古典ライブラリー

源氏物語 第1帖 桐壺(4)

宮城野の露

登場人物:桐壺帝・靫負命婦・更衣の母・光源氏

野分の吹く秋の夕べ、帝は靫負命婦を更衣の母のもとへ遣わす。荒れた邸で、母君は娘を宮仕えに出した経緯と悲しみを語り、命婦は帝の嘆きを伝える。母君は形見の装束を託して命婦を帰す。

野分の後の荒れた邸の庭に、月の光が差し込む中、命婦と喪服の母君が向かい合って語る場面(AI生成)
野分の後の荒れた邸の庭に、月の光が差し込む中、命婦と喪服の母君が向かい合って語る場面
  1. 1だちだちだちててて俄には俄にはにはかかかにににはだはだはだ寒さむ寒さむさむききき夕暮ゆふぐれ夕暮ゆふぐれゆうぐれののの程ほど程ほどほど、、、常つね常つねつねよりよりよりももも覺おぼ覺おぼおぼししし出い出いいづるづるずる事こと事ことこと多おほ多おほおおくくくてててののの命婦みやうぶ命婦みやうぶみょうぶととといふいふいうををを遣つかは遣つかはつかわすすす。。。
  2. 2夕ゆふ夕ゆふゆうづくづくずくのののをかしきをかしきおかしき程ほど程ほどほどににに出いだ出いだいだししし立た立たたてててさせさせさせたまうたまうたもうててて、、、やがてやがてやがて詠なが詠ながながおはしますおはしますおわします。。。
  3. 3かうやうかうやうこうようののの折をり折をりおりははは御おん御おんおん遊あそび遊あそびあそびなどなどなどせせせさせさせさせたまひたまひたまいしししににに、、、こゝろこゝろこころ異こと異ことことなるなるなるゝゝの音ね音ねねををを搔か搔かかききき鳴な鳴なならしらしらし、、、はかなくはかなくはかなく聞きこ聞きこきこえええ出い出いいづるづるずる言こと言ことことののの葉は葉ははももも人ひと人ひとひとよりよりよりははは異こと異ことことなりなりなりしししけはひけはひけわいかたちかたちかたちののの、、、面影おもかげ面影おもかげおもかげにににつとつとつとそひそひそいててておぼさるゝおぼさるゝおぼさるるももも、、、
  4. 4やみやみやみのののにはにはには猶なほ猶なほなお劣おと劣おとおとりりりけりけりけり。。。
  5. 5命婦みやうぶ命婦みやうぶみょうぶ彼處かしこ彼處かしこかしこにににまかでまかでまかで着つ着つつきききててて門かど門かどかどひきひきひき入い入いいるゝるゝるるよりよりよりけはひけはひけわい哀あはれ哀あはれあわれなりなりなり。。。
  6. 6なれなれなれどどど、、、人ひと人ひとひと一人ひとり一人ひとりひとりのののおほんおほんおおんかしづきかしづきかしずきにににとかくとかくとかく繕つくろ繕つくろつくろひひい立た立たたてゝてゝてて、、、めやすきめやすきめやすき程ほど程ほどほどにてにてにてすぐしすぐしすぐしたまへたまへたまえるるるををを、、、
  7. 7闇やみ闇やみやみにににくれくれくれてててふしふしふし沈しづ沈しづしずみみみたまへたまへたまえるるる程ほど程ほどほどににに草くさ草くさくさももも高たか高たかたかくくくなりなりなり野分のわき野分のわきのわきにににいとゞいとゞいとど荒あ荒ああれれれたるたるたる心地ここち心地ここちここちしししててて月つき月つきつきかげかげかげばかりばかりばかりぞぞぞにもにもにも障さは障さはさわらずらずらずさしさしさし入い入いいりりりたるたるたる。。。
  8. 8南みなみ南みなみみなみにににおろしおろしおろしててて、、、母君ははぎみ母君ははぎみははぎみもももえええものものものももものたまはのたまはのたまわずずず。。。
  9. 9「「「今いま今いまいままでまでまでとまりとまりとまり侍はべ侍はべはべるるるがががいといといと憂う憂ううきききををを、、、かゝるかゝるかかる御おん御おんおん使つかひ使つかひつかいののののののつゆつゆつゆ分わ分わわけけけ入い入いいりりりたまふたまふたまうにににつけつけつけてててももも恥はづか恥はづかはずかしうしうしゅうなむなむなん」」」とととててて實げ實げげにににえええ堪た堪たたふふうまじくまじくまじく泣な泣なないいい給たま給たまたまふふう。。。
  10. 10「「「參まゐ參まゐまいりりりてててはははいとゞいとゞいとど心苦こころぐる心苦こころぐるこころぐるしうしうしゅう心こころ心こころこころゝゝも盡つ盡つつくるくるくるやうやうようににになむなむなんととと內侍ないし內侍ないしないしのののののの奏そう奏そうそうししし給たま給たまたまひひいしししををを、、、
  11. 11ものものもの思おも思おもおもひひいたまへたまへたまえ知し知ししらぬらぬらぬ心地ここち心地ここちここちにもにもにも實げ實げげにににこそこそこそいといといと忍しの忍しのしのびびび難がた難がたがとううう侍はべ侍はべはべりりりけれけれけれ」」」とととてててやゝやゝややててて仰事おほせごと仰事おほせごとおおせごと傳つた傳つたつたへへえ聞きこ聞きこきこゆゆゆ。。。
  12. 12「「「暫しば暫しばしばしししははは夢ゆめ夢ゆめゆめかかかとととのみのみのみれれれしししををを、、、やうやうやうやうようよう思おも思おもおもひひい靜しづ靜しづしずまるまるまるにににしもしもしもべきべきべき方かた方かたかたなくなくなく堪た堪たたへへえ難がた難がたがたきききはははいかにいかにいかにすすすべきべきべきわざわざわざにににかかかともともとも問と問ととひひい合あは合あはあわすすすべきべきべき人ひと人ひとひとだにだにだになきなきなきををを、、、
