古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第十七 雑歌中 1618番

花ならで

慈円(じえん)

花ではなくて、ただ柴の戸を閉ざして思う心の奥も、み吉野の山だ。

作者
前大僧正慈圓(慈円)
  1. 1五十首ごじつしゆ五十首ごじつしゆごじっしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしりしりし時とき時ときとき詞書
  2. 2花はな花はなはなならでならでならで初句
  3. 3たゞたゞただ柴しば柴しばしばののの戶と戶ととををを二句
  4. 4さしてさしてさして思おも思おもおもふふう三句
  5. 5心こころ心こころこころののの奧おく奧おくおくももも四句
  6. 6みみみ吉野よしの吉野よしのよしのののの山やま山やまやま結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕五十首歌を献上した時に。

花ではなくて、ただ柴の戸を閉ざして思う心の奥も、み吉野の山だ。

意訳

花を見るためではなく、ただ柴の戸を閉ざして住もうと思う。その心の奥にあるのも、吉野の山なのだ。

語釈・文法注

さし
「鎖し(閉ざす)」と「指し(目指す)」を掛ける。

和歌

作者
慈円(じえん) 1155–1225
関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟、良経の叔父。天台座主を四度務めた。歴史書『愚管抄』を著した。率直で多彩な歌風で、『新古今和歌集』に西行に次ぐ九十二首が入る。家集に『拾玉集』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第十七・雑歌中・1618番
歌体
短歌
状況
詞書「五十首の歌奉りし時」(五十首歌を献上した時に)。

修辞

字余り
第三句。
体言止め
体言止め。

解説

慈円の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、297頁(コマ158)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日