古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1612番

神さぶと 不許にはあらず

石川賀係女郎(いしかわのかけのいらつめ)

年をとったからといって、いやだというのではない。秋草のように結んだ紐を解くのが悲しいのだ。石川賀係女郎の歌。

秋草の茂る庭を背に、年配の女性が衣の紐に手をかけてためらっている

題詞石川賀係女郎の歌一首

  1. 1神かむ神かむかむさぶさぶさぶととと神佐夫等
  2. 2不許いな不許いないなにににはははあらあらあらずずず不許者不有
  3. 3秋あき秋あきあき草くさ草くさくさののの秋草乃
  4. 4結むす結むすむすびびびししし紐ひも紐ひもひもををを結之紐乎
  5. 5解と解ととくくくははは悲かな悲かなかなしししももも解者悲哭

引用の仕方

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現代語訳

年をとったからといって、いやだというのではない。秋草のように結んだ紐を解くのが、悲しいのだ。

意訳

年老いたからあなたを拒むのではない。ただ、ある人と結んだ紐を、ほかの人のために解くのがつらいのだと、求愛を断る心を歌っている。

語釈・文法注

文法・本文

神さぶ
年老いる。
不許
「いな」。いや、承知しない。

和歌

作者
石川賀係女郎(生没年未詳)
奈良時代の女性歌人。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1612番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
石川賀係女郎の歌。

解説

年配の女性の、誠実で毅然とした恋の歌である。

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出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、329頁(コマ168)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、372頁(コマ192)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日