  13. 13忍しの忍しのしのびびびてててははは參まゐ參まゐまいりりり給たま給たまたまひひいなむなむなんややや、、、若宮わかみや若宮わかみやわかみやのののいといといとおぼつかなくおぼつかなくおぼつかなく露つゆ露つゆつゆけきけきけき中なか中なかなかにににすぐしすぐしすぐしたまふたまふたまうももも心苦こころぐる心苦こころぐるこころぐるしうしうしゅう覺おぼ覺おぼおぼさるゝさるゝさるるををを、、、疾と疾ととくくく參まゐ參まゐまいりりり給たま給たまたまへへえなどなどなど、、、
  14. 14はかばかしうはかばかしうはかばかしゅうももものたまはせのたまはせのたまわせやらやらやらずずず、、、せせせたまひたまひたまいつゝつゝつつ、、、かつかつかつははは人ひと人ひとひとももも心こころ心こころこころ弱よわ弱よわよわくくく見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるるらむらむらんととと覺おぼ覺おぼおぼしししぬぬぬにににしもしもしもあらあらあらぬぬぬ御おん御おんおん氣色けしき氣色けしきけしきののの心苦こころぐる心苦こころぐるこころぐるしさしさしさににに、、、
  15. 15承うけたまは承うけたまはうけたまわりりりももも果は果ははてててぬぬぬやうやうようにてにてにてなむなむなんまかでまかでまかで侍はべ侍はべはべりりりぬるぬるぬる」」」とととててて御おん御おんおん文ふみ文ふみふみ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるる。。。
  16. 16「「「目め目めめももも見み見みみえええ侍はべ侍はべはべらららぬぬぬににに、、、かくかくかく畏かしこ畏かしこかしこききき仰事おほせごと仰事おほせごとおおせごとををを光ひかり光ひかりひかりにてにてにてなむなむなん」」」とととててて見み見みみたまふたまふたまう。。。
  17. 17「「「程ほど程ほどほど經へ經へへばばばすこしすこしすこし打う打ううちちち紛まぎ紛まぎまぎるゝるゝるることことこともももやややととと待ま待ままちちちすぐすすぐすすぐす月日つきひ月日つきひつきひににに添そ添そそへへえててていといといと忍しの忍しのしのびびび難がた難がたがたきききはははわりなきわりなきわりなきわざわざわざににになむなむなん。。。
  18. 18人ひと人ひとひとももも如何いか如何いかいかにににととと思おも思おもおもひひいやりやりやりつゝつゝつつ、、、諸共もろとも諸共もろとももろともにににはぐゝまはぐゝまはぐくまぬぬぬおぼつかなさおぼつかなさおぼつかなさををを今いま今いまいまははは猶なほ猶なほなお昔むかし昔むかしむかしののの形見かたみ形見かたみかたみにににてててものしものしものしたまへたまへたまえ」」」などなどなど、、、こまやかこまやかこまやかににに書か書かかかかかせせせたまへたまへたまえりりり。。。
  19. 19「「「ののの露つゆ露つゆつゆふきふきふきむすぶむすぶむすぶ風かぜ風かぜかぜののの音おと音おとおとにににがががもともともとををを思おも思おもおもひひいこそこそこそやれやれやれ」」」とととあれあれあれどどど、、、えええ見み見みみたまひたまひたまいはてはてはてずずず。。。和歌
  20. 20「「「命いのち命いのちいのち長なが長ながながさささのののいといといとつらうつらうつろう思おも思おもおもうううたまへたまへたまえしらしらしらるゝるゝるるにににののの思おも思おもおもははわむむんことことことだにだにだにはづかしうはづかしうはずかしゅう思おも思おもおもひひいたまへたまへたまえ侍はべ侍はべはべれれればばば、、、ににに行ゆ行ゆゆきききかひかひかい侍はべ侍はべはべらららむむん事こと事ことことはははましてましてましていといといと憚はばかり憚はばかりはばかり多おほ多おほおおくくくなむなむなん。。。
  21. 21畏かしこ畏かしこかしこききき仰事おほせごと仰事おほせごとおおせごとををを度々たびたび度々たびたびたびたび承うけたまは承うけたまはうけたまわりりりながらながらながらみづからみづからみずからはははえええなむなむなん思おも思おもおもひひいたまへたまへたまえたつたつたつまじきまじきまじき。。。
  22. 22若宮わかみや若宮わかみやわかみやはははいかにいかにいかにおもほしおもほしおもおししるしるしるにににかかか、、、參まゐ參まゐまいりりり給たま給たまたまははわむむん事こと事ことことをををのみのみのみなむなむなんおぼしおぼしおぼし急いそ急いそいそぐぐぐめれめれめればばば、、、ことわりことわりことわりににに悲かな悲かなかなしうしうしゅう見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりり侍はべ侍はべはべるるるなどなどなど、、、うちうちうちうちうちうちににに思おも思おもおもひひいたまへたまへたまえるるるさまさまさまををを奏そう奏そうそうしししたまへたまへたまえ。。。
