。
じち
実(じち)。本物、実物。
すぐよか
まっすぐで険しいさま。
むつごと
親しい者どうしの打ち明け話、内輪の話。

文法

打消意志の助動詞「じ」(しなにもよらじ)
「…まい」。身分にもこだわるまい。
詠嘆の終助詞「かし」(はひ隱れぬかし)
念を押したり、強めたりする。「…てしまうのですよ」。
推量「べし」+詠嘆「けり」(思ひ置くべかりける)
「…すべきだったのだ」と、今になって気づいた思いを表す。係助詞「ぞ」の結びで連体形「ける」。

解説

左馬頭の話の中の、物語のヒロインのように姿を隠す女の話は、当時の物語読者への皮肉として有名である。紫式部は、物語の中の人物に、物語に夢中になる女性を批判させている。源氏物語の中には、このように物語というものを見つめ直す言葉がいくつもある。

木の道のたくみ・絵所の上手・書の名人という三つのたとえは、のちの蛍の巻の「物語論」と並んで、作者の創作観を表す一節として注目されてきた。誰も見たことのない鬼の顔は好きに描けるが、身近な山水を本物らしく描くのが難しい、という指摘は、身近な人間の心を描くことの難しさに通じている。

頭中将が、自分の妹である葵の上がこの理想にかなっていると思いながら、源氏が眠そうにしているのを不満に思うところは、二人の関係の微妙さをよく表している。源氏は葵の上に心を開いておらず、心の中では別の人(藤壺)を思っている。

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出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、23–26頁(コマ13–15)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日