古典ライブラリー

万葉集 巻第四 512番

秋の田の 穗田の刈ばか

草嬢(くさのおとめ)

秋の田の稲刈りの持ち場が寄り合うように、二人が近寄ったなら、それでも人は私のことをうわさするのだろうか。田舎娘の素朴な恋の歌。

秋の稲田で、刈り入れをする若い男女の持ち場が隣り合い、娘が恥ずかしそうにうつむいている

題詞草嬢の歌一首

  1. 1秋あき秋あきあきののの田た田たたののの秋田之
  2. 2穗ほ穗ほほ田だ田だだののの刈かり刈かりかりばばばかかか穗田乃刈婆加
  3. 3縁よ縁よよりりり合あ合ああははわばばば香縁相者
  4. 4そこそこそこもももかかか人ひと人ひとひとののの彼所毛加人之
  5. 5吾わ吾わわををを言こと言ことことなさなさなさむむん吾乎事將成

引用の仕方

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現代語訳

秋の田の、穂の出た田の刈り入れの持ち場が寄り合うように、二人が寄り合ったなら、そのことでも人は私をうわさするのだろうか。

意訳

稲刈りでは、一人ひとりの持ち場(刈りばか)が決められていた。隣の持ち場の若者と近づいたら、それだけでも村の人々はうわさを立てるだろうかと、娘は人目を気にしている。農村の娘の素朴な恋心が表れている。

語釈・文法注

文法・本文

刈ばか
稲を刈る持ち場、受け持ちの区域。
言なさむ
うわさを立てるだろう。

和歌

作者
草嬢(生没年未詳)
田舎の娘の意とされる。名は伝わらない。
出典
『万葉集』巻第四・相聞・512番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第2期(672〜710年(壬申の乱〜平城京遷都))
状況
草嬢(田舎の娘)の歌。

修辞

序詞
「秋の田の穗田の刈ばか」が「縁り合はば」を導く。

解説

宮廷の恋歌の中に置かれた、農村の生活に根ざした歌である。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、150頁(コマ79)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、157頁(コマ84)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日