  23. 23身み身みみににに侍はべ侍はべはべれれればばば、、、かくかくかくててて坐おは坐おはおわしますしますしますももも辱かたじけな辱かたじけなかたじけなくくく」」」などなどなどのたまふのたまふのたまう。。。
  24. 24宮みや宮みやみやははは大殿籠おほとのごも大殿籠おほとのごもおおとのごもりりりにににけりけりけり。。。
  25. 25「「「見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりりててて委くは委くはくわしくしくしく御おん御おんおん有樣ありさま有樣ありさまありさまももも奏そう奏そうそうししし侍はべ侍はべはべらららまほしきまほしきまほしきををを、、、待ま待ままちちちおはしますおはしますおわしますらむらむらんををを、、、夜よ夜よよ更ふ更ふふけけけ侍はべ侍はべはべりりりぬぬぬべしべしべし」」」とととててて急いそ急いそいそぐぐぐ。。。
  26. 26「「「暮く暮くくれれれ惑まど惑まどまどふふう心こころ心こころこころのののももも堪た堪たたへへえ難がた難がたがたきききかたはしかたはしかたはしをををだにだにだにばかりばかりばかりににに聞きこ聞きこきこえええまほしうまほしうまほしゅう侍はべ侍はべはべるるるをををわたくしわたくしわたくしにもにもにも心こころ心こころこころのどかのどかのどかにににまかでまかでまかでたまへたまへたまえ。。。
  27. 27年とし年としとしごろごろごろ嬉うれ嬉うれうれしくしくしくついでついでついでにににのみのみのみ立た立たたちちち寄よ寄よよりりりたまひたまひたまいしししものものものををを、、、かゝるかゝるかかるおほんおほんおおんにてにてにて見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつるるる、、、かへすがへすかへすがへすかえすがえすつれなきつれなきつれなき命いのち命いのちいのちにもにもにも侍はべ侍はべはべるるるかなかなかな。。。
  28. 28生うま生うまうまれれれししし時とき時ときときよりよりより思おも思おもおもふふう心こころ心こころこころありありありししし人ひと人ひとひとにてにてにて、、、故こ故ここ大納言だいなごん大納言だいなごんだいなごんとととなるなるなるまでまでまで、、、たゞたゞただこのこのこの人ひと人ひとひとののの宮仕みやづかへ宮仕みやづかへみやずかえののの必かならず必かならずかならず遂と遂ととげげげさせさせさせ奉たてまつ奉たてまつたてまつれれれ、、、我われ我われわれなくなくなくなりなりなりぬぬぬとととててて口惜くちを口惜くちをくちおしうしうしゅう思おも思おもおもひひいくづほるくづほるくずおるととと、、、返かへ返かへかえすすす返がへ返がへがえすすす諫いさ諫いさいさめめめ置お置おおかかかれれれ侍はべ侍はべはべりりりしかしかしかばばば、、、
  29. 29はかばかしうはかばかしうはかばかしゅう後見うしろみ後見うしろみうしろみ思おも思おもおもふふう人ひと人ひとひとなきなきなき交まじ交まじまじらひらひらいはははなかなかなかなかなかなかなるなるなるべきべきべき事こと事ことことととと思おも思おもおもうううたまへたまへたまえながらながらながら、、、たゞたゞただかのかのかの遺言ゆいごん遺言ゆいごんゆいごんををを違たが違たがたがへへえじじじとととばかりばかりばかりににに出いだ出いだいだしししたてたてたて侍はべ侍はべはべりりりしししををを、、、
  30. 30身み身みみににに餘あま餘あまあまるるるまでまでまでののの御おん御おんおん志こころざし志こころざしこころざしののの萬よろづ萬よろづよろずににに辱かたじけな辱かたじけなかたじけなきききににに、、、人ひと人ひとひと恥はぢ恥はぢはじをををかくしかくしかくしつゝつゝつつ交まじ交まじまじらひらひらい給たま給たまたまふふうめりめりめりつるつるつるををを、、、人ひと人ひとひとのののそねみそねみそねみ深ふか深ふかふかくくく積つも積つもつもりりり安やす安やすやすからからからぬぬぬ事こと事ことこと多おほ多おほおおくくくなりなりなり添そ添そそひひい侍はべ侍はべはべるるるににに、、、
  31. 31橫よこ橫よこよこなるなるなるやうやうようにてにてにて終つひ終つひついにににかくかくかくなりなりなり侍はべ侍はべはべりりりぬれぬれぬればばば、、、却かへ却かへかえりてりてりてはははつらくつらくつらくなむなむなん畏かしこ畏かしこかしこききき御おん御おんおん志こころざし志こころざしこころざしををを思おも思おもおもううう給たま給たまたまへへえられられられ侍はべ侍はべはべるるる。。。
  32. 32これこれこれもももわりなきわりなきわりなき心こころ心こころこころののの闇やみ闇やみやみににになむなむなん」」」ととといひいひいいもももやらやらやらずずずむせかへりむせかへりむせかえりたまふたまふたまう程ほど程ほどほどににに夜よ夜よよももも更ふ更ふふけけけぬぬぬ。。。
