古今和歌集 巻第十四 恋歌四 735番
思ひ出でて
思い出して恋しい時は、初雁が鳴いて渡るように、私が泣きながら家のあたりを行き来していると、あの人は知っているだろうか。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕人とひそかに知り合ったが逢いがたかったので、その家のあたりを歩きまわっていた折に、雁が鳴くのを聞いて詠んで贈った歌。
思い出して恋しい時は、初雁が鳴いて渡るように、私が泣きながら家のあたりを行き来していると、あの人は知っているだろうか。
意訳
雁が鳴いて渡るように、自分も泣きながら相手の家のあたりをさまよっている、と訴える。
語釈・文法注
- なきて
- 「鳴きて」と「泣きて」。
和歌
- 作者
- 大伴黒主(おおとものくろぬし) 生没年未詳(九世紀後半〜十世紀初め)
近江の人と伝える。仮名序は「そのさまいやし、いはば薪を負へる山人の、花の陰にやすめるが如し」と評する。六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第十四・恋歌四・735番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「人をしのびにあひしりて逢ひがたくありければ其家のあたりをまかりありきけるをりに雁のなくを聞きてよみてつかはしける」(人とひそかに知り合ったが逢いがたかったので、その家のあたりを歩きまわっていた折に、雁が鳴くのを聞いて詠んで贈った歌)。
修辞
- 掛詞
- 「なき」。
解説
大伴黒主の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、129頁(コマ78)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日