  33. 33「「「うへうへうえももも然しか然しかしかなむなむなん、、、我わ我わわががが御心みこころ御心みこころみこころながらながらながらあながちあながちあながちににに人目ひとめ人目ひとめひとめ驚おどろ驚おどろおどろくくくばかりばかりばかりおぼさおぼさおぼされれれしもしもしも、、、長なが長ながながかるかるかるまじきまじきまじきなりなりなりけりけりけりととと、、、今いま今いまいまはははつらかりつらかりつらかりけるけるける人ひと人ひとひとののの契ちぎり契ちぎりちぎりににになむなむなん、、、
  34. 34世よ世よよにににいさゝかいさゝかいささかももも人ひと人ひとひとののの心こころ心こころこころをををまげまげまげたるたるたる事こと事ことことはははあらあらあらじじじととと思おも思おもおもふふうををを、、、たゞたゞただこのこのこの人ひと人ひとひとゆゑゆゑゆえにてにてにて、、、あまたあまたあまたさるまじきさるまじきさるまじき人ひと人ひとひとののの恨うらみ恨うらみうらみををを負お負おおひひいしししはてはてはてはてはてはてはははかうかうこううちうちうち捨す捨すすてててられられられててて、、、心こころ心こころこころ治をさ治をさおさめめめむむん方かた方かたかたなきなきなきににに、、、
  35. 35いとゞいとゞいとど人ひと人ひとひとわろくわろくわろくににになりなりなりはつるはつるはつるもももさきさきさきののの世よ世よよなむなむなんととと、、、うちうちうち返かへ返かへかへしししつゝつゝつつおほんおほんおおんがちがちがちにににのみのみのみおはしますおはしますおわします」」」ととと語かた語かたかたりりりてててつきせつきせつきせずずず、、、
  36. 36なくなくなくなくなくなく夜よ夜よよいたういたういとう更ふ更ふふけけけぬれぬれぬればばば「「「今宵こよひ今宵こよひこよいすぐさすぐさすぐさずずず御おん御おんおんかへりかへりかえり奏そう奏そうそうせせせむむん」」」ととと急いそ急いそいそぎぎぎ參まゐ參まゐまいるるる。。。
  37. 37月つき月つきつきははは入方いりがた入方いりがたいりがたののの空そら空そらそら淸きよ淸きよきよううう澄す澄すすみみみ渡わた渡わたわたれれれるるるににに、、、風かぜ風かぜかぜいといといと涼すず涼すずすずしくしくしく吹ふ吹ふふきききててて叢くさむら叢くさむらくさむらののの蟲むし蟲むしむしののの聲々こゑごゑ聲々こゑごゑこえごえ催もよほ催もよほもよおしししがほがほがおなるなるなるももも、、、いといといと立た立たたちちち離はな離はなはなれれれにくきにくきにくき草くさ草くさくさのののもともともとなりなりなり。。。
  38. 38「「「鈴蟲すずむし鈴蟲すずむしすずむしのののこゑこゑこえのののかぎりかぎりかぎりをををつくしつくしつくしてててももも長なが長ながながききき夜よ夜よよあかあかあかずずずふるふるふる淚なみだ淚なみだなみだかなかなかな」」」えええももも乘の乘ののりりりやらやらやらずずず。。。和歌
  39. 39「「「いとゞしくいとゞしくいとどしく蟲むし蟲むしむしののの音ね音ねねしげきしげきしげきににに露つゆ露つゆつゆおきおきおきそふるそふるそうる雲くも雲くもくもののの。。。ももも聞きこ聞きこきこえええつつつべくべくべくなむなむなん」」」ととといはいはいわせせせ給たま給たまたまふふう。。。和歌
  40. 40をかしきをかしきおかしき御おん御おんおん贈物おくりもの贈物おくりものおくりものなどなどなどあるあるあるべきべきべき折をり折をりおりにもにもにもあらあらあらねねねばばば、、、たゞたゞただかのかのかの御おん御おんおん形見かたみ形見かたみかたみにににとととてててかゝるかゝるかかるやうやうようもももやややととと殘のこ殘のこのこしししおきおきおきたまへたまへたまえりりりけるけるける御おん御おんおんひとひとひとくだりくだりくだり、、、ののの調度てうど調度てうどちょうどめくめくめく物もの物ものもの添そ添そそへへえたまふたまふたまう。。。
  41. 41若わか若わかわかききき人々ひとびと人々ひとびとひとびと、、、悲かな悲かなかなしきしきしき事こと事ことことははは更さら更さらさらにににもももいはいはいわずずず、、、うちうちうちわたりわたりわたりををを朝夕あさゆふ朝夕あさゆふあさゆうにににならひならひならいててていといといと、、、うへうへうえののの御おん御おんおん有樣ありさま有樣ありさまありさまなどなどなど思おも思おもおもひひい出い出いいででで聞きこ聞きこきこゆれゆれゆればばば、、、疾と疾ととくくく參まゐ參まゐまいりりりたまはたまはたまわむむんことことことをををそゝのかしそゝのかしそそのかし聞きこ聞きこきこゆれゆれゆれどどど、、、
  42. 42かくかくかくいまいましきいまいましきいまいましき身み身みみののの添そ添そそひひい奉たてまつ奉たてまつたてまつらららむむんもももいといといと人ひと人ひとひとぎゝぎゝぎき憂う憂ううかるかるかるべしべしべし。。。
  43. 43又また又またまた見み見みみ奉たてまつ奉たてまつたてまつらららでででしばししばししばしもももあらあらあらむむんははは、、、いといといと後うしろ後うしろうしろ思おも思おもおもひひい聞きこ聞きこきこえええ給たま給たまたまひひいててて、、、もももえええ參まゐ參まゐまいらせらせらせ奉たてまつ奉たてまつたてまつりりりたまはたまはたまわぬぬぬなりなりなりけりけりけり。。。

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

野分めいた風が吹いて、急に肌寒くなった夕暮れ時、帝はいつもより思い出されることが多くて、靫負命婦という女房を更衣の里へ遣わす。夕月夜の美しい時刻に送り出しなさって、そのまま物思いにふけっていらっしゃる。このような折には管弦の遊びなどをなさったものだが、更衣が格別な音色で琴をかき鳴らし、ちょっと口にする言葉も人とは違っていた、その様子や姿が面影としてぴったり寄り添っているように思われる。けれども、それも闇の中で確かに逢った現実には、やはり及ばないのであった。

命婦が更衣の家に着いて、門に車を引き入れるとすぐに、あたりの気配がしみじみと哀れである。夫を亡くした暮らしではあったが、娘ひとりを大切に育てるために何かと手入れをして、見苦しくないように暮らしていらっしゃったのに、娘を失った悲しみに沈んで臥しておられるうちに、草も高く茂り、野分のためにいっそう荒れた感じがして、月の光だけが、生い茂る葎にもさえぎられずに差し込んでいる。

南向きの部屋に命婦を招き入れて、母君もすぐには何もおっしゃれない。「今まで生き長らえておりますのがとてもつらいのに、このように帝のお使いが、草深い露を分けて訪ねてくださるにつけても恥ずかしくて」と言って、本当にこらえきれないほどにお泣きになる。

命婦は「『こちらに伺うと、ますますお気の毒で、魂も消えてしまいそうでした』と典侍が帝に申し上げていましたが、物の情けを解さない私の心にも、本当にこらえがたいことでございます」と言って、少し心を落ち着けてから、帝のお言葉をお伝えする。

「『しばらくは夢かとばかり思い迷っていたが、だんだん気持ちが静まるにつれて、かえって覚めることもなく耐えがたいのを、どうしたらよいのかと相談できる人さえいない。人目につかぬよう参内してくださらないか。若宮がたいそう気がかりで、涙がちな家で過ごしておられるのもかわいそうに思われるので、早く参内なさい』などと、はっきりとはおっしゃりきれず、むせび泣きなさりながら、一方では、人が心弱いと見るだろうかと遠慮なさらないわけでもないご様子がおいたわしくて、お言葉を最後までうかがわないようにして退出してまいりました」と言って、帝のお手紙を差し上げる。

「涙で目も見えませんが、このようにおそれ多いお言葉を光として拝見いたします」と言って母君はご覧になる。「時がたてば少しは気持ちがまぎれることもあろうかと待ちながら過ごす月日につれて、いよいよ忍びがたいのはどうしようもないことです。幼い人もどうしているかと思いやりながら、ともに育てられない気がかりを、今はやはり亡き人の形見と思って、こちらへ来させてください」などと、こまやかにお書きになっている。

「宮中の野に吹く風が露を結ぶ音を聞くにつけても、小萩のような若宮の身の上を思いやることだ」とあるけれど、母君は最後まで読み通すこともおできにならない。

「長生きしているのがとてもつらいと思い知られますのに、長寿の松がどう思うかさえ恥ずかしく存じますので、宮中に出入りいたしますことは、なおさらたいそう気がひけます。おそれ多いお言葉をたびたびいただきながら、私自身は、とても参内する決心がつきそうにありません。若宮は、どのようにお分かりになっているのか、参内なさることばかりお急ぎのようですので、もっともなことと悲しく拝見しております、などと、内々に思っておりますことを帝に申し上げてください。不吉な身でございますので、若宮がこうしてここにおいでになるのも、縁起でもなくもったいないことで」などとおっしゃる。若宮はもうお休みになっていた。

「若宮を拝見して、詳しくご様子も帝に申し上げたいのですが、帝がお待ちでいらっしゃるでしょうから。夜も更けてしまいそうです」と言って、命婦は急ぐ。

「子を思う親の心の闇で、暮れ惑っております、耐えがたい思いのほんの一端だけでも、晴らすほどにお話し申し上げたいので、私用でもゆっくりおいでください。この数年は、うれしく晴れがましい折にばかりお立ち寄りくださいましたのに、このようなお悔やみのお使いとしてお目にかかるとは、かえすがえすも、つれない命でございます。あの子は生まれた時から望みをかけていた子で、亡き大納言は臨終の時まで『ただこの子の宮仕えの本望を必ず遂げさせてあげなさい。私が亡くなったからといって、落胆して志をくじいてはならない』と、くり返し戒めておかれましたので、しっかりした後見人もいない宮仕えは、かえってしないほうがよいと存じながらも、ただあの遺言にそむくまいと思うばかりに、出仕させましたところ、身に余るほどのご寵愛が何ごとにつけてももったいなく、人並みでない恥をかくしながら宮仕えを続けていたようですのに、人のねたみが深く積もり、心安らかでないことが多く重なりまして、横死のようなかたちで、とうとうこうなってしまいましたので、かえってつらいことと、おそれ多いご寵愛を思わずにはいられません。これも、親としての理屈に合わない心の闇でございます」と、最後まで言い切れずにむせび泣きなさるうちに、夜も更けてしまった。

「帝もそのように仰せです。『自分の心ながら、無理に人が驚くほどに思いつめていたのも、長く続くはずのない縁だったからなのだ。今となってはつらい宿縁であった。決して人の心を傷つけたことはあるまいと思うのに、ただこの人のために、恨まれるはずのない多くの人の恨みを負った末に、こうして先立たれて、心の静めようもなく、いっそう体裁も悪く、頑なになってしまうのも、前世の因縁が知りたい』と、くり返しおっしゃっては、涙がちでばかりいらっしゃいます」と話は尽きない。

泣く泣く、夜もひどく更けたので、「今夜のうちにご返事を帝に申し上げましょう」と、命婦は急いで帰参する。月は沈みかけていて、空が清らかに澄みわたり、風がたいそう涼しく吹いて、草むらの虫の声々が涙を誘うように聞こえるのも、たいそう立ち去りがたい草深い宿である。

「鈴虫が声の限りを尽くして鳴くように、私も声の限り泣いても、長い秋の夜を通して、尽きることなく涙が降ることだ」。命婦は車に乗りきれない。

母君は「ただでさえ虫の音のしげく聞こえる、この荒れた宿に、さらに涙の露を置き添える宮中のお方よ。恨み言も申し上げてしまいそうです」と、女房に言わせなさる。

風情のある贈り物などをするような折でもないので、ただ亡き人の形見にと、このような時のためにと残しておかれた装束一揃いに、髪上げの道具らしい品を添えてお贈りになる。

若い女房たちは、悲しいことは言うまでもなく、宮中での暮らしに朝夕なじんでいたので、ここはたいそうもの寂しく、帝のご様子などを思い出し申し上げるので、早く若宮を参内させるよう母君にお勧めするけれども、母君は、このような不吉な身が付き添い申し上げるのも、世間の聞こえがよくないだろう、また、若宮を見申し上げずにしばらくでも過ごすのは、たいそう気がかりだとお思いになって、すんなりとは参内させ申し上げなさらないのであった。

意訳

この場面は、更衣を失った帝と母君の悲しみを、命婦という使いを通して向かい合わせている。帝の手紙は若宮の参内を求め、母君は娘を死なせた宮中へ孫を渡すことをためらう。どちらも若宮を思う気持ちは同じだが、立場の違いがすれ違いを生んでいる。

母君の語りから、更衣の入内が亡き父大納言の遺志であったことがわかる。後ろ盾がないまま宮仕えに出れば苦労することは承知の上で、一家の望みを託したのである。母君が帝の寵愛を「かへりてはつらく」と言うのは、ありがたさと恨めしさが入りまじった、親としての本音である。

荒れた邸、月の光、虫の声、露と涙。秋の景物を重ねて悲しみを描く手法は、和歌の世界そのものである。この場面は「野分の段」とも呼ばれ、源氏物語の中でもとくに名文として知られてきた。

語釈・文法注

野分(のわき)
秋に吹く強い風。台風。野の草を吹き分けることからいう。「野分だつ」で野分めいた風が吹く。
ゆげひの命婦
靫負命婦(ゆげいのみょうぶ)。命婦は五位以上の女官、または中級の女房の呼び名。「靫負」は父や夫が衛門府(靫負司)の官人であることによる呼び名。
夕づく夜
夕方に出ている月。また、月の出ている夕方。
詠む(ながむ)
物思いにふけりながら、ぼんやりと外を眺める。
ものゝ音
楽器の音色。ここでは更衣が弾いた琴など。
やみのうつゝ
『古今和歌集』の「むばたまの闇のうつつはさだかなる夢にいくらもまさらざりけり」を踏まえる。闇の中で確かに逢った現実は、はっきりした夢にさほど劣らない、という歌を逆に用い、面影は現実にはやはり及ばない、と言う。
やもめずみ
夫を亡くした女性の暮らし。
八重葎(やえむぐら)
幾重にも生い茂ったつる草。荒れた家の象徴として和歌によく使われる。
南おもて
寝殿の南向きの部屋。客を迎える正式な場所。
とみに
(打消を伴って)すぐには。
蓬生(よもぎう)
蓬などが生い茂った荒れた所。自分の住まいをへりくだっていう。
心ぎも
心と肝。魂。「心ぎもも尽くる」で、魂も消え入るほどだ。
內侍のすけ
典侍(ないしのすけ)。内侍司の次官で、帝のそば近くに仕える女官。先に更衣の里を見舞った人。
ためらふ
気持ちを静める、落ち着かせる。
たどる
迷う、思い迷う。
さむべき方なく
「覚む(さむ)」べき方なく。夢なら覚めることもあるが、覚めようもない。
むせかへる
ひどくむせぶ。涙で息がつまるほど泣く。
つゝむ
遠慮する、人目をはばかる。
いはけなし
幼い、あどけない。
なずらふ
比べる、なぞらえる。「形見になずらへて」で、形見と思って。
宮城野
陸奥国(今の宮城県)の野。萩の名所として知られる歌枕。ここでは「宮」から宮中を連想させる。
小萩
萩の若い枝。ここでは幼い若宮をたとえる。
松の思はむこと
「いかでなほありと知らせじ高砂の松の思はむこともはづかし」(『古今和歌六帖』)を踏まえる。長寿の松にも恥ずかしいほど、長生きしてしまった、の意。
百敷(ももしき)
宮中。「百敷の」は「大宮」の枕詞から転じて宮中そのものを指す。
ゆゝし
不吉だ、忌まわしい。喪中の身を言う。
いまいましう
縁起が悪く、はばかられる。形容詞「いまいまし」の連用形のウ音便。
心の闇
子を思うあまり分別を失う親心。「人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな」(藤原兼輔・『後撰和歌集』)による。兼輔は紫式部の曾祖父。
はるく
晴らす。心の闇を晴らす。
おもだゝし
晴れがましい、名誉だ。
せうそこ
消息(しょうそこ)。手紙、便り。ここでは帝からの弔問の使い。
いまは
今はの際。臨終。
ほい
本意。かねてからの願い、本望。
思ひくづほる
気落ちしてくじける。「くづほるな」の「な」で禁止を表す。
人げなし
人並みに扱われない、一人前でない。
橫さまなる
道理に外れた、普通でない。ここでは非業の死、横死。
かたくな
見苦しいほどに一途なさま、体裁が悪いさま。
ゆかしう
知りたい、見たい。前世でどんな因縁があったのか知りたい、の意。
しほたる
潮水にぬれてしずくが垂れる。転じて、涙にぬれる。
淺茅生(あさじう)
丈の低い茅(ちがや)が生えている所。荒れた庭を表す。
雲の上人
宮中に仕える人。殿上人。ここでは使いの命婦を指す。
かごと
恨み言、ぐち。
さうぞく
装束。ここでは更衣の衣装。
みくしあげ
御髪上げ。女性が髪を結い上げる道具。櫛など。
さうざうし
もの足りなく寂しい。
後めたう
気がかりで、心配で。形容詞「うしろめたし」の連用形のウ音便。
すがすがと
すらすらと、思い切りよく。

文法

謙譲の補助動詞「たまふ」(下二段)
「思ひたまへ知らぬ」「思うたまへながら」などの「たまふ」は下二段活用で、自分の動作をへりくだる謙譲の補助動詞(「…ております」「存じます」)。尊敬の「たまふ」(四段)と区別する。会話文や手紙で、話し手自身の「思ふ」「見る」「聞く」などにつく。
婉曲・推量の助動詞「む」「らむ」
「待ちおはしますらむを」は、目の前にない帝の様子を推量する現在推量の「らむ」。「參り給はむ事」の「む」は婉曲で、「…ようなこと」。
係り結びの流れ(なむ…侍れば)
「心ぎもゝ盡くるやうになむ」「恥しうなむ」のように、「なむ」で言いさして結びの語(「侍る」など)を省くのは、会話文で余韻を残す言い方。

和歌

宮城野の露ふきむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ

詠者
桐壺帝
状況
命婦に託した、更衣の母あての手紙に書かれた歌。宮中(宮城野)に吹く風の音を聞くにつけ、母のない若宮(小萩)を思いやる。

修辞

見立て
「宮城野」に宮中を、「小萩」に若宮を、「露ふきむすぶ風」に悲しみや涙を重ねる。宮城野は萩の名所として知られた歌枕。

鈴蟲のこゑのかぎりをつくしても長き夜あかずふる淚かな

詠者
靫負命婦
状況
帰り際、車に乗りかねながら命婦が詠んだ歌。鈴虫が声の限り鳴いても明けない長い秋の夜のように、尽きない涙が降ることだ。

修辞

掛詞
「ふる」に、涙が「降る」と、時が「経る」を重ねる。「あかず」には、夜が「明けない」と「飽きない(尽きない)」の意が重なる。

いとゞしく蟲の音しげき淺茅生に露おきそふる雲の上人

詠者
更衣の母
状況
命婦への返歌。虫の音がしきりに聞こえる荒れた庭に、宮中からの使い(雲の上人)がさらに涙の露を置き添えることだ。

修辞

縁語
「浅茅生」「露」「虫の音」が秋の荒れた庭の景を作り、「露」に涙を重ねる。
雲の上人
宮中の人。ここでは命婦。

解説

靫負命婦が更衣の母を訪ねるこの場面は、古くから「野分の段」と呼ばれ、桐壺巻の中でも特に名文とされる。荒れた邸と秋の夜の景色、虫の声と涙を重ねる描写は、和歌の手法を散文に取り入れたものである。

母君の言葉「心の闇」は、紫式部の曾祖父である藤原兼輔の歌「人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな」による。この歌は源氏物語の中で何度も引用され、親が子を思う心を表す言葉として使われている。

更衣の入内が父大納言の遺言によるものだったことは、ここで初めて明かされる。大納言家にとって、娘の入内は家運をかけた事業であった。のちに明石の入道が娘の明石の君に同じように望みをかけることと、重ね合わせて読むこともできる。

関連

出典

底本
丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部1(源氏物語 上) 板倉屋書房、明治36年(1903)、5–8頁(コマ4–6)。国立国会図書館デジタルコレクション
校合
塚本哲三編『源氏物語』1(有朋堂文庫) 有朋堂書店、昭和7年(1932)。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日